劇場公開日 2019年11月8日

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「ゴッホの色彩に彩られた映像美」永遠の門 ゴッホの見た未来 garuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ゴッホの色彩に彩られた映像美

2022年1月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 ウィリアムデフォーが好きなので観に行った。
相変わらず不思議な魅力のある演技と存在感で、ゴッホが完全に乗り移っていた。 顔が似ているとは思えないが、観ているうちにゴッホそのものに思えてくる。

 監督が画家でもあるということで、 映像全体がゴッホの色彩で彩られていた。 まるで、ゴッホが想像し生み出した絵画の世界の中で、ゴッホが生きている様子を映し出しているかのようだ。 金色に輝く小麦畑と水色の空のコントラスト。 その美しさの中に溶け込むゴッホ。 一瞬だが、自分もゴッホの空想の中に入ってしまったような感覚に陥る。

 ヴェネチア国際映画祭で男優賞を受賞するなど評価を受けたのは、 デフォーのファンとしては嬉しい限りだ。 ただ、ゴッホという人物の個性の強さと、ウィリアムデフォーのなりきり演技の凄さも相まって、 作品としての個性は抑えられてしまった感はある。

 定石通りに、渦巻く魂の猛りや狂気を強めに出した方が、観る者を引き付ける映画になったかもしれない。 そうならなかったのは、 ゴッホとデフォーとジュリアンシュナーベル監督との出会いが生み出した、化学反応の結果ーとしか言いようがないだろう。

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Garu