ハウス・シャークのレビュー・感想・評価
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サメ映画の傑作
「サメが出ること」「つまらないこと」がサメ映画の定義であるとすれば本作は非常に良質なサメ映画であるといえる。何がヒドいって2時間もあることなんだよな。15年前の『サウスパーク』でさえギリギリウケたか怪しい程度の汚物ネタを引っ張り続ける意味が、大義が、モチベーションが、この世界のどこかに確実に存在していたという事実に未知の惑星を発見した宇宙飛行士のごとき感慨が溢れ出る。というかそもそもサメ映画とは『ジョーズ』が既に成した偉業を超越不可能の金字塔と崇めるところからムーブメントが発生しているわけであり、そういう意味ではムーブメント自体が根本的に無意味だといえる。その絶対的なニヒリズムの中、どういう形であれ数十分の映画作品を完成にまで持ち込めるというのは気狂いのごとき所業と評せざるを得ない。しかしまあハウスシャークの造形は本当にヒドい。そんなんじゃ人も殺せねえぞという情けなさが芬々と漂っている。途中で鑑賞をやめられないというシネフィル根性に漬け込んで路傍の石ころよりつまらない映像を強制的に見せ続ける作家のサディズムのほうがハリボテでできたサメの牙よか何倍も鋭く尖っていると思う。むろんそこに意図的な批評性などは微塵もなく、ひたすらに空虚な三文芝居が演じ続けられる。空前絶後の読後感の薄さ。どうでもよさ。ただただ時間を無駄にしたという虚無感。どれをとってもまさしく傑作の2文字を冠するに相応しいサメ映画だった。
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