アルキメデスの大戦のレビュー・感想・評価
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これからの戦いは戦艦か。飛行機か。
呉に行くため、鑑賞。
天才数学者が戦争で無双するストーリー系かと思っていた。
戦争経験者も少なくなり、当時の日本の世界観を味わっていない、
戦後80年も経つから言えることだが、
すべてが負け戦に向かっているように思う…。
第一次世界大戦の時代は戦艦から大鵬攻撃が強かったのだろうが、
技術が進み、飛行機が発明され、空からの攻撃が可能になり、
戦艦の実用性が下がってきている。
それなのに戦艦にこだわる日本。
永遠のゼロを見るに、そこまで飛行技術も悪くないはずなのに、
空母をつくっていたら、先の大戦は何か変わっていたのかな?
24.8.1 レンタルDVD
平山中将のロジックは許しがたいが納得せざるを得ない
冒頭、大和に撃墜された米戦闘機からパラシュートで脱出したパイロットを米水上機が救出。
それを目の当たりにした大和乗組員が愕然とする。
「お国の為に死んでこい」という同調圧力と教育を受けた当時の日本兵が、アメリカの命を尊ぶ人間としてあたりまえの行為に「真の国力」の違いを痛感する場面。
映画の骨子を冒頭で表現しているので、それを踏まえて最後まで作り手のメッセージを感じながら観る事ができました。
日本人のDNAに刻まれた“目上の者に物申せない“
“面と向かって言わず陰口をたたく“
“右にならえのステレオタイプ“
といった国民性に対するアンチテーゼの様な櫂少尉の言動は痛快!
周りの環境で想像力と合理的な思考を失わない事を
教えてくれました。
山崎ドラマの面目躍如
原作は『ドラゴン桜』の三田紀房の同名マンガ。
監督は『ゴジラ-1.0』の山崎貴。
【ストーリー】
1933年。
海軍は次期主力戦艦の選定に混乱していた。
航空戦力を主体とした航空母艦を推す永野修身と山本五十六と、大鑑巨砲派の嶋田繁太郎の対立で混迷を極めていたのだ。
平山忠道技術中将の提出した異様に予算の低い超弩級戦艦設計案により、永野たちは劣勢となっていた。
大艦巨砲主義は日本を戦争に向かわせる破滅の道だと、二人が料亭で協議していると、隣の部屋で豪遊していた書生の櫂直(菅田将暉)に出会う。
櫂はのちのノーベル物理学賞受賞者となる湯川秀樹と並び称される、数学の天才であった。
永野と山本は櫂をおし立てて、平山案の瑕疵を見つけだし、超弩級戦艦の廃案をねらう。
後に大和級戦艦と呼ばれた、あのバカでかい回転砲塔に六〇サンチ砲や四五サンチ砲とかいう破格の弾をぶっとばす、長い砲身の三連砲を主砲にした超弩級戦艦。
航空主兵論がわを視点に、その建造阻止を目的とするという冴えたアイデアは、さすがドラゴン桜ほかヒット作を連発する三田紀房ならでは。
山崎作品でもっとも弱いとされてきたドラマパート。
この作品だけは、その弱点がほぼ解消されています。
傑出していたのは、今までになかった抑制の演技。
主演の菅田将暉は、板書する公式すべてを理解しながら解答しつつ説明もできるという、意外な数学脳の持ち主。
すごい。
数字パズルの数独しかやらない自分とは、頭の出来からちがうぜ!
