「孤児を洗脳して産業スパイに仕立てる話」太陽は動かない odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
孤児を洗脳して産業スパイに仕立てる話
和製スパイアクション映画としては頑張っているという印象。
ただ、スパイ映画というと007やジャック・ライアンなど政府機関という先入観が出来てしまっているので暗躍するスパイが民間人ばかりという大義なき産業スパイ映画はちょっと面食らいますがやってることは超過激なのでアクション映画としては愉しめました。
これは映画ではなく原作者の問題だろうがAN通信という不可解な秘密結社の設定が気に入らない、孤児を育てて体内に遠隔操作の爆弾を埋め込んで働かせるなんて悪魔の所業、それも大義がある訳でもなく得た情報を商売にしているのだからスペクターと大して変わらない、いずれ続編で粛清が下るのだろうか。
爆弾のシチュエーションは古くはスピード、MI3やトランスポーター3でも使われているから観客をハラハラさせるための常套手段かもしれませんが24時間では短いし荒野に出たら電話も無理でしょう。もっとも自白を防ぐために昔の諜報員は青酸カリを持たされていたそうだからその流れとすればおぞましい限りです。
製作陣も受け入れがたいと思ったのでしょうか、司令役の風間(佐藤浩市)を親代わりに描いたり、なんとなく日本の企業の為に動いているように見せている。こんなひねくれた設定にせずとも公然の秘密の諜報機関、自衛隊の別班もので良かったでしょう。
興業的には藤原竜也、竹内涼真の若手人気俳優コンビにフォーカスを当てたいのでしょう、アクション映画で良いのに前日譚の「森は知っている」を混ぜ込んで青春ドラマ風にも仕立てています。
韓国スパイの依頼主がかっての親友の柳勇次とほのめかして終わりますが、事実なら相当の大物に成長していたのですね、スピン・オフを見て観たい。
海外ロケまで決行、カーチェイスやヘリコプター、MIもどきのビルからの滑空、007ばりの列車アクションなど見せ場は多いし、陰謀に今注目の太陽光発電に狙いを付けたのは面白いし中国企業の暗躍もリアリティ十分なのにティストの違う児童虐待を絡めるプロットは必要なのでしょうかね。
個人的にはお涙頂戴のメロドラマなど雑味抜きの純粋な頭脳戦もしくはアクションエンターティンメントが好みなのですが007も妙に人間臭く描かれるのがトレンドのようですから致し方ないのでしょうかね・・。