「装った声が導く白い世界」ホワイト・ボイス N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5装った声が導く白い世界

2020年11月30日
PCから投稿

差別と社会構造を、直球の比喩でコミカルにまとめた1本と観る。
ともかく全編に漂うチープなうさん臭さがすでに「白人の社会」を怪しい新興宗教団体かとコケにしているようで、だからして憤慨する当人たちへ「そうシリアスになりなさんなよ」と言いくるめているようで痛快だった。
白人社会の「豊かさ」を手に入れてナニカを失うか、そのナニカを白人社会から守るために「豊かさ」を手放し搾取されるのか。もちろんそのナニカとはプライドで、両方あって相当のはずも、ヘタをすれば共に失う哀れが過ぎた滑稽さ。
笑えないけれども笑ってしまう。
絶望的かつ絶妙なコメディだった。

このヘンテコな物語に「第九地区」×「マトリックス」を思い浮かべる。

N.river