イコライザー2のレビュー・感想・評価
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"剣なき秤は無力、秤なき剣は暴力"
自分の過去と戦いながらも"生まれた理由"を見つけた男ロバート・マッコール。今回はその過去と折り合いをつけるため、友人の復讐に乗り出す。
前作で善意からやむ無く殺しまくっていただけでも最強だった、彼の怒りや憎しみ、償いの意から繰り出される殺人スキルは正に絶命必至。
お馴染みのDIY殺法も健在で、チタン製のクレジットカードやティーポット等を武器にして悪を成敗。
さらにラストのハリケーンの中での戦闘シーンではハープーンガン(銛撃ち銃)での"仕掛けて仕損じなし"の一撃必殺。
敵の「ドア突入時はまずスモークグレネードを投げ入れる」というパターンを逆手にとって小麦粉を部屋に拡散させ、粉塵爆発を起こして内臓こんにちは。
スーザンの写真を貼りまくる遊び心ある(?)演出からの敵から奪ったカランビットナイフでメッタ刺し。
と、バラエティに富んだ殺しを魅せてくれる。
しかし、特筆すべきはデイブの家でのシーンのヤバさ。
子供とハイタッチして飛び跳ねたかと思えば敵を脅し、殺しを宣告。そうかと思えばまたまた笑顔で子供とその場を立ち去る。このシーンの怖さ不気味さサイコさたるや自分の持つ恐怖の感情バロメーターを振り切らされてしまうほど。一生忘れられないシーンとなった。
上記とは相反する善や正義の部分も揺るがない物を持つマッコール。市井の人々との交流、黒人青年のマイルズや生き別れた姉の肖像に固執するサムとの関係が描かれ、心が暖まる。特にスーザンの夫から渡された指輪の受け取り方にマッコールの優しさ全てが詰まっていて、気付かないような細かいところまで凝りつつもしっかりと伝わるような演出に脱帽。
このギャップを違和感なく、極限まで引き立たせることができるのはデンゼル・ワシントン以外には思いつきません。
ファンとしては前作の通りホームセンターで働いていて、敵が現れ、またホームセンターでのバトル、という流れでも十分に楽しめたかと思える続編のプロット。それをあえて違ったアプローチの仕方でロバート・マッコールというキャラクターを掘り下げ、前作の余白部分であった彼の過去に焦点をあてることにより、復讐を通してではあるものの過去と折り合いをつけるストーリーにしたことで二番煎じではない、続編として非常に素晴らしいものであったと思います。
2種類ある痛みのうちの"改心の痛み"に苦しんだ彼が"改心の痛み"を知らず、昔のままに正義無き力=暴力を振りかざすデイブに過去の自分を重ね、それを乗り越えた。だからこそ、彼がラストで立っていた(戻った)場所に彼がいることに必然性を感じることができました。
デンゼル×フークア監督の名タッグではお馴染みの"フークア製テフロン加工"を施されたデンゼル・ワシントン。
前作『イコライザー』の爆発シーンでも爆風や炸裂した金属片、小石もなんのその、颯爽と歩いて見せ、『マグニフィセント・セブン』ではあれだけの銃撃戦でもホコリ一つ付着しなかった特殊加工ですが、今回の『イコライザー2』もカテゴリー5のハリケーンなのに突風や高潮をもろともせず暴れまわり、マッコール夫妻が住んでいた家もあれだけ物が飛び交っていたのになぜか無傷でした。笑
秀逸なアクションドラマに少しのサスペンス要素をスパイスにがっちりとまとめあげ、違ったテイストの素晴らしい『イコライザー』となり、デンゼル・ワシントン初の続編は大成功だったと思います!
ここまで来れば3作目を心の底から希望します!!
我が目を疑うくらいのスカ
元CIAでホームセンター店員が活躍する快作『イコライザー』の続編。今回マッコールさんはホームセンターを退職してUBERではなくてLyftドライバーに転職。乗客達が織りなす日常にちょいちょい首を突っ込む毎日だったが、元上官のスーザンが何者かに殺害される事件が発生、誰にも頼まれていないのに独自に捜査を開始するとそこには思いもよらぬ危険が待っていた。
これは我が目を疑うくらいのスカ。そもそもの殺人事件の解決もアッサリしているし、敵は弱っちいし、知人の妹探しというサイドストーリーもとってつけたみたいだし、クライマックスに選ばれた場所には必然性が全くないし、エンドクレジットがやけに短いので全然予算がなかったのでは?というのも透けて見える。面白いのは冒頭の数分間で繰り広げられる本筋と全く関係のない人助けシーンだけ、見せ場は予告で全部出しというダメ映画のテンプレをバカ丁寧になぞった実にくだらないB級アクション。格調高いウェスタン『マグニフィセント・セブン』の次がこれか?とアントワン・フークワ監督の凋落ぶりに頭を抱えました。ダメ過ぎてなぜこうなったのか?と変な興味が湧いてしまい、現場で一体何があったのかが気になって眠れません。
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