「必殺裏稼業 VS 必殺ボランティア」イコライザー2 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
必殺裏稼業 VS 必殺ボランティア
デンゼル・ワシントン主演のアクションスリラー『イコライザー』続編が登場!
元CIAの凄腕エージェント・マッコールが、平穏な生活を送る裏で、
法の目をかいくぐる悪党どもに人知れず制裁を加えていくという、
言うなれば現代アメリカ版『必殺仕事人』みたいな物語。
まあ仕事人は報酬で動くが、マッコールさんは基本自主活動なので、
〝必殺仕事人”よりは〝必殺スーパーボランティアおじさん”と
呼ぶのが正確かもしれない(物騒すぎるボランティア)。
今回はCIAの元上官が何者かに殺され、その真相解明のために調査を開始する流れ。
...
なんといっても上官殺しの黒幕として対決することになるのが、
マッコールのCIA時代のチームメンバー!というところがミソ。
地元ギャングや悪質な金持ち連中にマッコールが負けるとは思えないが、敵はかつての仲間、しかも
自分と同様の殺しのスキルを持つ強敵4人だ。冷徹で、動きに無駄がなく、統率も取れている。
そんな彼らに人質まで取られた状態で勝てるのか? 嵐の港町でのクライマックス戦は緊張感バリバリ!
だが、デンジャー・ワシントン演じるマッコールさんは規格外に強い。
チンピラ相手では茶瓶やカードなどの日用品を一瞬で武器に変えたり、
相手が違和感や驚きで怯む、たかだか1,2秒のスキを突いて始末したりする。
殺しのスキルを磨き上げた強敵4人相手でも、
ライトや写真でほんの一瞬のスキを誘ったり、突入時にフラッシュバン
(閃光手榴弾)を投げ込む習慣を利用して粉塵爆破を起こさせたり、
彼ら以上に無駄がないし、彼ら以上に冷徹である。
住宅街のど真ん中で、敵の家族もすぐ後ろにいるのに、「お前ら全員殺すね!」
と微笑みながら宣言するシーンとか、怖すぎてなんかもう逆に笑えてくる。
...
映画では上官殺しの件と並行して、彼の様々な人助けも描かれる。
「俺がこの街を守る」みたいな大きな望みで動いている訳ではなく、
近所の本屋、アパートの住人、タクシーの乗客といった具合に、
あくまで自分の手の届く範囲の人々を助ける姿に親近感。
亡き元上官と協力してサム老人に届けた贈り物にはウルッときたし、
マイルズ青年相手には、厳しく誠実にその道を正そうとする。
「お前は死について何も知らない」と珍しく激昂する場面は、
きっと彼自身の後悔も滲み出ていたんだろう。
愛する妻を亡くした家で、海岸を静かに眺める彼。
元上官は「仕事に戻るべき」とアドバイスをしていたけど、
自分が取り戻せないものを誰かのために取り戻そうと腕を振るう彼は、
とっくに自分の新しい生き甲斐を見つけていたのかもしれない。
さらば、孤高のヒーロー・マッコール、また逢う日まで――
...
……ん。ん? んん?
あれ、ちょっと待てよ?
元同僚のデイヴたち4人が元上官さんを殺したのは、
ブリュッセルのあの局員を殺したのが自分たちだとバレるのを恐れて、だったよね。
で、ブリュッセルの局員を彼らが殺したのは、暗殺を依頼されたから、だったよね。
え? じゃあブリュッセルの殺しの黒幕って誰だっけ? 野放しのまま?
そもそもなんで殺されたんだっけ、彼? え、いいのコレ? 何か見落としてる?
上官殺しの調査とマッコールの“ボランティア活動”を交互に描く流れも、マッコールがその時の気分次第で
動いているようにホイホイと目的が変わるので、話がいささか散漫になったり流れが悪かったり感じたかな。
あと同僚4人も、もうちょっと強くても良かったかなあ。特にデイヴさん、もっと冷静に。
...
なんだか大きな疑問が残ってしまってる気がするんだが――
それでもキレのあるアクションと人情味ある話を楽しめました。
観て損ナシの3.5? いや、3.25くらいかなあ、どうしよ。
うーん……ちょっと甘めの3.5判定で。
<2018.10.06鑑賞>
おもろかったッっすねえ、これ。
クライマックスのロケーションが非常に秀逸で迫力満点。(昼でも夜でもないのがまた実に良かった)
自分も観終わってから同じポイントを"ん?"と思い、なんか見落とした?(笑)と思いましたが、フークア監督の3部作なんでしょう(笑)。これよりいかすクライマックス作れるかなー?