えー、山崎ドラマの弱点に話を戻しますが、やり取りやセリフが類型的すぎること。
そしてそれをただ撮ること。
これをするとリアリティのない部分がただ浮き彫りになるんですね。
それを櫂直という特異なキャラクターで、うまくまわりの役者との芝居を作ったのが、この菅田将暉ではないかと。
自分はただの素人の門外漢なので、演技の良し悪しなんてほぼ分かりませんが、山崎作品の中で、この映画だけは引っかからずに見られました。
原田眞人監督の『日本の一番長い日』の直後に見まして、あちらも良作でしたが、こっちの方がドラマも優れていると感じました。
もう一つ、原田眞人と山崎貴、二人とも日常シーンの撮り方似てますね。
会話の長回しとか、カメラのフィックスを多用するところとか、俯瞰やアオリをあんまり使わないところとか。
微積分を理解しやすく説明し、巧みに物語へと組みこみ、そしてラスト、大和の6分の1サイズのミニチュアの前での圧巻の議論。
冴えたアイデアをうまく切り取って、演者たちとの相乗効果も生んだ、山崎貴作品随一の傑作だと思います。
日本の平和を目指して帝国海軍と、数学の力で闘いを挑むというのはとても良かったのだが、その後の展開が今一つと思えてしまった
山崎貴監督による2019年製作(130分/G)の日本映画。
配給:東宝、劇場公開日:2019年7月26日。
三田紀房による原作漫画は全く読んでいなかったが、子供の頃戦艦大和は勿論、連合艦隊のプラモデル作りに夢中になっていた人間としては、初っ端の戦艦が航空攻撃されて傾いて沈んでいく映像のリアリティには、感心させられた。
東大理学部数学科卒業で数学の天才という菅田将暉演ずる櫂直のキャラクター設計は、なかなかユニークで面白かった。家庭教師の生徒である尾崎鏡(浜辺美波)が寝ているところを、色々と物差しで測ってしまうのが笑える。
海軍で菅田の部下にされてしまう田中正二郎を演ずる柄本佑も、気に入らない奴だが上下関係は絶対と嫌々従うが、次第に櫂に心酔していく下っ端軍人を好演。軍艦製造を受注していた会社の社長を演じていた笑福亭鶴瓶も、頑固だが魅力的な大阪商人を演じ、感心させられた。
平山 忠道造船中将(演じていたのは田中泯)のキャラクターは、大変に興味深かった。鏡の父親がトップの尾崎財閥とは癒着し自分の建造案を通すために不当に安い見積もりを提出。そのことを櫂に散々の苦労の末暴かれるも、他国に見積もりが漏れることを考慮した配慮のためと主張し、逆に評価されてしまう。ただ意外にも、櫂に安全想定基準の甘さを指摘されると自身の計画の欠陥を認め、アッサリと計画案を取り下げてしまう。理系技術者としての誇りを十二分に持っていたことにビックリさせられたとともに、技術者のことを良く分かってる設定だなと感心もした。
その後、平山は信頼感を持った櫂に、巨大戦艦を元の設計で作り、その「大和」が沈むことで戦意を喪失させ、国民に負けを認めさせるたいと打ち明ける。イマイチというか、大和撃沈への負け惜しみというか、無理クリ感満載の展開と思ってしまった。
あと、櫂が黒板に書いていた戦艦の鉄の総量と建造費(鉄量1トンあたり)の関数式だが、鉄量1344トンまで急激に上昇し、そこから急激に下がるかたちになっていて、数学の監修も有る様だが、1344トンの説明も無く、理科系のサガだが自分的には十分な納得感は乏しかった。
監督山崎貴、原作三田紀房、脚本山崎貴、製作市川南、エグゼクティブプロデューサー阿部秀司 山内章弘、プロデューサー佐藤善宏 、守屋圭一郎、ラインプロデューサー阿部豪、撮影
