真実のレビュー・感想・評価
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新旧価値観の対立?
カトリーヌ・ドヌーブといえば、ハリウッドを中心に起こったmetoo運動に違和感があるわといった大女優だ。強制的、パワハラ的なセクハラには大反対だけど、男が好きになった女性に対して、(しつこく)アプローチするのは許してあげたいといった趣旨だったと思う。
そう、この映画では、ドヌーブはそれを体現するむかしながらの大女優であり母親を演じている。
一方、論理的に、倫理的に許されるわけがないわ、いうのが評論家であり、娘を演じるのがビノシェである。
そんな目でこの映画を見ると楽しいかもしれない。
全然、相容れなかった二人が子供を緩衝材として溶け合ってくる。
その過程を見るのがおもしろい。
また、この映画は劇中劇としても興味深い構造を持っている。
ドヌーブが演じる大女優が、あるシーンに悩む。納得する演技をプライベートな出来事から得た彼女が撮影が終わったあと、撮り直しを求める。
スケジュール優先、管理社会に対峙する職人的な完璧主義!
それに因縁のライバル女優の娘に対する対抗心と抱擁も実に人間臭くて素敵だった。その娘マノンを演じたマノン・クラベルという新進女優はこれからも注目したい。
いろいろ散らばってしまった映画レビューでした。
☆☆☆★★ 【 注意 】 一方的な思い込みによるレビューになってい...
☆☆☆★★
【 注意 】 一方的な思い込みによるレビューになっています。
映画の中で、女優のイニシャルに関する台詞があった。
その中には出て来なかったのだが。そのやり取りを見ていて、或る1人の女優の名前が浮かんだ。
M /Mで メリナ・メルクーリ
カトリーヌ・ドヌーブが、フランスを代表する大女優ならば。ギリシャを代表する大女優はメリナ・メルクーリ。
そんなメリナ・メルクーリの主演作品の中に『女の叫び』がある。
『女の叫び』は、国を代表する大女優が、世間を騒がせた子供殺しの事件を起こした女を演じる。
その宣伝の為に、刑務所に収監されている本人に会おうとする。
心を閉ざすこの女性。一体なぜ子供を殺してしまったのか?
しかし、この大女優にも知られたくない過去があった。
その昔に、どうしても勝ち取りたい役が有った為に。当時妊娠していたが、自ら望んで赤ちゃんを流産していたのだった。
当時のライバルである女優は、同じく妊娠していたが。子供を産む事を選び女優の道を降りる。
そしてそのライバルが今は…。
『女の叫び』は、構造上に於いて。3重…いや4重構造の、複雑な構成を伴った実験作と言える。
そして、『真実』の主人公であるドヌーブは、過去に役を獲得する為に。映画の中でははっきりとは描かれてはいないが。サラとゆうライバルの女優との間に何らか(いざこざの様な)があったと、観客にさり気なく思わせている。
更には、(どうやら)女優の道を降り。今は脚本家となっている娘役がジュリエット・ビノシエ。
彼女の過去の出演作品に『アクトレス』があり。SF映画に出演するかどうか…と、心が揺れ動く役だった。
ドヌーブは、過去のライバルとの因縁からか。彼女の(おそらく)娘である新進気鋭の女優との共演を果たす。まるで、その事が。自ら課した償罪であるかの様に…。
…という様に。こちらの勝手な解釈で、この作品の構造を考えてしまった訳ですが。この辺りは、脚本も自ら書いた監督自身のオリジナルなのか?それとも何かの作品を参考にしたのか?…と言ったところ。
ジュリエット・ビノシエは。子供時代に『オズの魔法使』の(どうやら)ライオンを演じた事があったらしい。
映画に登場する犬の名前がトト。
何となくだが。夫役のイーサン・ホークは、(踊らないけど)案山子役のレイ・ボルジャー的な雰囲気に見える。
