劇場公開日 2019年2月15日

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「勝ちは負けで,負けは勝ち」女王陛下のお気に入り f(unction)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5勝ちは負けで,負けは勝ち

2019年2月18日
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鑑賞方法:映画館

興奮

難しい

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f(unction)
Mさんのコメント
2023年12月17日

映画を見た後は、評判の割に今一つだったなあと感じていたのですが、このレビューを読んで、なんかおもしろかったような気がしてきました。
勝ったのは誰かという視点はシンプルでいいですね。私はエマ・ストーンが好きなので、ずっとアビゲイルの立場で見ていたのですが、屑みたいな役で、それでも勝ったのはアビゲイルと思っていました。しかし、このレビューを読むと、そうとは限らないことに気づき、最後の場面の表情の意味もわかり、とてもおもしろかったです。

M
f(unction)さんのコメント
2019年5月12日

とっしー様
コメントをお寄せいただき、どうもありがとうございます。
今後ともクリアな考察を心がけてまいります!

f(unction)
とっしーさんのコメント
2019年5月12日

レビュー拝見させていただきました。
素晴らしく説得力があって論理的だと思います。劇中の3人の主役達の行動や言動についてモヤモヤしてたことが晴れました。
感謝いたします。

とっしー
f(unction)さんのコメント
2019年2月27日

カミツレさん
お返事まで時間がかかってしまいましたが、コメントいただきありがとうございます。
カミツレさんのレビュー、『メッセージ』について、原作を非常に尊重し、映画との丁寧な比較をなさっているのを拝見いたしました。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の作品の1つとして私も『メッセージ』には興味がありますが、原作を読んでおらず、映画についてのみレビューするとなるとあまり書くことがありません。
が、いずれ同じ作品についてご意見を交わす機会があればその時は相互に得るものがあればと思ってとります。
(『女王陛下のお気に入り』とは関係のない作品にかんするコメントとなってしまい、他のユーザーの皆さまには申し訳ありません)

f(unction)
f(unction)さんのコメント
2019年2月27日

琥珀さん
そのようなご自身の背景も映画の見かたに反映されているのですね。
鑑賞後の感想をシェアするためにコメント欄も用意されているのでしょうし、ぜひ使っていきましょう!
(尻切れトンボになったコメントがありすみません。)

f(unction)
グレシャムの法則さんのコメント
2019年2月27日

個人的なこうであって欲しい、という思い込みを無碍になさらず、丁寧にお付き合いいただき、ありがとうございます。
たぶん自分が周囲の状況や人間関係に影響される弱い人間で、毅然とした態度とか決意とかいうものに対して思っている以上に敏感なので(憧れもあるのだと思います)、こんな解釈をしているのだと思います。長々とコメント欄を濫用⁈してしまい失礼致しました。
改めてお礼とお詫びを申し上げます。

グレシャムの法則
f(unction)さんのコメント
2019年2月27日

琥珀さん、ありがとうございます。琥珀さんの女王解釈がよくわかりました。
弱々しかった女王が一時的にでも毅然とした態度を取ったことが勝利宣言にも思える、ということでしょうか。
これから自分は何度か『女王陛下のお気に入り』を見直すことになるだろうと思っているのですが、そのさいに琥珀さんのお考えもぜひ踏まえながら観てみようかと思います。

f(unction)
グレシャムの法則さんのコメント
2019年2月27日

あの後、程なくアビゲイルに詫びを入れて、また私に尽くしておくれ、などと弱気になっているシーンがあっても違和感はありませんが、あの瞬間の女王然とした振る舞いが何よりも欲していた自分だったと束の間の恍惚感に浸っていたように想像してます。
虚しいといえばこれほど虚しいこともないのですが。

グレシャムの法則
グレシャムの法則さんのコメント
2019年2月27日

では女王の勝利、というか、サラとアビゲイルとの違いは何か。
それは、信頼関係とかもたれ合いなどの様な相手に依存する情緒的な関係を断つという判断をしたことだと思ってます。
サラとの信頼関係、アビゲイルへの見返りを求めるような施し、そういった相手方への斟酌のない、女王として決然とした言動を取る、そして、それは途轍もなく孤独なことである、そしてその孤独を自分は受け入れる(例え長続きしなくても)。
そんな決断が出来たことが、瞬間的なことではあっても、私には高らかな勝利宣言に見えたのです。
女王の人生を考えるとそれが一瞬のことであっても、誇りを取り戻した輝かしさを感じました。

グレシャムの法則
グレシャムの法則さんのコメント
2019年2月27日

f(unction)さん
まだ途中かもしれませんが、少しお邪魔します。
女王の勝利かどうかについては、ご指摘の通り、視点によって見え方が違うことは間違いないと思います。また、瞬間的な事象であって、女王の気質からすれば、永続性は甚だ妖しいとも思っています。だからこそ三者ともに明るい展望が開けない不穏さの漂うラストなのだと思います。