柴崎幸三、照明上田なりゆき、録音藤本賢一、美術上條安里、装飾龍田哲児、VFX山崎貴、VFXディレクター渋谷紀世子、衣装水島愛子、ヘアメイク宮内三千代、編集宮島竜治、音楽佐藤直紀、カラーグレーター齋藤精二、音響効果岡瀬晶彦、特機奥田悟、キャスティング梅本竜矢、スクリプター阿保知香子、助監督安達耕平、制作担当櫻井紘史、プロダクション統括
佐藤毅。
出演
菅田将暉櫂直、柄本佑田中正二郎、浜辺美波尾崎鏡子、笑福亭鶴瓶大里清、小林克也大角岑生、小日向文世宇野積造、國村隼長野修身、橋爪功嶋田繁太郎、田中泯平山忠道、舘ひろし山本五十六。
いかにも漫画原作という感じ
飽きずには見れたが、話しの内容は重厚で深そうだけど、展開が漫画チックで浅いなぁ。
主人公がいかにも漫画が描く天才という感じで、「そんなわけないだろ」と冷めて見てしまう。専門でもないのに戦艦の図面を1日で描いたり、建造費用を1日で計算したり、そのスーパー天才ぶりには、実写だと違和感を感じる。
戦艦の費用の複雑な計算に苦労する中、天才主人公の最後の手段は、船の鉄の量と費用との相関関係式を作りだし、戦艦の鉄の量だけで費用計算するものだった。そして、その相関関係式は、過去の建造船の費用を正確に言い当てた。そんなバカな。相関関係式なんかで、複雑な計算が必要な建造費用を正確に求められるわけがない。全然論理的じゃない。
最終決定会議で、敵方が出した戦艦の費用が安すぎることを主人公が暴いたあと、敵方の「アメリカを欺くために費用を安く見積もった。高い費用で公表すると戦艦の規模がアメリカにバレてしまう。」という苦しい言い訳に、「すばらしい」と出席者全員納得してしまうという軽さ。子供の会議か!
大和の設計責任者は「大和を沈めるために作る」と言う。アメリカと戦ったら日本は必ず負ける。日本を象徴する巨大な戦艦を作り、それが沈められることによって日本人に戦争が無駄なことを分からせるのだ、と言うのだ。ドラマチックな考えではあるが、そんなことで数千億円の戦艦を何年もかけて作る人いないでしょう。これもいかにも漫画的。
漫画だったら面白いのだろうが、実写だと嘘っぽくてシラケてしまう。
今まで見たドラマ、映画のなかで一番腹黒い山本五十六だった。 本作で...
今まで見たドラマ、映画のなかで一番腹黒い山本五十六だった。
本作で大和の生みの親、田中泯演じる平井の真意を超えて大和は日本人のロマンとなってしまった。
うーん、、、
フィクションであることを差し引いてもなんだかなぁと言わざるを得ない感じの出来
特に主人公の演技にあまりいい感触を抱けなかった。丁寧語でハキハキ早口で喋るのだがこれが実に不自然極まりないのである。頭の回る数学者なんてのはぶつぶつなんかつぶやく変人ぐらいじゃないと似合わない。
そして出てくる数式が胡散臭くて見てられない。。取ってつけたような”数学力”に魅力があまり感じられなかった。
武器を持たない男たちの戦い
漫画としても面白いのだけど、一本の映画としての完成度が驚くほど高く期待せずに見たのにも関わらず感動してしまった。
感動というのは悲しくて泣くことではなく、心が震えたと言う意味だ。
巨大戦艦を廃案にするために見積金額の不正を暴くべく、何の資料もないところからの、あっと驚くような展開、そこにきてのどんでん返しと、巨大戦艦の完成にかける皮肉的な結末。
まさに驚きの連続だった。
主人公の天才っぷりがあまりにも非現実的ではあるのだけど、それがどうにでも良くなるようなラストの展開が素晴らしい。
最後の最後までこの戦艦の名前を出さずに、最後に大和という言葉を持ってくるのは映画のクライマックスとして最高でした。
日本という、負けることを知らない国が負けを認めさせるための依代としての存在。
この戦艦が沈む時、日本は負けを認めざるを得なくなるだろう。
それが大和だ。
