劇場公開日 2019年6月28日

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「ウェルカム・ホーム ピーター」スパイダーマン ファー・フロム・ホーム うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ウェルカム・ホーム ピーター

2022年8月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

中学生の頃、ジョン・ロミータの描き出す曲線美に魅せられて、スパイダーマンのコミックにハマって以来大好きなシリーズで、映画のスパイダーマンはずっと追いかけてきた。サム・ライミ版も捨てがたいが、トムホ演じるスパイダーマンは実に魅力的だ。早口でまくしたてながら飛び回る。彼こそ、オリジナルのイメージに限りなく近い。

しかし、時代背景や版権のパワーバランスによって、微妙にアップデートし続けた結果、高校生のピーターは最弱とも思える設定になり下がってしまった。別にトニー・スタークにスーツを作ってもらわなくても、銃弾は感覚でよけられるし、先端のテクノロジーを自在に操っていた。はずだったのに、アベンジャーズの見習いメンバーに成り下がったのがずっと不満だった。

今回それが上手に生かしてある。オリジナルのピーターは、恋人や家族に自分を打ち明けられず、金欠で、学業も困難続き。それもこれも、スパイダーマンであるが故の苦悩で、投げ出してしまうわけにもいかず責任がのしかかる。詳しくはネタバレになるので避けるが、正体を明かせない、そしてテクノロジーに頼らなくとも超人的に強い。そんな彼が帰ってきたのだ。

しかも今回、『エンドゲーム』の続きの世界のことが随所にちりばめてある。すでに予告編でも取り上げてある通り、トニー・スタークが死んだ後の世界で、ピーターは日常を取り戻し、自分の恋の行方が気になって仕方ない。世界を救うことは自分の手に余ると考えている。そのあたり、絶妙のバランスでストーリーが進行していく。おかしくて、ワクワクさせられて、ちょっと切ない。そして見終わった時の感想は、

「おかえりなさいピーター」
中学生の時、夢中で追いかけたヒーローにまた会えた。

当然この続きがもっと描かれるものと期待してやまないが、アベンジャーズとは独自の世界観をたどり始めたようだ。トム・ホランドは30歳まではきっとこの高校生の役から逃れられないのだろう。マイケル・J.フォックスのように

2019.6.28

うそつきカモメ