海獣の子供のレビュー・感想・評価
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宇宙のぐるぐる
何度も観たい
絵で見せる映画
言葉では表せない
他に類を見ない挑戦的で特異な作品
原作は未読、公開からある程度経ち、映画のレビューをざっくり見てからの鑑賞でした。
ストーリーが難解であることは覚悟していたので、鑑賞後、様々な考察や、原作の描かれていないところなどの補完をして、ややスッキリするかと言ったところです。そうでもしなければ初見では気づけないことが多すぎます。作中の散りばめられたメタファー、キャラの意味深なキーワードを照らし合わせ、場面の切り替えを整理し、抽象化された映像演出の意図を汲み取る。2時間ずっと集中して、スクリーンや音響からの膨大な情報を処理し、即座に解釈出来るぐらい、日頃からそういった作品を見なれてないと着いていけないのが普通だと思いました。
それに、物語の幅を持たせ、深淵さや"理解できない"をあえてやっているとしても少し、独りよがりを感じます。昨今では作家にも伝える側への説明責任が求められまよね。これが自分の作品だ!見聞きすれば分かるだろ!感じろ!はもう古い考えです。ただ、万人に100%伝わる作品もどうか、ありきたり、浅はか、中身のないとされることもあります。要はバランスだと思っていて、個人的にはもう少し、鑑賞者側に優しくあってもいいのではと思いました。大衆は基本阿呆ですので、最低限のストーリーラインと3人の行動をもう少し分かりやすく描いて欲しかったです。
また、主に日常シーンの靴紐や、玄関のビール缶、仲違いしている子との和解シーン、へその緒などなど、アニメーションの定番演出も含め、あからさま過ぎというか、雑に処理したという印象を受けてしまうところもあり、違和感でした。もっとさり気なく、詩的に丁寧に表現した方がこの作品にはあっているのではと思いました。
作画などはとても好みで素敵だと思いました。キャラも原作の絵柄を尊重しつつ、よりアニメーションで表情豊かに生き生きと描かれていたと思います。個人的には鼻や目、髪の描き方が繊細で温かみを感じていいなぁと。
それに、ストーリーが頭に入ってこない程の圧巻の壮大な画面と流れるような動きと描き込みの量。監督や美術監督の方をはじめとしたスタッフさんの妥協しない、こだわりと情熱を余すことなく感じられました。海、水の表現や、味のあるCGも瞬きするのも躊躇われるほどにふつくしかったです。
久石譲さんや米津さんの曲もよく作品にマッチしていて、不気味さ、壮大さ、深淵さ、切なさなどの表現が一層伝わってきて、作品の強度に繋がっていると思います。お二人ともいつもいい仕事をされるので名前だけで安心感があります。
観て面白い、カタルシスがある作品とは言い難いですが、視覚的快楽や、自分なりの解釈、言葉の余韻などを楽しむためにまた何度か見返したいなと個人的には思いました。
そしてStudio4℃の次回作があったら是非見に行きたいと思います。
スタッフの皆さん本当にお疲れ様でした。自分はこの作品に出逢えて幸せです。
一人の少女の体験と巨大な宇宙観
何より、アニメーションの迫力に圧倒されました!
人物や生物、景色、背景の美しさ、
暑さを感じる校庭や、コンクリートの照り返しを体感させる色彩。
呼吸する夏特有の雨、台風前の空気の湿度、
昼間の暑さが少し下がった夕暮れ時の夏祭り。
そうした多くの人が体で知っている感覚と、
中学二年生の年頃の、些細で繊細で多感な感性、
少し大きめの運動靴、
玄関に放り出されたビールの空き缶、
そうした(琉花にとっての)日常の風景が、私には特に印象的で、
グググっ!と彼女らが暮らす劇中の江ノ島の世界に入り込めました。
そこから、海と空に出会い、
壮大な海の「祭り」へと呑み込まれていく展開を、
琉花と一緒に体験する事ができました。
眼前で繰り広げられる「祭り」は、
宇宙の誕生のような巨視的な出来事であると同時に、
受精から細胞分裂して一つの生命が形作られる微視的な体験でもあって、
そのどちらもがつまり、同義であることを感じ取ることができます。
『個にして全、全にして個』
という禅問答のような言葉がありますが、
正に!一つの(私の)命こそが内なる宇宙を秘めているとともに、
生きとし生けるすべての生命体が(海の"ボイス"のように)互いに意志疎通し、影響しあって巨大なネットワークの宇宙を創り出している、
そのようなことを感じて見入ってしまいました。
海の生物が劇中で多く出てきますが、
琉花の肩にとまるカミキリ虫も校庭のセミも、
夜に目を光らせるフクロウも、
夏に咲くヒマワリやハイビスカスも、
すべてに命が宿っていることを思い知らされます。
それを、例えば“食べる”という行為(アングラードとの海辺の夕食)や、
“繋ぐ”(エンドロール後の映像)という生命の営みとして、
すべてを琉花のひと夏の体験として、生々しく感じ取ることができる作品です。
それでも言葉を大切にしたい。
視聴者に向けたものでなく制作側の自己中心的な映画
アニメーションならではの表現力
起源生命宇宙ロマンアニメーションと表現できるでしょうか。
まさに動く絵。アニメーションの強みを生かした表現力で別世界に連れて行ってくれる、4℃の力量に感服。
AKIRAやナウシカなどの色褪せない名作のように、物語の軸に真理探究ロマンがありました。
原作未読でしたが、単純なボーイミーツガール作品ではなかった点が好印象。
極小≒極大、数学的見地と脳の可能性に焦点を当てたアキラ
世界の起源(作品内における)と自然との共生に焦点を当てたナウシカ
クジラの声の周波数と生命の宝庫たる海に焦点を当てて宇宙と結びつけた本作。
骨太要素を持ち合わせながらもアート寄りのため人を選びます。
冒険心と明解さが加われば化けていたでしょう。
ですが、みんなに見てみて欲しい作品です。
夏の暑さや、雨の湿度、天気や匂いが感じられて、懐かしい気持ちになっ...