完全なフィクションなんだけど、悲劇の運命と重ね合わせると、なんとも言えない気持ちになる。
リアリティのあるフィクションながら才能に嫉妬を覚える映画
2019年に公開された映画だが、最近ネットフリックスに追加されたので視聴。
巨大な戦艦か空母か、アメリカとの戦争に向けた戦力として相応しい兵器を製造するため、軍では会議が行われていた。戦艦を作り日本の美と英知を見せつけるか、主戦場を空として捉えた空母を作るかは、それぞれの正義に基づく戦いであった。
史実と違い、登場人物や実際の筋書きはフィクションながら、大日本帝国やその考え方、軍規の厳しさなどのリアリティを混ぜた展開のため非常にのめりこめた。
主人公の櫂は本作オリジナルの人物で湯川直樹と並ぶと評されるほど数学に関しての天才。数字に関する知識や真実を追い求める情熱が非常に伝わると同時に、リアルでこんな人物がいたらとんでもなく嫉妬する。2週間で積算、数日で図面を書き鉄の数量で見積もりをはじき出す方程式を編み出す。かなりフィクションを感じるが、それでも天才ならできてしまうのだろうかと思ってしまうギリギリのラインが面白い。
平山の真実の正義と自国を憂う考えにも非常に共感と納得を覚えた。表面的な正義を貫こうとするだけでは自国を守れず、また勝つことだけが正義ではなく負けた後の国の行く末まで想像することにも思慮深さが感じられた。
菅田さんは戦隊ヒーローだと…
美しいものを見たら図りたくなってしまう
数字が好きな男のstory
メジャーで図りながら船の構造予算案を出すことができる スゴい人 変人と言われて最後は天才だと思われる
菅田さんが垢抜けているので……カッコいい
その数式が戦争回避できる方向だったらよかったのに逆に戦艦大和をつくる手助けになってしまった事が悲しい
数人の滑舌の悪さが気になりました
早口のセリフだからかもしれませんね
戦艦の発注を決める時の会議が少しオーバーリアクションで菅田さんが将に戦隊ヒーローの様です
その中で田中みんさんの言葉は切々と届きました どう考えても戦艦を造っている場合ではなかったのに
国民の貧しさ等考えてない軍事政府の愚かさ…… ただ美しい戦艦大和を見たかっただけなのかも
ストーリーに説得力がないフィクション映画。!
昨今の日本人が斜めに物事を見たがるがそれが好評の理由かもしれない。
また、相変わらず山本五十六が正しいと言う前提になっている。
此の映画を正確に評価するには軍事的な知識と兵器の歴史も知る必要があると思います。!
大鑑巨砲主義を捨て切れなかった旧海軍が敗戦の要因ではない事。
もっと言えば空母部隊に突出して頼り過ぎた為負けたと言える。
(旧日本海軍の空母や戦艦等の艦艇はアメリカ空母艦載機にこてんぱんにやられているが日本の空母艦載機が沈めた正規空母はイ168潜水艦にとどめを指さされたヨークタウンをふくめても四隻で戦艦にいたっては真珠湾意外は0である。)
またアメリカ海軍の巧みな戦術と最新機器の前にも敗れたとも言える。
そのいい例がミッドウェイ海戦である
三空母亡き後、空母飛龍から攻撃に飛びたった艦載機は空母ヨークタウンに致命傷を与えるが艦載機の被害は半数以上の損失となっている。
これはまだ対空砲にもVT信管もまだない時代にあってアメリカ海軍が空母を中心とした艦隊を輸形陣と言われる防御作で他の艦艇が空母を守る策をとったからである。
その後の空母を主体となった南太平洋沖海戦では空母ホーネットを沈めるが
VT信管も実用化された為日本艦載機の被害はさらに増大する。
特に搭乗員の被害はミッドウェイ海戦よりもさらに悪化し取り返しのつかない状況となった。
これ以降(開戦から1年もたたないで)日本の空母部隊はまともに機能出来なくなった。
これが事実である。!
