「クセになりそう?」女王陛下のお気に入り 赤ヒゲさんの映画レビュー(感想・評価)
クセになりそう?
昨年公開の「憐れみの3章」(24)を観たのが、初ヨルゴス・ランティモス監督作品でした。とにかく衝撃でした。意味不明、不快、不可解。捉えどころのなさが逆に心に引っかかるような不思議な体験でした。他の映画とは一線を画す、独特の作風。面白いのかさえよくわからなくなります(汗;)。今作も似た感じがしました。基本的なストーリーは史実がベースになっているようですが、創作部分に監督の趣味が濃厚に詰め込まれている感じでしょうか。17羽のウサギさんの話には、うるっときました。事実、17人の子を産み、流産、死産などで死別しているようです(涙)。側近としてアン王女を支えた少女期からの友人・サラ(レイチェル・ワイズ)とサラの従妹・アビゲイル(エマ・ストーン)は、性格も生い立ちも違い、さらに政治的姿勢も真逆、昼夜のリップサービスの対比は監督の嗜好かなと思いますが、2人の間でアン王女(オリヴィア・コールマン)が葛藤し、身もだえする展開がとてもスリリングで見応えがありました。3人の女性を巡る心の変遷が歴史をも揺るがすことになった史実は、普遍的な一面もあり見所でしたが、一筋縄に描かないところにヨルゴス監督作品の魅力を感じました。そうそう、オリヴィア・コールマンは「パディントン 消えた黄金郷の秘密」(25)、サラと敵対する政治家ハーリー(ニコラス・ホルト)は「スーパーマン」(25)でそれぞれ重要人物を演じていましたね。
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