「主役が喰われていた」ダンスウィズミー erimakiさんの映画レビュー(感想・評価)
主役が喰われていた
三吉彩花の存在感が途中から薄くなり、やしろ優(ぽっちゃり)の強すぎるキャラクターに喰われていた。
またミュージカル要素を無理矢理詰め込んだ印象であった。
バラバラのシナリオを組み合わせたような脈絡のないストーリー。例えば田舎でヤンキーとモメる下り、シンガーソングライターと資金集めする下り、本編(静香が催眠術を解くという目的)とあまり関連がない。よってかなり中だるみする。
また催眠術の設定に一貫性がない。
観る前の印象だと、催眠術とは、曲に合わせて踊り出すとその場にいる皆もハッピーになれるような、一種の特殊能力のようなものかと想像していて、割と中盤以降はその通りであったようにも思う。しかし、序盤のオフィスやレストランのミュージカルシーンでは、その場では誰もが一体化していたように見えて実は静香の独り舞台であったし、レストランに至っては破壊行為をしていたという驚愕の事実。催眠術とは危険な幻覚症状なのか?設定に一貫性がない。
ミュージカルシーン自体の魅力が薄い。
そしてミュージカルシーン自体に魅力があるのかと言うと、素人の意見ではあるが、目を見張るようなダンスと言う訳でも、息を飲むような歌声と言う訳でもない、中途半端であった。
コメディ要素も印象が薄い。
自分自身も思わず吹き出してしまうような程のシーンはなかったし、最近のヒット邦画としては記憶に新しい『ザ・ファブル』などに比べると、観客席から聞こえた笑いの数も圧倒的に少なかった。
提案
ストーリーに関しては、先述した幻覚の設定は無くして一貫させる。もしくはディズニーや本来のミュージカルのように、曲が始まればその時、その世界観は完全にそのミュージカルとして一体化させる。
もしくは歌と踊りだけでも観客を魅了できるほどのキャスティングをする。
もしくはコメディ要素を増やしてもっと笑わせにいく。
いずれか一点だけでも突き抜ければだいぶ違ったようにも思う。