「完全版、なんだけど…」この世界の(さらにいくつもの)片隅に Allundoさんの映画レビュー(感想・評価)
完全版、なんだけど…
大好きな作品なので、あまり評価は下げたくないのですが…
すずさんの内面的な部分が補完され、恐らく描きたかったものが描ききられているんだと思います。追加された内容だってファン的には大満足だった。
しかし、映画の構成から考えると、主題から微妙にズレたところで間延びしてしまった感が否めない。
そもそも前作の時点で、過不足なく、必要な要素は全て描写されていたのです。緩急含めて、非常に濃密な内容の連続で、事あるごとに心が揺さぶられる感覚に驚いたものでした。
原作からずいぶん端折られた部分もありましたが、逆に想像の余地を残していたり、映画をみた後でも「あれはそういう意味だったんだ!」という発見があり、感動しました。
そういう意味では、今回の描写は、1つの答えを与えてしまうものです。それを、同じ映画の中でやる必要はあったのか?少しテーマを変えて、リンさんスピンオフで良かったのでは?と正直思ってしまいました。
重ねて言いますが、追加部分、決して悪くないです。相変わらず表現のセンスも素晴らしい。だけど、新たな衝撃を与える内容ではなく、元々本編でそれっぽく仄めかされていた内容なので、わざわざ全体のテンポを悪くしてまで挟む必要がなかったのが非常に惜しいです。
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