空母主体による航空部隊による有効性(真珠湾の最後通告1時間前の奇襲を除外すると完全勝利はない)示めしたもののその後アメリカとの空母同士の海戦は引き分けか負け戦である。!
これは、連合艦隊の艦艇、艦種を有効に使用出来なかった事が大きな要因の一つである。
特に大和に代表される戦艦群は有効に使用されていない。
ミッドウェイ海戦時に、もし空母四隻の周りに輪形陣の策で大和や長門がいて対空射撃をしていたら空母四隻は沈んでいただろうか?
なぜ、ミッドウェイ島やガナルカナル島の砲撃に戦艦大和の46cm砲を使わなかったのか?
また最初の戦艦対戦艦の戦いでも日本は負けている。
戦艦比叡は新鋭戦艦ワシントンの対決で比叡は沈められている。
アメリカ海軍は惜しみもなく新鋭戦艦を此の戦いに投入してガナルカナル島を必死に守ろうとしているが日本の新鋭戦艦大和、二番艦武蔵は温存され作戦に参加させていない。→大和ホテルと武蔵屋旅館状態。
※沖縄特攻であんな惨めな作戦を実施するなら、さらに言えば対米戦早期講話を実現するなら、ここで突っ込ませるべきであったと思うのは私だけではあるまい。
せめて二艦失う事を恐れたのであればどちらか一艦だけでもと思う。
→山本長官何故?
大和を使用するタイミングを見失い、さらに艦艇同士が互いに守り戦う思想も旧日本海軍には足りなかったのである。
現代の軍事理論では常識の事。!
戦艦大和だって有効に使えば活躍出来たのである。
そして必要な戦艦だったのである。!
アメリカ海軍でさえ20世紀後半まで海兵隊の強い希望もあり戦艦を配備していた事実がある。
また、ソビエト崩壊前のソビエト海軍は近代兵器をまとった戦艦を配備してアメリカ海軍に対抗していた、事実もある。
映画の平山中将の言う大和は日本人に敗北を促す為(よりしろ?)に造った船ではない。
勝利の為に作った戦艦である。!
数学の道理の前に軍事理論を触れていないし、二番艦武蔵、三番艦信濃の事は無視され、山本長官側が提案する新規空母案は何も触れられていない。
(翔鶴型2隻→大鳳型1隻→?)
さらに平山中将曰く、!
大和が沈めば日本は戦争を諦める。?
大和型の二番艦武蔵が大和が沈む5ヶ月前にレイテ、シブヤン海で沈んでいますよね。
同型艦の武蔵が沈んでいるのに日本は戦争をやめていませんよね。!
大和が沈んでから二発原爆落ちてますね。!
大都市の空襲もありましたね。
大和が沈んでから何十万も死んでいますよね。!
平山理論(浅はかなセンチメンタル)は歴史的事実とかなり異なり、ある意味不謹慎とさえ思える。
「ふざけるな!」と言いたい。
ストーリーに説得力がない映画。
私から言わせれば戦艦大和に間違ったノスタルジックを植え付けた映画である。!
ただ、役者さん達の演技は見事。
冒頭の大和の戦闘と沈没シーンの特撮は「男達の大和」よりリアルで進歩したと思う。ここだけは評価したい。
(星2の理由。)
自国の戦艦を正確に評価出来ない映画関係者は本当に嘆かわしい。
この映画を見て変に感動する日本人もまた、哀れで涙が出てくる。
菅田将暉君がラストで大和を見て涙した様に。
戦争に関係した映画をよく見るが、そういった点や戦時中に天才数学者が...
