劇場公開日 2021年3月5日

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「ブルガリアでの1か月の撮影など邦画では攻めていて、アクショシーンは力作。ただ、内容は詰め込み過ぎ?」太陽は動かない 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ブルガリアでの1か月の撮影など邦画では攻めていて、アクショシーンは力作。ただ、内容は詰め込み過ぎ?

2021年3月5日
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本作はホリプロ60周年記念作品としてWOWOWとタッグを組み作り上げた意欲的な作品です。冒頭の迫力のあるアクションシーンから、目を見張る物があります。
本作は当初2020年5月15日公開予定でしたが、新型コロナウイルスによって延期を余儀なくされました。そのため、本来は「映画」、その後「WOWOWのテレビドラマ版」、という流れでしたが、その流れが変わりました。テレビドラマ版の全6話の方は予定通りWOWOWで放送されていたので、私は「テレビドラマ」から「映画」という流れで見ました。結果的に、そちらの方が良かったと思っています。テレビドラマ版の方は、藤原竜也と竹内涼真らが属する「AN通信」という組織と、藤原竜也と竹内涼真がバディーを組む「出だし」などが描かれていて、容易に世界観を知ることができます。しかも、舞台も日本が中心で、敵対するのが中国系の組織だったりと、割と話は分かりやすいのです。
ところが、映画版の方は気合が入り過ぎたのか、かなり盛り沢山で、「もう少し説明が必要なのでは?」と思うシーンが散見されます。映画は吉田修一のスパイアクション小説「太陽は動かない」と「森は知っている」を同時に映像化しているのでリアルタイムの話に合わせて、藤原竜也が演じる主人公の子供時代も描いているのです。そのため、同じ映画の中で「速すぎるシーン」と「スローなシーン」が同居しています。1時間50分とタイトなため結果的に、省略を補えずに戸惑ってしまう人が出る可能性を感じました。
また、ドラマ版を発展させ、国籍や組織がさらに入り乱れるので、最低限の相関関係は事前に知っておいた方がいいと思います。
基本的なベースは、中国企業「シーノックス(CNOX)」vs「AN通信」という構造です。
そして、「シーノックス(CNOX)」は、中国の巨大エネルギー企業で、日本の「MET」という次世代型太陽光エネルギーの技術を持つ会社とパートナーを組もうとします。
さらに、「シーノックス(CNOX)」は、ブルガリアにいる日本人研究者とも組もうとします。
ここで、エネルギーの話で知っておかないといけない仕組みとして、エネルギーは太陽光発電などで「作る」ことと、蓄電池などで「貯める」ことと、「送る」ことが必要になる点です。
ちなみに、本作では男女の韓国人が1人ずつ出てきますが、なぜか海外においても日本人に対しては親切に「日本語」で話します。これは本来は有難いのですが、残念ながら聞き取りづらく、様々な要素が入り組んでいるため、聞き取りづらいと致命的に痛いので、普通に「英語」で字幕付きで話してくれた方がリアリティーも出て良かったかな、と思いました。
このように羽住英一郎監督が集大成的に頑張っている作品なのですが、少し空回りの面もあるかもしれないので、このような予備知識を持ちながら見てみると随分と印象が変わると思います。

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細野真宏