言葉を失くす体験
海だ!海!海!生命!宇宙!星!
...言葉を失うとはこういう体験のこと。正直原作も読んでないしよくわからないしスルーしようかと思っていたが、予告編のインパクトが忘れられなかった。
もう画の迫りくるものに圧倒され続ける。海の描写、「祭」の描写だけではない。人が、少女が、少年が、絵なのに、リアルな質感を持って動く。アニメだ。アニメが生きていた。私も傷に痛み、海に潜り、宇宙を見た。あの視点で。
原作は長編漫画のようだがまとまりは最高だったと思う。物語は...もう特に後半はストーリー性というものを放棄しているような感覚で、哲学性が強く(「我々はどこからきて、何者で、どこへ行くのか」とか、「宇宙と人は同じ」とか)、分からない!頭で咀嚼できない!という気持ちにはなるが、それでもなお、アニメが、動くその画が圧倒してくる。
少女のひと夏の物語という展開なので、展開というか結末は朧げに予想できたが、それを上回る恐怖というか、畏怖の念が身体を巡って動けなかった。動けない系映画だ。
芦田愛菜パイセン上手すぎですね。あの人は何者なのかってくらいうまいですね。女優魂を見せつけられました。富司純子より凄くないですか。いや富司純子さん、声で顔が浮かんじゃうのでアニメとのギャップが面白かったですけど。芦田愛菜パイセンは完全になりきってた感じがあった。
しかしこれ原作読みたい...読んでから観たらまた違いそう。
きっとファンが増えたよ
米津玄師さんのファンで、「海の幽霊」のMVを見て、映画も見に行きました。
アニメーションの持つ力にただただ感激しました。表現力、迫力、繊細さ…本当に素晴らしかったです。
それだけに、中盤から内容が分からなくなってしまったのが悔しくてなりません。キツい言葉で言うならば「訳がわかりませんでした」。
でも私は応援しています。是非あのアニメーション表現・技術で今後、世界で活躍して欲しいです。
今回の映画「海獣の子供」では、一般受けは難しいでしょうけれど、反省点を生かし次に繋げて欲しいです。芸術的表現ができる集団が製作したことは十分に伝わったので、これからはどうか一般の方々にも多くの共感を得られるような、少し寄り添った作品を作ってみてください。
今後に期待です!!
