劇場公開日 2019年12月20日

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「電子書籍と私小説作家」冬時間のパリ 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5電子書籍と私小説作家

2022年8月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

会話がとても面白かったです。
秀作とまでは行かないけれど、中高年の本好きには楽しめるのでは・・・。

出版社の不況に押し寄せる電子書籍に移行する流れ。
出版社の敏腕編集者アラン(ギヨーム・カネ)が主役。
売れない私小説作家のレオナール(バンサン・マケーニュ)は、
アランの妻セレナ(ジュリエット・ビノシュ)と不倫関係にある。
アランは知らない・・・疑っていない。

ほぼ出演者たちの会話&会話&会話・・・文学やSNSの台頭・・・
今は「オール・ザ・ピープル=ナルシストの時代」で、
自己表現をしたくてたまらない人々のブログ。
プログとツィッターが、小説より読まれている。
ブログと小説の垣根はあるのか?みたいな話が面白くて、私は
会話が楽しめました。

こんな会話が無駄話・・・そう思う人には値打ちのない映画でしょう。

また、夫も不倫、妻も不倫。
不倫経験しか書けない私小説作家が、打たれ強くコメディを盛り上げる。
ハゲてて毛深い風采の上がらないレオナールなので、“なぜにモテルか?
分からずますます可笑しい。
「不倫は文化」のフランス。
愛人が居てもいちいち離婚なんかしないのです。

日本人だと出版界の不況もだけど、映画原作がほとんど漫画・・・そう言う現実とSNSはどう関係してるのかしら?
その辺も聞きたかったなぁ!!

こう言う映画を観る時間は貴重に思えました。

琥珀糖