「従来のホロコースト映画とはやや異なる余韻を残す」ヒトラーと戦った22日間 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
従来のホロコースト映画とはやや異なる余韻を残す
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本作はホロコーストを扱った映画としては極めて異色といえるのかもしれない。なぜなら、これは絶望的な状況を耐え忍ぶだけでは終わらず、その向こう側に衝撃的な「脱出劇」が待っているからだ。それも秘密裏に穴を掘って逃げるようなレベルのものではなく、全員を伴っての正面突破なのだから驚きだ。
ポーランド国内に位置する「ソビボル収容所」で実際に起こったこの事件は、絶滅収容所で起こった最大の反乱とも呼ばれ、同じホロコースト映画である『シンドラーのリスト』や近年大きな話題となった『サウルの息子』などとも違った印象を残すところがある。
また、数多くの登場人物の顔を一人一人印象深く捉える手腕には感銘を受けるし、蓄積されてきたものが一気に溢れ出すクライマックスには一本の映画としても非常に胸を掴まれるものがあった。これがロシアで製作された映画というのも、物語への光の差し込ませ方や語り口が独特に思える一因だろうか。
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