劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデンのレビュー・感想・評価
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★7つです、個人的に。
ドルビーシネマで12回。
普通の映画館で1回。
合計13回鑑賞しました(これからまだ行く予定です)。
【感想】
<全体>
まず、「間」をとても大切にしている作品です。
一番長いところで10秒くらいの「シーン」とした間があります(他にも随所に)。
その辺りに情緒性を感じます、この辺りが深く心に染み渡るといいますか。
監督が特に「レイアウトに力を割いた」とおっしゃっているように、
カット割りが深々しい。
シーンとシーンのオーバーラップ(重ね合わせるようなトランジション)がドラマティックです。
こちらはほぼ、ほとんどのシーンで使われているのではないでしょうか。
<自己犠牲的な愛が随所に散りばめられている>
脇役の演出も見逃せません。ここにも愛(自己犠牲的な愛)をテーマに描かれているように感じます。
たとえば、
・アイリス・カナリーが、自分の実績になるかもしれない手紙を書くという欲求を抑えて、いけ好かない電話を提案するシーン。
・郵便社前でヴァイオレットに敵対的に腕を掴まれた大佐が、船上では逆に助ける仕草で腕を掴むシーン。
・「ワシらは助かるがの」と言った、おじいさんの真意や眼差し。「み~んな傷ついとったんじゃ」という表現からは、ヴァイオレットとホッジンズ(ライデンという敵国の人)が現れた後に感じた表現として印象的(敵国人への感情移入)。
<オーケストラの生収録が最高>
この事実はCDを購入して知りました。なんと、ドイツにあるスタジオ(施設が良いらしい)に出向いて、わざわざテイクされているとのこと...(この機械音時代に、なんという手縫い感。。。><)また、音楽全体にとても一貫性があります。歌を含めて編曲に(ほぼすべて?)エヴァン・コールさんが入っておられる点は見逃せません(こうした、一貫性のある介入は非常に良く感じました)
<お一人おひとりが自分の役をしっかりと果たしておられる>
監督、脚本、世界観設定、演出、演者、音楽、原画、色彩...これらすべてが見事なハーモニーを醸し出しているように思います。まさに「作品」です。
予想できた展開・・・だがしかし
やはりギルは生きていましたね。
個人的に生きていなくてもよかったかなって思っちゃったりもしたんですが、『愛してる。』を見つけなくちゃいけないので、「それは必然か・・・。」と思いながら観ていました。
最初のアンのお母さんの手紙はやはり泣けますね。50年に渡って手紙を残すというアンのお母さんの心意気に再度涙涙でした。
この映画で一番の見どころと感じたのは、ユリスが両親、弟、そして友人に残した手紙でした。自分が1番両親に甘えたかっただろうに・・・。早くに尽きてしまう自分の命の灯火を受け入れて死に向かうその姿勢にグッときました。
最後にヴァイオレットがギルと再開した時にずっと泣いていましたが、「言葉がいらない。」とはまさにあのような状態のことを言うのでしょうね。言葉はなくとも表情、態度が積年の思いを語っており、とてもナイスな描写に仕上がっていました。
総じて、とても良い映画だったので是非とも多くの人に鑑賞してもらいたいものです。
アニメ未視聴でも楽しめた
私はアニメは観ていません。この映画が、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の完全なる初見となります。
テレビ版アニメが私の入会している動画配信サービス(アマプラとdアニメストア)で配信されていないという理由から本当は観る予定はなかったのですが、「完全初見でも面白かった」というレビューが多かったことや☆4.4という異常に高い評価を見て、今更ながら鑑賞することにいたしました。
結論から言えば、非常に良かった!!