ブリキは?西の魔女は?(ひょっとしてドヌーブ?)等、色々と考えてしまった(´-`)
『万引き家族』では。1つ屋根の下に寄り合った即席家族ながら、《人間の業》を鮮やかに炙り出していた。だが今回、環境の変化なのか?は分からないのだけど。この作品に於ける家族の繋がり等は、少し薄味の様に思えた。
別に踵を鳴らさなかったのが原因ではないとは思うけど…(u_u)
2019年10月13日 イオンシネマ市川妙典/スクリーン8
伝えたいテーマは本当に伝えたい事なのか
個人評価:3.6
毎作品一貫して家族をテーマにしており、本作も母娘の関係を贅沢な2人の大女優を起用し描いている。
是枝作品は誰が見ても共感できる家族のあり方や、ありふれた日常の感じ方が共感できるが、本作は大女優と娘との心の掘り下げなので、共感できる部分は少ない。
本作の是枝監督の描きたかった物は、今までのテーマとは違い、ごく限定されたキャラクターの個人的な家族像であり、また真実というテーマも掘り下げ方が伝わってこない。
この作品は今までの作品のように、是枝監督の心の内から紡ぎ出した核があるのとは思えず、誰かに撮らされた作品の様に感じてしまったのが残念。
やっぱり日本人がいい
是枝監督のファンです。なぜか?外国人で映画を撮ったということで楽しみでした。
眠い。。。フランス映画のように眠い。
映画は監督のものと思いつつ、やっぱり思い入れのある俳優さんも必要なのだと再認識できました。
是枝監督っぽく、大盛り上がりなしで淡々と進んでいき、後半につれて、じわじわと感動する作品でした。
が、顔が分かるくらいの外国人俳優が、淡々とフランス語で演技されても我慢できず、前半の時点で眠気が、、、役名もごちゃごちゃしてきて理解が追いついていかなかった。多分、フランスで撮影されたのでしょうけど、ほとんど室内。エッフェル塔を出せとは言いませんが、もう少しフランスっぽければ良いのですが、なぜ?フランス?。また、BGMなどもなく淡々と。。。
途中から、日本人俳優でリメイクしてくれないかなぁと、違うこと考えてしまいした。
ただ、ラストはとても清々しい、後味はよかった。
ドヌーブが大阪のオバチャンになっちゃった映画
母親と娘との確執を描いた映画は、ベルイマンの『秋のソナタ』を観た後では、余程でないと甘く軽く思えてしまう。それはこの映画でも同じ。是枝監督の演出は手堅くて安心して観てはいられるが、日本人はやはり最後はほのぼので終わらせたいのかな、と物足りない。しかし、そういう映画としては『真実』という題名は少し重い。そこで、果たして口で言っていることが、表情が語っていることが、最後まで「真実」なのか「演技(嘘・仮面)」なのかわからない大女優という食えない生き物のことを描いた映画と思えばしっくりいく(深読みし過ぎかも知れないが)。ドヌーブは映画を観始めた頃は世界一の美女と言われていたものだが、ただの美人女優で終わらず、歳月を重ねて、こんな風に豹皮のコートを着てどや顔で毒舌で食えないオバサンを貫禄たっぷりに演じるようになるとは、フランスの正統な大女優の系譜(劇中で言及されるシモーヌ・シニョレしかり、言及されないがジャンヌ・モローしかり、ブリジット・バルドーの名前が出た時は“トンでもないわ、あんな女が”と鼻にもかけなかったのは面白かったが)にしっかり連なっているのが楽しい。
ちゃんとフランス映画
いい意味で日本人監督らしさは感じさせない。
ちゃんとフランス映画になっていて凄い。
あえて言うなら予告で感じたミステリー感は感じられず単純に家族再生の物語。
これがフランス映画なら〜彼女が隠し続ける真実とは〜なんて入り口なんだろうと思うけどスマートにまとまり過ぎている。
実は本当の娘ではないなんて展開なら最高だったんだけど。
それは好みの問題だから、これはこれで全然アリ!
