「世の中本当は、歌って踊らずにはいられない!」ダンスウィズミー 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
世の中本当は、歌って踊らずにはいられない!
毎回ユニークな題材の矢口史靖監督が手掛けたのは、またまたユニークな題材。
邦画では稀少ジャンルのミュージカル。
ただのミュージカルじゃない。
ミュージカル×催眠術…!?
ミュージカル映画で何故登場人物たちは突然歌って踊り出す?
だって、それがミュージカル映画の醍醐味…なんだけど、ほとんどの人が冷めた見方。
本作のヒロイン・鈴木静香もそう。
ミュージカルなんて、バッカみたい!
…ところが!
胡散臭い催眠術師に催眠術を掛けられ、何と、音楽を聴くと歌って踊らずにはいられない“ミュージカル体質”に♪
催眠術と絡め、突然歌って踊り出すミュージカルを逆手に取った設定がユニーク。
見てる分には面白い。
でも、突然身体が勝手に歌って踊り出してしまう当人にとっては、一大事!
だって世の中、音楽に満ち溢れている。
あちこち、至る所で嫌でも身体が勝手に~♪
まあ確かに、もし実際に高級レストランのシャンデリアにぶら下がって、店をメチャクチャにしてしまう人が居たら、そりゃあドン引くわな…。
このままじゃまともに生活出来ない!
元に戻るには、掛けた本人に解いて貰うしかない。
探偵を雇い、催眠術師のサクラ兼助手の千絵を引き込み、元凶のマーチン上田を探す旅へ出たのだが…。
サラ金に追われ、偽名を使い、地方を転々と営業回りのマーチン上田。
それを追う静香と千絵の珍道中。
途中、田舎の暴走族に因縁付けられたり、路上ミュージシャンに協力してお金を稼いだと思ったら修羅場に遭遇したり、またまた無一文になったり…珍騒動の連続。
果たして、催眠術を解いて貰い、元の生活に戻れるのか…?
ヒロインに次から次へと降り掛かる災難やトラブル。
これは矢口監督の初期作を彷彿。
思いっきりゲラゲラ笑えるのではなく、ユル~い笑いは矢口監督作らしい。
この笑いも好き嫌い分かれそうだが、良くも悪くも矢口コメディ。
しかし本作、三吉彩花を見るのならば、100億点あげてもいい!
それくらい、彼女のキュートな魅力、大大大爆発!
コメディエンヌぶり、猛特訓したという歌やダンス。
素晴らしいくらいのキレッキレではないが、そのちょっと拙さやぎこちなさが寧ろ、萌え~♪
好きな若い女優の一人だったので、こんなにも魅力を思う存分堪能出来て、至福の100分…♪
珍道中を繰り広げるやしろ優がなかなかの好助演。若い女二人が掛け合いしながら友情を深めるロードムービーでもあった。
路上ミュージシャンのchayはあまりよく知らないが、いきなりブッ飛びの展開に!
矢口ワールドに初参加の当代きってのコメディ俳優、ムロツヨシ。時々ウザい時もあるが、本作は割りと抑え気味で、それほどウザくは感じなかった。
そして、さすがに老いたが、宝田明のコメディ演技を見れるとは思わなかった。
ミュージカル映画なので、楽曲も聴きもの。
一曲だけストリート系のヒップホップだが、ほとんどが懐メロ。ここら辺、矢口監督の好みなんだろうなぁ。
「狙いうち」「年下の男の子」など、聴いた事ある名曲が心地よい。(そして、それらを歌い踊る三吉彩花ちゃんが可愛い~~~のッ)
一流企業勤めのOLで、満ち足りた人生を送る静香。が、その心の何処かで…。
ダンス教室を開く夢を持ちながらも、いい加減でちゃらんぽらんな性格と人生を送る千絵。
かつては名を馳せたものの、今ではすっかり腕が鈍ってしまったマーチン上田。
ベタながらも、各々の本当の幸せや大切な事、夢、自信を取り戻し、見出だすまでの物語でもある。
静香がミュージカル嫌いになってしまった原因は、ある過去のトラウマ。
でも、本当は…。
ひと度歌って踊れば…いや、そもそも、世の中に歌やダンスが嫌いな人はそうそう居ないだろう。
ミュージカルは嫌い!…なんてよく言われるけど、本当は歌って踊りたい。
それを代弁してくれる、ハッピー・ミュージカル・ムービー!♪
最近の若い子(あぁおっさんくさい言い方)は結構歌って踊ってます。
ほとんどが飲み屋街のカラオケ帰りの女の子たちですが・・・
ついつい動画撮りたくなってしまいますw