「上昇志向の着地点」女王陛下のお気に入り talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
上昇志向の着地点
オリビア・コールマンが何といってもすごかった。特に心に沁みたシーンは、目、特に左目の視力がどんどん落ちて、書類を斜めにしながら見て読む時のオリビアの顔の傾けと目の感じ。辛いだろうなあと悲しくなった。
サラとアンの面白い関係。変てこな化粧を「アナグマ」とサラに言われて納得するアン女王。強くて親密でサドマゾで我慢とは無縁の二人。そんな二人の間に飛び込んだアビゲイル。最初はやられっぱなしのアビゲイル:馬車の中で若い男が変なことしてるのを目にする、馬車から泥道に放り出される、冷水ぶっかけシャワー、床掃除の灰汁入りバケツに素手を入れて手が真っ赤、お仕置きの棒叩き刑(6回が4回で済んだ)、散歩のつもりが男にいきなり土手に突き落とされる、サラにいきなり発砲される、図書室でサラから本をガンガン投げつけられる。でもアビゲイルはへこたれない。のし上がるためだ、自分で自分の顔を本で殴りつけおでこも頬も真っ赤で鼻血ブー。四文字悪い言葉を叫びながら次の対策考える。サラの不在中に急いで貴族と結婚ー!サラからの結婚祝いの言葉には「ケッ!」、エマ・ストーンいいじゃないですか!でもそこまでだったね、アビゲイル。アンの通風の手当てをしても飼っているウサギに込められた悲しみに共感しても上っ面でした。
アン女王はサラが不在だったり男と踊っていたりすると強烈に嫉妬する。サラの直裁過ぎる言葉に笑ったり悲しんだりするが彼女もサラには何でも言える。大勢の人の前から逃れたいとき、サラは高速スピードでアンを乗せた車椅子をビューン!と走らせてアンを朗らかにする。一方、どんなに優しく話しかけマッサージもベッドの中でも上手なアビゲイルをアン女王が嫉妬することは決してない。最後の長いシーンがそれを表していた。
エマ・ストーンはコスチュームものの映画がとても似合う。レイチェル・ワイズのハンサム・ウーマンぶりかっこよかった。
おまけ
サラの夫役は「SHERLOCK シャーロック」のカンバーバッチ=シャーロックの兄(マイクロフト・ホームズ)役のマーク・ゲィティス!顔、鼻ですぐわかったー!