「胸に仕込ませる爆弾の説明をタイトルに託している」太陽は動かない R41さんの映画レビュー(感想・評価)
胸に仕込ませる爆弾の説明をタイトルに託している
タイトルが意味するのは鷹野の持っている「心の指針」だろうか。
今日一日だけ いまこの瞬間だけという「太陽」のような普遍的な概念がいつも心を照らし続けている限り、どんな出来事に遭遇しても冷静沈着にいられるのだろう。太陽が心にある限り、心が動揺することはないといったところだろうか。
スパイアクションを産業分野に絞り込んだことがこの作品の新しさだろう。
しかしながら、胸に埋め込まれた起爆装置はいただけない。
ANエージェントが虐待されていた子供とか、鷹野の過去とか説明されてもエージェントの胸に爆弾を埋め込むのは、この作品のシリアス性を返って損なっているように思う。
それが風間の指示ではなくどこにあるのかもわからない本部の指示だとしても、胸に爆弾を仕込むのは敵に対するやり方で、それはミッションインポッシブルですでに使われたとても許しがたい手法だ。
風間ですらAN通信について知らないことだらけなのに、その配下のエージェントに爆弾を埋め込む理由が分からない。
この設定は、山下がそれによって死んだことを鷹野と田岡が目の当たりにして苦しむ演出 これとAN通信の機密順守の厳しさとが天秤になるが、田岡が終始そのことに悩んでいるのを鑑みると、おおよそエージェントの原動力になっていない。
ヤクザ世界と同じだ。
なぜ爆弾を埋め込まなければならないのか? この作品が説明しなければならないことだが、すべてエンタメとして片づけてしまっているのは残念だった。
それ故、このタイトルにならざるを得なかったのだろう。
島を抜け出したヤナギとカンタが大物企業家になったが、その道が正しかったと言わざるを得ない。鷹野は好きだったシオリと東京のホテルですれ違うが、彼の決めた「太陽」によって、彼女と言葉を交わすことさえしない。
ただ、物語そのものがグローバル化によって複雑化することに沿って、背景が細かく設定されているのは見事だった。
また、敵を中国企業にしていることは世の中の流れなのだろう。日本のエージェントと韓国のエージェントがライバルであり、時に中国がお互いの利害の一致となる点も面白かった。
まるで峰不二子のようなアヤコのキャラも悪くはないが、ひねりもなかった。
このAN通信の目的が、中国企業CNOXによる次世代太陽光発電装置の独占をさせないこと、なりふり構わず力を駆使して技術を盗もうとするCNOXから情報を横取りし、METにその情報を売るという設定は面白かった。
この設定の緻密さこそこの作品の命だろう。
各国を行き来し、アクション満載だが、最後まで騙されていることに気づかないナナがどうにも引っ掛かってしまう。
しかしながら、娯楽映画としては申し分なかった。
こんにちは
なんかお久しぶりですね。
この映画は結構お金のかかった大作アクションでしたね。
たしかにICチップをエージェントに仕掛ける理由は、
バレた時の証拠隠滅と、脅し(仲間の]ですよね。
そんな守ってくれない上に、失敗したら殺される組織に、
愛着なんて持てませんよね。
主人公に愛情も感じないし、大体に吉田修一って
ミステリー作家でないですよね。