戦争に関係した映画をよく見るが、そういった点や戦時中に天才数学者がどうかかわっているか興味をもってみることにした。
日本と欧米の対立が激化する昭和8年、日本帝国海軍上層部は巨大戦艦・大和の建造計画に大きな期待を寄せていたが、海軍少将・山本五十六はその計画に待ったをかけた。山本は代替案を提案するも、上層部は世界に誇示する大きさを誇る大和の建造を支持していた。
しかし、提示した金額でできるほどたやすいものではなかった。山本は大和の建造にかかる莫大な費用を算出し、大和建造計画の裏に隠された不正を暴こうとした。そんな時、座敷で芸者と遊ぶ櫂直とでくわす。その人物こそ天才数学者・櫂直であった。東京帝大に通っていた学生であったが、尾崎財閥の令嬢との関係を誤解され、大学退学に追い込まれる。山本は彼の天才的な能力を使って不正を暴くために、櫂直を海軍に招き入れる。しかし、その不正を暴くく過程で、海軍の壁に幾度も阻まれる。その壁にどう立ち向かったか、また、どう不正を暴いたのかというところがおもしろい。
戦争映画でよく出演される國村隼氏。軍服がよく似合う。また、山本五十六を舘ひろしが演じている。今回、山本五十六が主人公ではないが、重要な役割を占めている。
また、主人公である櫂直役を菅田将暉が好演している。数学の公式や計算などまさに天才数学者そのものだった。
最終的には、太平洋戦争に突入し巨大戦艦が造られることになる。
戦艦か空母かの選択から浮かび上がる旧日本海軍の戦争史観考察のエンターテインメント映画の作為
1933年の海軍における新造艦に関する会議にスポットを当てた軍内部の戦争映画。戦争に突入した時の航空母艦の必要性を主張する山本五十六少将を中心にした航空主兵主義派と、平山忠道造船中将が薦める巨大戦艦による国威発揚を主眼とした大艦巨砲主義派の攻防がドラマチックに描かれる。その間に介入して、平山中将の建造費不正を暴くのが主人公櫂直。彼は、造船業を営む尾崎家財閥の令嬢鏡子との交際が発覚して帝大を放校になった天才数学者。総鉄量から建造費を算出する高等な数式で公開予算の2倍近い実数値を明らかにする。しかし、見た目で分かる巨大戦艦の低予算の理由が敵を欺くための策略とする決着の説得力が弱い。芸者遊びに夢中の櫂を数学の天才と知って一気に海軍経理局の主計少佐に抜擢する点や、幾ら天才とは言え設計に素人の櫂が短期間で専門家が唸るほどの戦艦の精緻な設計図を書き上げるところと併せ、ストーリー展開に作為が常に付きまとう。勿論エンターテインメント優先の映画作りにある分かり易さまで批判はしないが、脚本と演出に深みが無いため主人公の存在感が浮いてしまっている。主演の菅田将暉の演技力で何とか観れる櫂直の人物像である。アメリカ留学を断念して氷川丸から下船するシークエンスの安易に省略された心境変化の表現は、他の俳優では成立しなかったと思われる。流石に國村隼、橋爪功、田中泯のベテラン俳優の演技は素晴らしく作品を引っ張るが、台詞の陳腐さまではカバーしきれていない。主人公を補佐する田中少尉を演じる柄本佑も定型的な役柄を強いられて、彼の個性が生かされていないのも頂けない。
しかし、それでも興味深いのは、ラストの櫂と平山中将の会話で触れている日本人の戦争観についての考察である。国際情勢から取り残され孤立した日本が戦争回避を諦め、日本国の威信を最優先に捉えた滅びの美学に至る軍人の本音を吐露する。そこに国民の、兵士の犠牲は語られていない。これは、あくまでも現在の歴史観から導き出され創作された”依り代”の象徴としての戦艦大和の存在理由である。実際は、1945年の4月7日に沈没してから4ヵ月も戦いを止めなかったことが、より多くの犠牲者を出してしまった。早期解決を目論む国際交渉の失敗や死を持って国に忠誠を捧げる教育など、多くの要素が重なり合った悲劇を考えさせる点で意味がある。思えば、冒頭の戦艦大和がアメリカ軍の猛攻撃を受ける場面で、墜落する飛行機から脱出した兵士を救出するアメリカ軍の人命優先のカットがあった。それを訝し気に見詰める日本兵士の描写が、この映画で最も意味がある場面ではないだろうか。兵士の犠牲までを作戦に取り入れた日本軍と兵士を人間として扱うアメリカ軍の違いが象徴的に表現されていた。
山崎貴の脚本・演出には「永遠の0」同様感心しないが、描かれた内容の主題についての問題提起には日本人として考えさせるものがあり、その点では鑑賞する価値はあった。
最高でした!!!!!ストーリーも良いし菅田将暉の演技力も良い。 と...
