「シニカルでブラック、これぞ英国の宮廷ドラマといえる。」女王陛下のお気に入り 瀬戸口仁さんの映画レビュー(感想・評価)
シニカルでブラック、これぞ英国の宮廷ドラマといえる。
18世紀初頭のイングランドを舞台に、アン女王の寵愛をめぐって暗躍する、2人の女性を描いた宮廷ドラマ。女王と親しいマールバラ公爵夫人サラの前に、従姉妹でもある没落貴族の娘アビゲイルが現れ、女王に登用される。
とても気まぐれで、健康不安を抱えた女王に対し、2人の女性が、権力闘争も交えつつ、非情なまでの苛酷な謀略で、権力を握ろうと奮闘するさまを、風刺的に描いている。
ヌードを伴う同性愛のシーンや、口淫を示す台詞などのため、PG12指定。権力を求めて、容赦なく陰謀を企む人間は、結局は抑制が効かなくなることを、痛烈に辛口かつ、英国らしいユーモアで描いている。
スキャンダラスな雰囲気で、愛憎が入り組んだ権力闘争を、野性的かつシニカルに描いた、ブラックコメディといえる。恐ろしく素晴らしい、そして、とても美しい宮廷ドラマだ。
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