「登場人物たちが愛せない」ダンスウィズミー テツヲさんの映画レビュー(感想・評価)
登場人物たちが愛せない
作品全体を見終わった後のモヤモヤ感を自己分析してみます。
脚本の起承転結の流れが気持ち悪いというか、登場人物たちの言動がなぜそうなるのかという感じがして好きになれないのだと思います。
主人公静香の最後の選択をする理由が全く伝わってこないのが一番首をかしげる点であると思います。旅の目的を達した後唐突に千絵を選ぶのが不自然過ぎてなぜなのか理解できませんでした。監督の意図としては子供の頃のトラウマを克服し本当に自分が望む生き方を見つけたのだと言いたいのかとは思うのですが、劇中に2つの生き方に葛藤するシーンが全く無かったと思います。
催眠術のトラブルで大失敗して会社を逃げ出すという社会人として無責任極まりない行動をした上に、その後上司とデートするというのも嫌悪感を覚えました。
上司村上涼介のクズ男設定もレストランのシーンのみで、静香に特に影響を与えていたわけでもないので不要な気がします。
バディの千絵もダメンズ設定は良いのですが、それを補うキャラクターの魅力があっても良かったかなと思います。冒頭の嫌な部分が最後まで覆るエピソードが欲しかったです。
マーチン上田はただの犯罪者だと思います。憎めない要素が皆無です。
コメディ映画の登場人物はダメなところもあるけど魅力いっぱいあって憎めないキャラクター造形であるべきと思います。
この映画を知ったきっかけがサントラというのもあり、ミュージカルシーンは歌もダンスもとても見ごたえがあります。
役者さんの演技もレベルが高いし、撮影の構図などもすごく良いと思います。
それだけに脚本が凄く残念です。
DVDでながら見するとか、ミュージカルシーンだけ見るとかの鑑賞であれば満足度は高いと思います。