夢のような映像
非常に残念
<良かった点>
・映像が躍動感あふれ観ていて面白い
・独特な画のタッチで新鮮
・主題歌の海の幽霊が迫力満点で聞くことができた
<悪かった点>
・大量の伏線を張り巡らせ、結局回収せず
・突っ込みどころ満載
・登場人物の説明が圧倒的に足りていない
・原作を読まなければわからないこと(省略されているところ)が多すぎる
・もう一度言いますが🚩🚩🚩🚩🚩🚩🚩🚩🚩🚩🚩🚩🚩🚩🚩回収せず
製作:STUDIO 4℃ 音楽:久石 譲 主題歌:米津玄師
ということもあり、間違いないだろうと思っていましたが、大間違いでした。
小説を映画化したものがごく一般的な映画だとすると、この映画は自己啓発本をそのまま映画化してしまったような映画でした。
加えて、伝えている内容は当たり前の常識というか、「そりゃそうでしょ。」といった感じで、なにかに気づかされるような内容ではなかったです。
エンディングで米津玄師さんの曲が大迫力で聞くことができてよかったです。
アニメーションの映像追究に終着駅はなさそう
奇才五十嵐大介の絵柄を損なうことなく、手描き感たっぷりの人物・背景が流麗に躍動する映像がみごとな作品だ。
何より、あの「線」の描写が、奇っ怪で美しい。
一方、魚たちがCG感丸出しだったのがちょっと残念。
坂道を駆け降りる主人公を正面から描いた映像、
雨の中を自転車で疾走する主人公を雨水が包み込んでいく映像、
など、序盤で強烈なテクニックのアピール。
そして、主人公が海中の世界を体験する中盤以降、恐怖とファンタジーのイメージがめくるめく映像で押し寄せ、圧倒される。
ストーリーはというと、正直ついていけなかった。
原作未読なもので、深く知りたければ原作を読むべきですね。
この映画は、絶対的に「映像」なのだ。
意味不明で思わせ振りな台詞が多くても気にしない。
只々、映像を堪能。
主人公琉花役の芦田愛菜は、子役で培った少し大袈裟な演技癖がアニメーションのアテレコには有効に作用したようだ。
声優に転向しても充分通用するぞ、なんて。
他にも役者たちが声を担当していたが、本当は顔が思い浮かばない人の方がいいとは思う。
蒼井優の上手さは「鉄コン筋クリート」で立証済みだし、吾郎ちゃんは意外と上手で顔は浮かばなかったので、本作のキャスティングは悪くなかったのでしょう。
自己肯定の物語
この映画は自己肯定の映画なんです。
自分という存在の不確かさに対する、漠然としているが、しかし自己の全てを無意味に感じてしまうほど自分にとって重要な、とてもとても大きい不安。
「この世界にとっての自分とはなんなのか。」
この問いに対して理屈抜きで、海も宇宙も、この世にある全ての存在と貴方は区別されない。この世界というのは貴方なのだと。
つまり、世界の一部のとしての自己存在、相対性の中の絶対性ではなく、唯一無二の貴方というのは他の何かにその存在の根拠を求めるまでもなく絶対なのだと。
「貴方は貴方」
この言葉で全てが完結してしまえる程に、その存在を全力で肯定しきる。
とてつもない優しさで世界を包もうとしている。そんな映画なんです。
海、宇宙、そして生命について、一見するとスケールが大き過ぎて難解で、理解が追い付かないと思うかも知れない。
なんだが抽象的なことばかり言うように聞こえるかもしれない。
しかし、それはあくまでもこの作品の表現の手段に過ぎないんです。
長くて短い夏の間に、一人の女の子が自分の物語を歩み始めた。ただ、それだけの物語なんです。
余談
綺麗ごとばかり並べているように感じると思います。
ただ、映画を作っている人間も完璧ではありませんから、そこを想像で補うことが観客にも求められる力だと思います。
この作品は、もがきながらも全力で何かを伝える努力をしていますから、こちらも必死で受け取ろうとする。
粗探しでなく本質を捉えようとした結果の感想がこれなだけです。
宇宙という海、社会という海
圧倒的で美しくも恐ろしい海中の作画。
そして確信犯的に何が起きてるか明確には描かないスタイル。
でも投げ込まれている内容は案外ストレートなメッセージなので、難しく考えずに見たままで考えたい映画。
噛み砕けば、全ての命は宇宙×海によって産み出されていて、つまり命は全て繋がっている一族みたいなものだから、あんまり言葉尻に囚われてコミュニケーションばっかりしててもダメだよって感じでしょうか。
着地点の計算された安心感から察するに、分かりづらい点や共感できない点はすべて折り込み済み計算済み。
何が起こってるか分からないシーンは、実はあなたがだいたい見た通りのことしか起こってない。
変に深読みすると、ブクブク深みに嵌まります。
計算された不親切からの、ストレートな命の神格化、でも着地点は人間社会という意外と常識的な構造になっている。
難しく考えなければ、案外心地いい余韻を感じられる映画だと思います。
素晴らしい映画
このサイトの評価を見て、迷っている方がもし居れば是非観に行って欲しい
素晴らしい作品です
映像と音響だけの作品ではありません
難解な作品と言われている方がいますがそんなこともありません
むしろ丁寧に、くどいほど作中で説明してくれます
知ったかぶっているわけでもなく、作中で〇〇=〇〇であるといくつか定義してくれますので心配いりません
原作を知らなくても問題ありません 私も原作は見たことありません
幼児以外、誰でも知っているような宇宙と生命の知識が少しあれば良いです(少し踏み込んだ海洋生物の知識があるとなお良いですが)
体が震えるほど感動したのは久しぶりでした
本当にオススメします TVやDVDで観るときっと後悔します
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