劇場公開日 2019年6月28日

「香取慎吾の挑む姿勢は○ リリーフランキーの起用法は△」凪待ち AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0香取慎吾の挑む姿勢は○ リリーフランキーの起用法は△

2019年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

怖い

暴力やエロスでエッジを利かせた映画を撮り続けてきた白石和彌監督にしては、かなり抑えた演出が印象的。去年、今年と劇場公開作を3本ずつ作っている超売れっ子監督だが、原作ありきではない映画で本当にやりたいことを追求した結果のように思える。

本作の香取慎吾、「半世界」の稲垣吾郎もそうだが、元SMAPの彼らはいわゆるガテン系のキャラクターに扮することで、セルフイメージを壊して演技の幅を広げようとしている。白石監督と香取それぞれの新境地を志向して挑戦する姿勢が合致し、意欲的な社会派ドラマと相成った。

リリーフランキーと白石映画とくればもちろん「凶悪」での怪演が思い出されるが、本作での起用は果たして正解だったのか。観客にある種の先入観を与えてしまうし、人物の内面描写も物足りない。

「ろくでなし」という言葉の意味を、しみじみと考えさせられた。

高森 郁哉