「ターミネーターは世界線物を目指している???」ターミネーター ニュー・フェイト 真中合歓さんの映画レビュー(感想・評価)
ターミネーターは世界線物を目指している???
まず先に本作品のざっとした感想といたしましては、良くも悪くもいつものターミネーターで、普通のアクション映画でした。映画館で頭空っぽにして観るには丁度良いですね。
さてさて、ターミネーターを観た方なら一度は思ったであろう事。それは世界線の有無。そもそもジョンを殺すのに失敗してもまた送り込めばいい話で、これは至極真っ当である意味何故今まで大多数の人間が気づかなかったのか疑問な事でもある笑。
そう、今作の冒頭ではジョン・コナーが殺されるというサプライズが有るのだ。これまでの作品ではほとんど(当方ジェネシスは未視聴)でジョン・コナーの生死やその存在が、未来の人類の根幹に関わっていたのに対し、今作ではジョン・コナーが存在せず、代わりにダニーと呼ばれる女版ジョン・コナーが存在する未来から、味方の半人間ターミネーターがやって来る。
おお!!思い切った設定だけどこれは面白そう!!言うていつものアクション映画だろと期待していなかった私は、冒頭で早くも惹きつけられた。
しかし、結果から言えばそこがピークだった・・・。
そもそもターミネーターに何を求めてるんだとかそういう事ではない。今作CGの迫力やリンダ・ハミルトンの迫力で色々と有耶無耶になっているが、その有耶無耶になっている部分が目に余ったので、それが今作の視聴を終えた後の微妙な気持ちに繋がっていたのではないかと思っている。
一つ目 まず敵のターミネーターの魅力が無い!!
どっかのレビューで見たんですが、心の優しそうなおじさんなんですよね笑。他のアクション映画ならむしろ悪党に殺されるタイプですよあれは。もっと悪く言えば地味。
でもこれはリンダ・ハミルトンや女ターミネーターを立たせる為の人選だったのでしょう。なので間違いなく今作の敵ターミネーターはあえてキャラが立たないように作られているので仕方がないのかもしれませんが、彼は『唯一の敵キャラ』なので擁護は出来ない。
二つ目 シュワちゃんの心変わり
ジョン・コナーを殺したシュワちゃんが人間というものを学んでサラ・コナーに贖罪をしていた、というのが今作の中盤で明かされます。なんだろうな、一応2でもシュワちゃんとジョンコナーの触れ合いみたいなのが描かれていたから、正統続編としてはむしろ正しいんだろうけど、それがどうしてそうなったのかとか、そうなってからの意味とかがイマイチ弱くてパっとしなかった印象。
最後のシュワちゃんや今作の人間と機械のハイブリッドといい、ターミネーター(機械)と人間の触れ合いみたいなのが裏テーマとして有るのも分かるんだけど、かと言ってそれが深くまで何か意味を持って描かれているとかでも無いから(今作そもそも娯楽映画だし)、薄っぺらい。
シュワちゃんの心変わりにしても時間と共に変わっていったみたいな感じで、もっと何か欲しかった。と言うか今作少し物足りない感じがしていて、その一つに敵の少なさがあるのだと思う。リンダ・ハミルトンは指名手配されていたのだから、警察や軍隊も敵として出てきて良かったのではなかろうか。それこそ2の遺伝子を引き継いでる。
話を戻して今作シュワちゃんも敵になったら良かったと思っている。そもそも味方は足りているのだし、ジョンの復讐も兼ねて敵ポジションの方が良かっただろう。
それか敵になるのか味方になるのか分からないような存在として登場させるとか、料理のしようはあったと思う。正直シュワちゃんが出てきた時点で味方になる臭プンプンだったので、そこも含めて緊張感に欠けた。シュワちゃんのリアルな身体の問題もあるのだろうけれど、そこはもっと良い感じに演出出来たと思う。とことん1や2の遺伝子を引き継ぐのであれば・・。
三つ目 女ネーターが微妙
序盤のカーチェイスの辺りはめちゃくちゃカッコよかったので、スター・ウォーズもこの人の方が良かったんじゃないかとまで思っていたのですが、それ以降が割と空気笑。
まあリンダ・ハミルトンにシュワちゃんまで居るんだから仕方ないのは分かる。けれどちょっと消え過ぎな気も・・。リンダ・ハミルトンが強烈過ぎたか。
四つ目 ポリコレ臭
味方キャラがシュワちゃん以外女だったり、女ネーターが服を奪うのも全員男だったりと、ポリコレ臭がプンプンでくちゃいくちゃい。もはや作品のバランスに影響するレベルでそうだったので、とうとうターミネーターにも侵食してきたかあ~という感想です。留置場で警官を殴るシーンで女警官だけ殴っていなければスリーアウトでした。
批判はこのくらいにしておくとして、世界線の話をしようと思う。恐らく今作のターミネーターの続編は出ないだろう。むしろ、今作も世界線の一つとして扱われる筈だ。
つまり、ジョン・コナーが死んでいたとしたら?の話だと思うので、リージョンが何なのかも明かされないと思う笑。そもそもシュワちゃんも女ネーターも死んじゃったしね。
だからこの先のターミネーターは2を基準とした世界線分岐物としてやっていくんじゃないかな。それは邪道とは言わないけれど、タイムスリップ要素が有る時点で仕方のない事だと思う。
全体的にマイナスな感想とはなってしまったが、リンダ・ハミルトンの演技はとにかくカッコよかったので、それだけでも観に行く価値はアリです!!