劇場公開日 2021年3月5日

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「大味ながら健闘を感じるスパイアクション作品」太陽は動かない おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5大味ながら健闘を感じるスパイアクション作品

2021年3月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

原作未読で、エンドロールの映像でテレビドラマがあったことを知ったぐらいなので、そちらももちろん未視聴ですが、昨年から何度も予告を見て、期待値だけは高めで鑑賞してきました。結果、その期待は越えませんでしたが、それなりに楽しめる作品ではありました。

まずは冒頭でさらっと舞台背景の説明があり、AN通信の存在とエージェントの役割が紹介されるのは親切でよかったです。そしてすぐにアクションシーンが入り、テンションが上がります。藤原竜也さん、市原隼人さんの体を張ったアクションは、なかなかの見ものでした。

次世代エネルギーをめぐる産業スパイの謀略を描くだけあって、多国籍キャストと何ヵ国もの海外ロケを入れ、ワールドワイドな展開を見せ、大作感が漂うのもいい感じでした。その一方で、場面が目まぐるしく切り替わるわりには、謀略や駆け引きが比較的わかりやすかったのはよかったです。ただ、スパイものにありがちな、どんでん返しにつぐどんでん返し的なものがないのはやや寂しかったです。キムのボスにいたっては、匂わせが過ぎて、観客の誰もが早い段階からわかってしまったのではないでしょうか。

また、ストーリーが追えなくなるほどではないですが、全体的にやや説明不足感は否めず、もう少しシーンを追加するか、内容を削ぎ落とすかしたほうがよかったかなという印象です。鷹野の少年時代をインサートしたり、現在シーンにシンクロさせたりして描いていたのはおもしろかったのですが、それが今の鷹野を形作っていることを、もう一歩踏み込んで描いてほしかったです。あと、スパイものにのありがちなご都合主義もやや気になりました。鷹野も田岡も互いのピンチに都合よく現れ過ぎで、もう少し映像で観客を納得させてくれればと思ってしまいました。

というわけで、やや大味ながらも、邦画にしてはよく健闘したスパイアクション作品といった印象です。決してつまらなくはないので、興味があれば劇場に足を運ぶのも悪くないと思います。

ちなみに、上映後に舞台挨拶中継があり、キャストや監督から楽しい話が聞けました。上映後ということで、ネタバレを気にせず、さまざまなシーンの撮影裏話が聞けて、ちょっと得した気分でした。やはり舞台挨拶は上映後がいいと改めて思いました。

おじゃる