最高でした!!!!!ストーリーも良いし菅田将暉の演技力も良い。
とにかく全てがよかったが最後にヤマトのところで涙が出た
黒板俳優
原作とはキャラもテーマも山崎貴監督流に脚色、込み入った話も大和に絞っています。
内容はまさに映画のキャッチコピー「数学で戦争を止めようとした男の物語」に尽きましょう。
数学が絡んだ映画では「イミテーション・ゲーム」という暗号解読秘話がありましたが専門用語が飛び交う世界観は知的好奇心をくすぐるので興味深いですね。ただ、本作は史実ではないし応用数学も観客のレベルを考慮したのか控えめでした。第一、アルキメデスは小学生でも知っていますが原理は本作では使われません、著名な数学者の象徴として主人公をなぞっているのでしょう。
無理難題をしつらえるとしても海軍内部の予算会議で肝心の費用見積りすら機密にするのでは全く機能不全、史実では対外偽装として架空の駆逐艦3隻、潜水艦などと抱き合わせて公表費用を抑えていたとのこと。映画でも開き直りの抗弁として使われていましたね。
見どころは櫂直を演じた菅田将暉さん、自らを黒板俳優と自嘲していましたがプレゼンシーンは名演でした。ただ、確かに主人公の天才ぶりには舌を巻きますが一週間足らずで船舶工学、設計要領をマスターしてしまうのは強引でしょう。細部にこだわるのも野暮ですが折角の図面を切り分けてどうやって鉄の量をだしたのかも分かりにくいし、時間対処の演出都合にしか見えません。
むしろ怖いのは天才をたらしこむ大人の悪知恵、人たらしと言われた山本五十六の開戦抑止論を飛び越えた平山造船中将の大和かたしろ(身代わり)論でしょうか、田中泯さんの得体のしれない老獪振りは身の毛がよだちます。詭弁であったことは武蔵建造でも明らかですね。
純粋な科学や学問も権力者の口車に乗ったが最後、亡国の道具に成り果てる怖さを感じさせる話題作でした。
何度も見たい映画です。圧巻でした。
山崎監督の「永遠の0」を定期的に見るほど山崎監督の作品には惹かれるものがあるので、「アルキメデスの大戦」もずっと見たいと思っていたところ、念願叶ってやっと本日DVDレンタルをして鑑賞しました。
感想はタイトル通り圧巻でした。CGの技術、音楽の入るタイミングや壮大さ、俳優さんたちの名演技、物語の構成に無駄がないことなど、全てにおいて素晴らしく、最初から最後まで没頭したまま鑑賞していました。
菅田将暉さん演じる櫂直が、最初はだらしがなく偏見を持っていて癖のある人物に見えるのですが、その描写があったおかげで戦艦大和にかかる資金を暴くために努力している様子により胸を打たれたのだと思います。完全に柄本さん演じる田中と同じ気持ちでした。
それからは、主人公が報われるように願いながら最後まで見ていたため、戦艦大和に必要な資金を安く見積もっていたことが故意的なものだと知った時の絶望がすごかったです。でも最終的に欠陥を暴き、今までの努力が無駄ではなかったと分かった時に安堵しました。感情が特に揺さぶられたシーンの一つです。
もう一つの感情が揺さぶられたシーンは、菅田将暉さん演じる櫂直と田中さん演じる平山が、戦艦大和の1/20の模型を前に繰り広げる戦争への考えを話すシーンです。
戦艦大和に託された使命があまりにも酷で、でもそれは日本国民を最も納得させた上で守るための術でもあって。平山はこれから何が起こるのかをわかった(予想した)上で設計を進めていたと思うと、それもあまりにも酷でとてもやり切れない気持ちになりました。
