「WOWOWは動かしたい、もっと掘るなら要所を掘って欲しかったところ」太陽は動かない たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
WOWOWは動かしたい、もっと掘るなら要所を掘って欲しかったところ
日本生まれの本格アクションってこともあり、割と楽しく観れた。連ドラを一気見したようなスピード感と、進む度に見えるバックボーンが機能して、映画として堪能出来た。ただ、WOWOWが製作しているだけに、少し考える節も…。
特筆すべきなのは、やはりアクション。芸能界で一番命の危機にさらされているであろう藤原竜也と、爽やかな肉体派である竹内涼真の組み合わせだが、凸凹していない、主従と従属の関係が上手く機能する。どこでもすぐにアクションすることになるのだが、疾走感も持ったカメラワークだけに、若干観にくい。しかし、プレースタイルというか、戦い方にも少々キャラを持たせていたのは面白い。任務報告への期限とミッション成功への駆け引きが同時進行するスリルは、流れに任せて観れば楽しめる。
次に、個々のキャラについて。ミッションに対する心意気は共通認識でも、そのバックボーンから生まれた考え方の違いが、作中で輪郭を捉えてゆく。高野の過去を平行して描きつつ、国家極秘プロジェクトのAN通信で活躍する理由を突く。まあ、流れが早くて、冒頭のプロローグを押さえきれないと何だか分からなくなるのだが。個々の信義が性格に反映されてはいるものの、何だかぼんやり。あんまり残らなかったのもそれ故だろう。たぶんWOWOWのドラマ版で続きを掘りますって感じだったし、仕方がなさそう。
最後に、映画になった理由を考えてしまったので、あえて触れたい。ズバリ、予算オーバーしそうだったから興行化した、ということ。ワイルドスピード並みに各国を転々とし、アクションに対するスケールは惜しみ無くやり尽くす。ついでに、羽住英一郎こだわりの本格セットでの死闘は、ドラマでは採算が取れなさそう。端から映画化すると決めていたとしても、あえて掘りきらないような部分も見えるので、「WOWOWに動かしたい」匂いがムンムンしてしまった。真偽は置いても、100%を発揮したようには映らなかった。
スケールの大きいプロジェクトの話を拳で殺りあって争奪するならば、もっと状況を整理しながら進めても良かったかなと。入り口と道中がまあまあ違うこともあって、思ったより頭を使った。ホリプロデザインのオムライスからも感じるが、思ったよりホリプロの映画だった。続編がもしやるなら観たいけど、もっと突っ込んだ描き方に期待。