なんか楽しかった
いつも映画を観た後は、あれこれ小賢しいこと考えて、自分としても面倒くさいなあと思っているが、これは、楽しかった。
正直、裏切られた感じがするほど。
真実について考えさせられるエッセンスが散りばめられてはいるけど、
「真実?」
またまたぁーって感じで、別にいいじゃないって気になる。
ファビエンヌとリュミエールが、サラを介して抱える誤解や葛藤、それでもリュミエールに対するファビエンヌの愛情が変わっていなかったことを知ると、やっぱり切ないし、でも、これも演技だったらどうしようって、頭の中がまたグルグルして、まあ、本当はどっちてもいっかって気にもなる。
リュックだって、本に出てこなかったことを理由に一旦は辞めたけど、迎えに来てもらうことを見越してたようだったじゃないか。
そう、真実なんて、自分の良いように解釈しとけば良いのだ。
だから、ちょっとした戦術や戦略も必要になるのだ。
そして、それはそれで良いのだ。
最後に、シャルロットが、母親のリュミエールに言われて、祖母のファビエンヌにかけた言葉が真実なの?ってセリフにも、「いいのいいの」って言いたくなる。
その時は、はっきり真実じゃなくても、いつか真実になるようなものもある。
ボヤけた輪郭の真実も、いつかはクリアな真実になるかもしれない。
そうして、上手くエンディングに向かえば良いのだ。
そんな感じの楽しい映画でした。
あと、カトリーヌ・ドヌーヴはさすが。プラス、マノンが素敵でした(笑)。
難解で、何となく理解、何となく感動
淡々と劇中劇や複雑な家庭環境みたいな状況が入り乱れて進行していくので、少しでもついていけないと多少なりとも難解さを感じてしまうかも─。
しかし、名優等の名演が力業で心を揺さぶり、何となく状況が理解できてくると、結構感動。理解度はあくまでなんとなくなんだけど・・・。
人とのかかわり合いで心を揺さぶる、相変わらずの是枝作品だった。
【”大女優"が演じる大女優の家族が、徐々に再生していく物語を美しく紡ぎ出す是枝監督の職人技に魅入られた作品】
ー最初に、
私は年代的にカトリーヌ・ドヌーヴの代表作と言われる数々の作品を”映画館で”観ていない。ー
カトリーヌ演じるファビエンヌの人物造形が秀逸。又、そのファビエンヌが出演する劇中SF劇のマノン・クラヴェル演じる新進女優(母と娘の関係を微妙にしたサラおばさんと呼ばれる今は亡き女優さんに声が似ているらしい:一度も出てこないが・・)とファビエンヌとの関係性の設定も又秀逸。
更に、ファビエンヌの家族構成の妙なる事(名優お二人は勿論、時折亀にさせられる元夫ピエールと長く仕えてきた秘書も含む)。
当初、ファビエンヌの高飛車な態度が鼻につくが、徐々に加齢による脆さ、弱さを呈してくる過程をカトリーヌがある場面では老練狡猾に、ある場面では拗ねる少女のように可愛らしく演じている。
観ている方はこの辺で完全にファビエンヌ=カトリーヌ、リュミール=ジュリエット・ピノシュとして見てしまっている。
そしてファビエンヌが女優としての矜持を見せつつ、娘に徐々に語りだす真実。リュミールも楽しみながら母に色々仕掛ける。(子供まで使って!)
最後までどこまでが本当の真実でどこからが虚構かがはっきり語られないところが是枝監督作品らしい。
それでも、この家族は徐々に距離を縮め、関係性を修復していく。
ファビエンヌが暮らす屋敷の美しい風景及び劇中劇の撮影風景も又、この作品に快い余韻を与えている。
休日の午後、のんびりと肩の力を抜いて鑑賞するのも良し。この家族の関係性をじっくりと観察しながら色々考察するのも良し。
<多様な見方が出来る、実に懐深い作品である。>
家族コメディ
今まで観てきた是枝作品はどうもしっくりこなかったが、これは綺麗に嵌った感じがする。
カトリーヌ・ドヌーヴが樹木希林に見えるという話は若干本当だった。というか、ああいう大女優いそうだよね、という。監督インタビューを読むとカトリーヌ・ドヌーヴ自身をかなり反映させているということなので、それはそうか、と納得。
予告が割と深刻みを出しているのが良くないと思う(なんだか以前も是枝作品の予告にダメ出しをした気がする...)が、これは深刻そうに見せたコメディである。重くなりそうでならない。軽快。カトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュの化かし合い。ダメ男の道化イーサン・ホーク。そこに加わる純粋なのか強かなのか分からない女の子。登場人物皆まとめて食わせ者。
「そういう世界」で生き残ってきた母親の「強さ」を理解できない娘。ありがちな構図だしまあありがちな物語ではあるが、全員が当たり前のように自分に振られた役割を演じ切っているところが凄い。
誰ひとりとして素直な感情を出さない者たちが、ほんの欠片ずつ自分を見せてゆくさま(特にカトリーヌ・ドヌーヴ)が、安心となぜか緊張を与えている。大女優ってやっぱり孤独なんだな...と思ったり。
多分親子が叫んだり泣いたり、感情を丸ごとぶつける大騒ぎの映画にできたと思うんですが、そういうことをしないのが日本映画っぽいなという気がしました。
あんまり深刻に考えずに人間関係をくすくす笑いながら観るのが向いている映画だと思う。だから予告編はダメです。いや騙そうとしているのか...?
劇中劇の設定が面白すぎた。あれで映画撮って欲しい。
カット割りがやや唐突な感じがしたけれど、それは個人の感覚なのかもしれません。もっとゆったりシーンを切り替える方が良いのかも、と感覚的には思ったけれど、恐らく狙いがあってやっているのだろうな。
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