「藤原竜也は頑張っているが…」太陽は動かない ぽったさんの映画レビュー(感想・評価)
藤原竜也は頑張っているが…
『ファーストラブ』とどちらを見に行くか迷ったが北川K子が嫌いなので、こちらを見た。私は藤原竜也と同じイカリ肩なので、この人に親しみが湧く。
まず俳優について言うと、近頃の市原隼人は硬質な感じが出ていて良い。
相棒の竹内涼真はいつもの中地半端な熱血青年役である。振り切った芝居をさせたほうがいい。
設定について。
心臓付近に爆弾が埋め込まれているというのは安っぽくて、この映画を見に行くのを躊躇させた。その爆弾を解除するために、24時間ごとに本部に連絡しなきゃいけないなんて枷(かせ)をはめられていたら、産業スパイのような冷静な仕事はできないだろう。
また、24時間というのはどこが起点になるのか。一旦解除したあとからなのか。それなら時間があるとき頻繁にリセットしたくなるだろう。「パスワードを」というアナウンスも通販かなにかみたいで脱力する。
なんにせよ24時間ごとに成果を要求するほど時間厳守の仕事ではあるまい。
報告がないと裏切りとみなすというのもアバウトだろう。
全く無意味な設定である。
緊張感をもたらすものというより滑稽である。ウルトラマンのカラータイマーみたいに相手に弱点を教えている。敵はタイムリミットがあることをご存知なのだ。
それと、明日のことはわからないから「1日1日を生きろ」というセリフを3-4回言っていたが、くどいし、聞いているこちらが恥ずかしくなる。そういうことは設定を聞かされた時点でわかるから、セリフで説明する必要はない。
子ども時代の話について
主人公が高校生の頃のエピソードがなんの断りもなく随時挟まれる。転換がややわかりにくいが、これがあることによって物語に厚みが出ている。
ただ、暗闇でいきなり襲ってきた相手と格闘になり、その、どこの誰かもわからない相手と名前を名乗りあうのはやめようよ。ライバルとの宿命の出会いを演出したい意図はわかるが、スパイ養成中の出来事なのだから、「名前くらい言え」と言われて、本名をペラッと口にしてしまうのはアホかと思う。
女子の着替えを覗いて、ケツが見えたとか見えないとか繰り返されるのもしつこい。これは最後の伏線にもなっているのだけど。そもそも、高校生なら興味が向くのはケツじゃなくてチチだろう。
この映画でケツを出すのは女子ではなく竹内涼真である。物語上で意味のないシャワーシーンがあり、そこで生尻を見せる。これはヤオイ観客へのサービスであろう。他にも男のハダカや責めがある。
フリーのスパイが二人出てくるが、嘘くささが倍増する。70年代から進歩してない。ルパン三世か!
海外ロケの場面が多いので画面に緊張感があり、それでまだ見ていられる。
タイトルの意味はよくわからない。
キングヌーの歌は期待していたのに、よくこれが採用されたな、というシロモノでガッカリ。