劇場公開日 2019年1月25日

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「切ないけど…滑稽」二階堂家物語 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5切ないけど…滑稽

2019年1月25日
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程度の差こそあれ、こうした家柄とか、古い因習に縛られている家は沢山あるような気がする。
そして、男の子が生まれないとか、婿が来ないとか、その「先祖代々」は、ある日突然問題に直面する。
現代社会になっても、半ば権力と一体化した年寄りは、お妾さんだとか、二号さんだとか社会通念とはかけ離れたことを言い始める。
本人は少しでも自由になりたいと思っていても、結局半分は、理想や綺麗事で、実は自分もその因習に、既に、捕縛されていて、「先祖代々」や「女性への抑圧」はまた繰り返される。
ただ、これは日本に限ったことではないのではないだろうか。
だから、パナハンデ監督は女性や外国人の視点も交えながらも、愛情も皮肉もたっぷりに、ちょっと滑稽に撮ったのではないか。
こんなことは、実は世界中に転がっているのだ。
そして、人なんて、どこにいても、おんなじレベルなのだ。
自由を語るパトリックが、さも異文化を理解してると言わんばかりに、一族相伝の典型のような雅楽を学んでいるのも、ある意味で滑稽だ。
先祖代々を不自由の象徴のように語りながら、パトリックだって、離れて暮らす両親のことが心配で、結婚して戻るプランを考えていたじゃないか。
みんな、そんな大差ないのだ。
そう、こうして「先祖代々」は続き、そしてほころび、徐々に形を変化させても、人々は我が家の伝統とか言って、ずっと変わらないと信じ込みながら、何も気づかずに過ごすのだ。
この映画の英語のタイトルは、
THE NIKAIDOS’ FALL
だったじゃないか。
その場その場に居合わせて、葛藤する人はきっと切ないに違いない。
ちょっと気の毒でもある。
でも、やっぱり滑稽で…。
魅入ってしまう不思議な映画だった。

ワンコ