個人的な見解ですが、最後の「戦艦大和が完成して櫂直がそれを見て涙を流すシーン」も、これから何が起こるのかを想像して、でもどうすることもできなくて流した涙だったのかなと思います。
また、恥ずかしながら他の方のレビューを見て気付いたのですが、私たち視聴者は最初に結末を見せられてからそれまでの過程を見ていたと知り、映画を見終えてすぐにもう一度最初から見始めました。
初めて見た時点で既にあのシーンは残酷で苦しかったのですが、映画を全て見て戦艦大和が作られた背景を知ってから見る最初のシーンは、櫂直や平山の想いが頭をよぎってより苦しくなりました。
山崎監督が作る映画作品は何度も見たくなります。「永遠の0」も岡田さん演じる主人公の最後のシーンの表情を読み解きたくて何度も何度も冒頭から見直してしまいます。今回見た「アルキメデスの大戦」も全てを見て過程を知った上でまた冒頭のシーンが見たくなり、そのまま最後までもう一度見たくなる映画だと思います。
映画が作られた時点で終戦からまだ約70年しか経っていないのに、戦争がどういうものだったのかを具体的に想像出来ない若い人はたくさんいると思います。私自身もまだ若いですが、「永遠の0」や「アルキメデスの大戦」のような戦争を題材としている作品を見るたびに、祖母が既に産まれていた時代にこんなことが本当に起きていたのかと思い、苦しくなります。
ですがもう二度とこういうことを起こさないために、戦争の残酷さやむごさを、このような作品を通して知り、覚えておくことが大切だと思います。
この作品に出会えて良かったです。
そしてもっと多くの方にも見ていただけますように。
大和が造られた本当の理由
あまり長さは感じませんでした。菅田君の演技力は圧倒です。脇を固める俳優は大物ばかりその中でも彼はかなり光っています。内容は難しいですが戦艦の予算の矛盾を解く話、そして大和が造られた理由。滅び行く為に造られた、負け戦の為に造られた。これが本当ならあまりにも酷いのでは。その結末が冒頭で描かれている。この映画かなりよく出来ていると思いました。
天才っぷりに驚き
⛴
#アルキメデスの大戦
⚠️ネタバレ要素あり
めちゃくちゃ面白かったです。
今までになかった視点からの戦争もの。
トップで仕切る人ばかりが主役になりがちだけど、どんな人間も主役だよな。
数学の天才は数学という部門ではすごいけど、軍人ではないんだなぁ。
一貫して主役の天才っぷりに驚きです。
自分が作った船を最終的に作ってしまった。うーんびっくり🥲
地道に図を作って(これだけでもすごい)材料費と労務費の計算するところまではまあまあ作業としてやれば誰でもできるはず。
鉄の量と原材料に相関関係見出すところが数学者であって天才なんですよねー。
時間は有り余ってない方がいいのかもしれない。
限られた時間の中でこそ人間の本気が観れるのかも🙈
これだけガチで仕事に向き合う二週間、経験してみたいなぁ。
大和の行く末は知ってるが
後半の激論からのラストへの流れは日本人としては刺さる人は多いと思います。また、最後にドンパチを持ってこずに最初に見せてしまう構成も思い返すと良かった。一方で身の回りの駆け引きだけで進めている人が今の日本の中枢にもいるんだろうなぁと思うとゲンナリします。
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