劇場公開日 2019年2月15日

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「ゴージャス!」女王陛下のお気に入り manamboさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ゴージャス!

2019年2月24日
iPhoneアプリから投稿

三人の女性たち、アン女王、レディ・サラ、アビゲイルのそれぞれの出世欲、権力欲、孤独、劣等感、策略、愛、嫉妬と憎しみが命懸けの争いを生み、三人の関係性を激しく揺さぶり、それでも彼女たちは互いに依存し合い、そして傷つけ合ってゆく。三人の演技は見応えたっぷりだった。
本作で男たちは、サラの戦争の駒、女王の間抜けなしもべ、アビゲイルの出世の道具として、そして性欲しかない阿呆かガキのように描かれ、主人公たちから徹底的に蔑まれる。
また、うさぎ、アヒル、狩りの獲物の鳥やロブスターなどの小動物は、人間に生殺与奪を握られた歪んだ欲求の対象として、ランティモスらしく不気味に画面に登場する。「不完全な」人間が、動物に改造させられる不条理を描いた『ロブスター』を彷彿とさせる。ちなみに『ロブスター』で主人公のデビッドが、改造させられる動物にロブスターを選んだ理由は、死ぬまで生殖能力が衰えないから、だった。冒頭の乗合馬車の中の男の行為、馬車から落ちた臭い泥、アビゲイルが父の博打の借金の形に差し出されたドイツ兵の小さな性器の描写、主役三人のそれぞれのゲロ、アビゲイルの結婚初夜の描写など、変てこなシーンも満載だ。
それにしても、特にアビゲイルを軸にしたストーリーは分かりやすいし、独特の不条理でエロチックな意味の場も作り上げてるし、重厚な宮廷のセットもカメラも良いし、いろんな風に楽しめる傑作だね!

manambo