劇場公開日 2019年6月7日

「五十嵐大介ファン必見!!!」海獣の子供 しばもんたさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0五十嵐大介ファン必見!!!

2019年8月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

難しい

幸せ

この作品の魅力は、生命と神秘の描写の素晴らしさです。

私は大学時代に五十嵐大介の「魔女」という作品を読んでから10年弱、その独特の筆致と、それがもたらす神秘や生命の息吹のすばらしい表現に夢中となっていました。

映画の中で描かれているクジラやウミガメ、ジュゴンなどには、実際に水族館で目にする以上に、存在感や生命力を感じました。漫画の筆致が限りなく再現されていることの効果でしょう。

また、神秘的なシーンも、色彩・音声が付いて、一層観客の根源的なところを揺さぶる(不安定にさせる)表現となっていました。

新海誠作品が世界や空気感の描写が素晴らしいと人気をさらっていますが、アニメーション・イラストレーションが表現できるものって、他にあると思います。
この作品からは、磯や土の匂いといった情報まで、映像から伝わってきました。こんな経験を、巷の映像作品からもっと得られれば良いのですが…

さて、この作品を観て、五十嵐作品のファンである私は、その作風の特長が最大限生かされていると感じ、大変満足しました。

ただ、この作品がTVで宣伝されていたほど、大衆受けする作品であったのかは、個人的に疑問ですが…
(五十嵐作品の知名度が上がったのは、ファンとして嬉しいです)

今後、五十嵐作品の映像化が進んでいくことを切に願います。

しばもんた