グレシャムの法則
f(unction)さんのコメント
2019年2月25日

(承前)終盤にかけて女王の「上昇」が見られ,アビゲイルとの位置関係にとって視覚的にもそのことが示されます。それゆえ,最後の印象としては(瞬間最大風速としては)女王が勝利したかのようにも思えます。しかし全体を通して見たとき,女王もまた,アビゲイルとサラ同様に,得たものと失ったものの両方があるように思えます。女王がもしも未だにサラを愛していたのだとすれば,女王にとってサラの追放は痛みを伴うものであったはずです。また女王がサラへの愛を失っていたのだとしても,私たち観客の視点からわかるのは,アビゲイルは表面上は女王に服従していながら,内心は微塵も愛情を抱いていないということです。女王はアビゲイルを自由に使役できますが,そこには親愛の情はありません。観客の視点から見ると女王は騙されているように思えます。それゆえ観客の視点からすれば,「真実の愛」を得る点に関しては女王に不足があるように思えます。(これを「敗北」と表現するかどうかは微妙ですが)。
ご機嫌とりをし何でも言うことを聞けば比較的簡単に女王に取り入ることができるがゆえに,女王はサラを求めたところがあったと思います。女王が求めたのは言動ではなく真心です。そしてサラの言動は愛ゆえの厳しさであった(この点に関しては確認が必要に思えます)かもしれません。アビゲイルはサラでは満たせない女王のニーズを満たしましたが,やがて「これでは一般的なおべっか使いと一緒だ」といずれ気づくか,あるいはすでに気づきつつあるのではないでしょうか。ラストシーン,女王はアビゲイルに主従関係を教え込みますが,この時点ですでに女王には,冷めた怒りや失望(所詮あなたもその程度ね,といった)のようなものがあったのではないでしょうか。女王の視点からしても,彼女が得たのは全面的な勝利ではなく,アビゲイル以前にも見られたであろう上下関係の確認です。
女王の"勝利"に関しては,彼女の視点と観客からの視点を区別するということが考えられると気づきました(続)

f(unction)
f(unction)さんのコメント
2019年2月25日

琥珀さん,たいへん内容の豊富なコメントをくださりありがとうございます。
車椅子によって象徴されるように,側近に操られるばかりであった女王が,横領を理由としたサラの追放宣言を起点として,君臨者としての権力(威厳?)を発揮し始めた,というような理解でよろしいでしょうか......?
この映画は,アビゲイルの階段や落下に象徴されるように「上昇と下降」の映画である,と,どなたかが書いたレビューで読みました(残念ながら映画.comレビューであったか,Twitter上のものであったか忘れてしまったのですが)。その観点から言えば,女王に関しては,はじめはどん底にあったもののやがて上昇を始め,ラストシーンで臣下を見下ろす存在となる.その起点こそがサラの追放であった,これに関してはなるほどと思います。そのことは琥珀さんのご指摘によって明確に意識させられました。
私にはラストシーンが不穏で重苦しいものに感じられたので,女王による威厳の行使の動機は,ポジティブなものであるというよりは,どこかネガティブな感情を伴うものであるようにも思います。(続)

f(unction)
カミツレさんのコメント
2019年2月25日

f(unction)さん、フォローいただきありがとうございます!
どちらかといえば寡筆で、非常に長文のレビューを書かれるところに、勝手にシンパシーを覚えております(笑)
またf(unction)さんの深い考察が読めるのを楽しみにしていますよ(^―^)

……一度ぐらい、レビューを書く作品が被ればいいなあとは思いますが(^-^;)
f(unction)さんと互いの意見を戦わせるのはとても楽しそうです♪
これからもどうぞよろしくお願いいたします。

カミツレ
グレシャムの法則さんのコメント
2019年2月25日

で、アビゲイルですが、女王が思ってたより手なづけるのか難しいと感じていたところ、あのウサギのシーンに遭遇したわけです。当初は自分の子どもたちへの負い目みたいな感情が弱気に作用し、生理的な恐怖心として狼狽したものの、その恐怖心がタガを外す効果となって、一瞬で女王としての威厳を取り戻し、エマ・ストーンに対し、立ち位置の違いを明確に、そして決定的に示す行為ができたのだと思います。
などと偉そうに申しましたが、f(unction)さんのレビューを見てから思いついたことです。
新たな思考的刺激をいただけたこと、御礼申し上げます。

グレシャムの法則
グレシャムの法則さんのコメント
2019年2月25日

深い考察、私も大変勉強になりました。
f(unction)さんの文脈で言うと、勝ちを収めたのは女王一人だと私は考えています。サラの横領の真偽はどうでも良かったのだと思います。サラとそれに張り合うアビゲイル、2人の振る舞いから最後に女王は全ては女王たる自分が決められる、という今更ながらの真実を自覚し、その力を自ら行使しようと決意したのではないでしょうか。だから、サラの更迭人事において、横領は後付けの理由であり、役員復帰の目はもうないよ、という宣言が追放という手段だったと思うのです。(続きあり)

グレシャムの法則
f(unction)さんのコメント
2019年2月25日

カミツレさん、コメントありがとうございます。そのような評価をいただくのは大変畏れ多いことに思えます。
自分のレビューを、お褒めの言葉にふさわしいもの足らしめんとするばかりです。

f(unction)
カミツレさんのコメント
2019年2月24日

f(unction)さん、素晴らしいレビューをありがとうございます!
『ヘレディタリー』の時にも思いましたが、考察が非常にロジカルで、
複雑な事柄を実に明快で分かりやすく解説されていますね。感動しました!

カミツレ
f(unction)さんのコメント
2019年2月24日

コメントありがとうございます。この映画では色々なレビューを見ることも楽しみの1つになるように思えます。私自身、色々とレビューを漁るたびに、自分では気付くことのできなかった解釈の存在に気付かされます。

f(unction)
ぢぢぃの老婆心さんのコメント
2019年2月24日

いろいろ、??な点が明らかに、、霧が晴れました。なかなか、難解な映画でエグいですよね。

ぢぢぃの老婆心
f(unction)さんのコメント
2019年2月21日

コメントをしてくださり、どうもありがとうございます。
何かしら参考になれば光栄です。

f(unction)
森のエテコウさんのコメント
2019年2月20日

凄いレビューです。
もう一度観たいと思いました。感謝。

森のエテコウ