初見の人にも分かりやすいような世界観の説明があったため、テレビ版未鑑賞でも全く問題なく観ることができましたし、京都アニメーションの代名詞とも呼べる圧倒的な作画の美しさがこの作品でも冴え渡っていました。背景やキャラクターの作画が良いことはもちろんですが、キャラクターの一挙手一投足、表情筋や眼球の僅かな動きで感情を表現するような細かな心理描写。京都アニメーションの強みでもある「生きたキャラクター」がこの作品でもしっかりと描かれていました。テレビ版アニメ未鑑賞の私でも涙腺に響くシーンがいくつもあったので、テレビアニメからのファンの人は号泣でしょうね。劇場のあちこちからすすり泣く声が聞こえてきました。本当に素晴らしい作品でした。
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かつては兵士として道具として、愛を知らずに育てられた少女・ヴァイオレット・エヴァーガーデン(石川由衣)。終戦後は手紙の代筆を行なう「自動手記人形」という職業に就き、その卓越した才能から広く名を知られる存在となっていた。彼女は戦争中に行方知れずとなった彼女を大切に世話してくれた恩人であるギルベルトという男性に対する思いを胸に仕事を続けていた。ある日ギルベルト(浪川大輔)が書いたものと思われる手紙が宛先不明でヴァイオレットの働く郵便社に届けられたことから、彼女はギルベルトを探すため、手紙が発送された島へ向かうことになった。
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ヴァイオレットは愛を知らず道具のように扱われ育てられ、戦争によって心も身体も傷つき、大切な人さえも失った。そんな彼女が「自動手記人形」という手紙の代筆業を行なっていくうちに、様々な「愛」に触れ、ギルベルトが最後に残した言葉である「愛してる」の意味を探していく。
今作ではまず時系列がテレビアニメの数十年後から始まり、ヴァイオレットに代筆の依頼をした女性のひ孫にあたるデイジーが、祖母の遺品に残されたヴァイオレットの手紙と新聞記事を元に、ヴァイオレットの足跡を追うような形で描かれます。現在(デイジーの時代)と過去(ヴァイオレットの時代)という2つの時系列から描かれます。
また、過去の時系列では、ギルベルトの所在が判明して、ヴァイオレットと郵便社社長のホッジンズが辺鄙な島へ向かう話と、ヴァイオレットが手紙の代筆を請け負った余命幾許もない病気の少年の話が同時並行で描かれます。この2つのストーリーが絶妙にリンクしている部分があったりして、比較して観てみるのも面白かったです。
テレビアニメのファンの方がレビューで「テレビアニメで観たシーンを繰り返し流すのでテンポが悪い」とおっしゃっていましたが、私のような完全初見の人間からしてみれば世界観の説明やヴァイオレットとギルベルトの関係を知るためには絶対必要なシーンでしたので、私はむしろ高評価です。多少しつこいくらいヴァイオレットがどれだけギルベルトに恩を感じているのか、ギルベルトに特別な感情を抱いているのかを過去の回想を交えて描写したからこそ、ラストシーンで私はあれほど感動したのだと思います。
最近は新海誠監督作品とか鬼滅の刃とか、アニメ映画が映画業界を台頭しているように感じます。良質なアニメ映画がたくさん作られるのはアニメオタクである私にとってもこれは非常にうれしいことですので、今後もどんどん今作のようなハイクオリティのアニメが増えてくれることを願っています。
本当に素晴らしい作品です。オススメです!!
なかなか大人のアニメ
予習なしでレビューがかなり高かったので、ハンカチを準備して見たけど、おじさん向きではなかったかな〜。
京アニのタイトルを見ると、あの事件が思い出されたせつなかった。
宛先不明の手紙から急展開だけど、少佐は左利きなのか、筆跡てわかるのはドラマチックすぎ、右利きだったらありえない。
帰りの船から声が聞こえたから、飛び込んだのではなく、ふと振り返ったら姿が見えて・・・。
親子4代に渡る物語、受付の婆さんに何か謎があるかと思ったけど。
家に帰ってから気づいたんだけど、貰ったポストカードが、この後の物語じゃん!かえって価値を感じた。
手紙と電話とホッジンズ
アニメや外伝、スペシャルを見た視聴者へのご褒美がたくさん盛り込まれた劇場版。
なにより主人公ヴァイオレットがアニメ第1話で見た時から精神的にかなり成長しているのが手にとるようにわかるのが嬉しい。
話の本筋は少佐との再会の話。だから途中までユリスのストーリーがどう関わるのか理解できなかったが、そういう構成にしてくるとは。
