「デンゼル・ワシントンの魅力が生きている作品」イコライザー2 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
デンゼル・ワシントンの魅力が生きている作品
本作の魅力は何と言っても悪に立ち向かう正義のヒーローを熱演するデンゼル・ワシントンの力に因るものが大きかったと私は思うのだ。
今のハリウッド界で正義のヒーローとして、その地位を不動の者と誇る存在と言えば、は白人ではイーサン・ハントことトム・クルーズで、黒人でヒーロー役の大御所と言えばデンゼル・ワシントンではないだろうか?
デンゼルの方がトムより8歳年上なので、そろそろアクションスターの役柄も引退?の時期が迫っているのかも知れない。しかし、本作を観る限りでは彼の演じるマッコールの少なくともアクションシーンはもとより、知的なキャラと人間的な魅力というのかな?その人間的な深みを漂わせているところなんて、やはり貫禄充分な大スターのオーラを現在も放っている。
只、現在60代半ばに差しかかる彼に、この路線での役柄が何時まで出来るのか?
彼の芝居の魅力を最も引き出してくれる作家に巡り合えれば良いのだがと、これからの彼の役作りが気になってしまった。
何せ彼が60歳になって演じたマッコールの2作目である本作、マッコールの魅力は良いのだが、肝心要の本作のアクション映画としての事件性の薄さが、作品としての力を半減させている今回の映画作品としての出来栄えではこのままシリーズ化は出来そうにないと私は思う。
それだけに今回は、この彼の熱演が無駄にならなければ良いのだがと残念でならない。
前半のテンポ展開から、徐々に後半へ移る程中だるみが起きて、作品全体の印象としては鑑賞後の印象としてキレの悪い作品と言う印象が残ってしまう展開が残念。
CIA絡みの国際犯罪の裏側をサスペンス味たっぷり描き出してくれる作品かと思っていたら、単なる仇討作品って処が、期待外れの展開でしたよね。
そして、ラストのアクションシーン何で、いきなりハリケーンの中で戦う事になるのか不自然でしょうがない。
マッコールの抑えられぬ憤怒そして無念さ、その悲痛な心情を豪雨と強風で表現している訳ではないだろうから、あのシーンは特別悪天候にする必要性を感じられなかったと考えるのだが・・・
ホントに最後ちょっとほっこりエピソードが3つ有った事で救われた。
そして最後この映画を観て私の心に最後に残った想いは、「人はどんなに傷つき、孤独になろうとも常に希望を捨てない事、人は希望を胸に生きる時、必ず運命が味方してくれる」と言う事だ。
劇中のマッコールが読書家であり、常日頃から自己の精神を深く見つめて生きていると言うキャラも納得出来る要因の一つだ。
そうでなければ、マッコールも自己のエゴに負けて、彼の仲間の様に、人は悪に手を染めると言う事なのだろう。
しかしCIA等特殊任務に従事する人間が、強靭身体を維持し、その殺傷能力を維持していても、自己のエゴに打ち勝てないと言う、人の脆さを持っていると言うのも疑問が残った。身体を鍛えると精神も鍛えられるのではないだろうか? ここに正義に対する東西の相違が有るのだろうか?