「ほんとに香取慎吾?」凪待ち ららさんの映画レビュー(感想・評価)
ほんとに香取慎吾?
孤狼の血がおもしろかったから、凶悪も印象的だったし、白石監督が香取慎吾という元SMAPをどう仕上げてくるかが楽しみで見に行った。
そりゃね役所広司にはかなわないけど、香取慎吾も中々あれよ色気と落ちぶれていく様とギャンブル依存症の感じもリアルで、見ごたえあった、へーって思ったのは・・・
特にあたしが印象的だったのは主人公・郁男の内縁の彼女である亜弓の娘・美波がタバコ吸ってると母に誤解されて怒られて、
金髪の男の友達(漁師目指している良い子)と連絡せずにショッピングモールかなんかで帰らないシーンで、郁男が美波を見つけて母親に連絡しろってスマホ渡して、誤解を解こうと男の友達が違うんだって感じで突っかかっていくところで
郁男がその男の子を乱暴に突き放しあしらう感じがすごくリアルな芝居で郁男のイライラ具合と心配してた感じとがよく出ていて良かったと思った、初めて見る香取慎吾だと思った
郁男が基本良い人で純粋が故の弱さや自分自身へのいら立ちがあり、ノミ屋で競輪をしている姿も、スイッチが入ったときに脳が支配されていく感じもギャップが良かったし依存症って怖いと思った。
ほかの登場人物も主張しすぎないのに物語に溶け込んでいて、殺される亜弓の父親の吉澤さんはほんと心に残る芝居するのよ、誰に殺されたかわかったときの、初めて肩を落として泣く姿に胸が苦しくなった。
西田さんも娘役の恒松さんも麿さんももちろんリリーさんもみんながうまい具合にはまってて良い作品になるときって絶妙のバランスで成り立つんだなって
後半の犯人が捕まるときの郁男に向かって言うセリフ「パナマ諸島の・・・」のところの犯人の目が怖い、そこに向けてのそこまでの押さえた感じがリリーさんさすがっすでした
まぁ配役で誰が犯人なのかはおおよそ予測がついたけど、けど、・・・ですよ、あんな底のない目されたら怖いわ・・・
最後震災後の海の中の様子が映し出されていて、たくさんのメッセージ性があるように思う映画だけどバラバラになっていなくて意外とシンプルにやっぱり喪失と再生でポスターにあるような誰がとかなぜ殺されたかとかそこが大事なのではないから
ミステリーと思って行ったらビックリだわな
そこ誤解のないように宣伝したほうが良かったような
まぁ殺すという言葉、文字面はキャッチーだけどさ
いつもの白石監督の暴力描写もちゃんとあるし、気持ち悪いシーンもあり、ちょっと笑っちゃったけど、メリハリも効いてた
トータル男くさい映画ですが、あまり香取慎吾の芝居が得意でないあたしとしては(なんかモゴモゴ話してるような感じがあって・・・すいません)、作品がすごい面白かったから思ってたよりおもしろかった