少佐との再会より、あくまで客との約束を優先したヴァイオレットの気持ちが感動をもたらす。
そして電話が活躍するのもまた良い。
現代の便利すぎる道具を批判せず、それでも手紙の良さっていうのを伝えている。
手紙ならば伝えられる、と手紙を書いて終わるラストシーンは素晴らしかった。
そして手紙は電話と違って、メッセージが残る。何年も後の未来でアンの孫が手紙を見つけることで、結果的に両親に思いを伝えられることにつながった。この未来のストーリーでそれを表現していてよかった。
このシリーズはアニメ版を含む全ての話で登場人物への感情移入がすさまじい。ヴァイオレットが無感情な分、より周りの人の人間らしさが浮き彫りになり、絶対に誰か1人に感情移入してしまうのではないか。
映画だけでいったら、ホッジンズ。少佐とヴァイオレットの間で板挟みになりながらも、感情を表にだして声をあげる印象的なシーンがちらほら。
大馬鹿野郎!は鳥肌がたった。1番好きなシーンかも。
結果ハッピーエンドとなり、うまく作品全体をまとめあげた。現代で技術が発達して、ドールの仕事が無くなったという演出もあり、文字通りの完結編だったと思う。
最悪の幕切れ
TV版を観て面白かったので観に行きました。
京アニのとても美麗な作画が印象的で、ストーリーも雑ではあるが途中までは泣きどころもあって、良いかなとは思ったのですが、やはり終盤がナンセンスだと感じました。
◆個人的に良くないと感じた部分
◯少佐が生きていた
元々TV版でも死体は出てこなかったと言っていた為に生きている可能性はあるかなとは思っていましたが、実際やられるとガッカリきました。
まあ生きてたのは可能性も残ってたので、ガッカリきたもののまだ理解はできるんですが、生きてたことに気づいた理由があまりに偶然過ぎるのは良くない。
誰かが書いた文字なんて覚えてるでしょうか?覚えていたとしてその文字を少佐だと思えるのでしょうか?しかも偶然にも手に取った手紙が少佐の書いた物だっただなんてあり得るんでしょうか?
それにどうやって生きていたのかも謎ときました。
正直ご都合主義が過ぎます。
◯少佐とくっついてほしくなかった
まず、ヴァイオレットが少佐を好きな理由が、他に居なかったからという、言わば雛鳥と親の関係の様に見える。
それが悪いとは言わないが、どうしても一途であるというよりも、ヴァイオレットの経験不足故の愛に見えてしまうので、ヴァイオレットが成長する過程で他の愛を学んで欲しいと思っていた。
途中で少佐の兄といい感じになるのかなと思ってちょっと期待したのだが、結局ならなかったのも個人的には好きじゃなかった。
◯そもそも、人殺しの癖に幸せになるのが気に入らない。
ただ戦争のせいでやりたくもないのにやってしまったという訳ではなく、ただ感情が無かったから、または少佐に必要としてもらいたかったから、後悔を感じずに人を殺していたというのが同情に値しない。
後に感情を取り戻したために後悔することになるのだが、その後悔から幸せになるのを辞めようと戒めて欲しかった。
◯少年との泣きパートは要るのか?
個人的にうるっときたのは確かなのだが、正直物語においてそこまで重要なシーンだったかと言われると微妙な気がする。
少年との約束を守れなかったシーンがあるのだが、そこで大事な約束よりも、男を取ってしまったことを悔やんで成長していけば意味があるのかなと思うのだが、全くそれを感じなかった。
◯挿入歌で笑ってしまう
TV版のED曲が途中で流れるのだが、茅原実里氏の歌い方にクセがありすぎて、良い場面なのに笑ってしまう。
正直共感できない方もいるとは思いますが、個人的にはこのように感じ、評価が高く期待した分ガッカリきました。
TV放送には敵わない
うーん、もっと少佐の話を掘り下げて欲しかったかな
さんざんアニメでは少佐の死をずーっと繰り返し映像流して、主人公がどう折り合いつけて内面の成長と登場人物達の心温まるエピソードが魅力だっただけに、ラストの少佐のお話のクオリティが低く感じた
感動して涙流れる場面はあったけど、ラストのシーンは涙出ませんでしたwwwwすいません
何回も見れるとか、最後まで泣きっぱなしとか嘘だよ
そいつら浅さすぎるだろ笑
手紙は素晴らしですね!
今までは離れた映画館や時間的に合わないから
自分は諦めてた頃に
何と(/ロ゜)/
地元の映画館にもようやく公開されたよ(^_^)v
そして観てきました~♪
自分の感想としては手紙は素晴らしですね((o(^∇^)o))
今は電話やLINEとかで普及してますが
この作品で手紙の素晴らしを感じました(*^_^*)
物語の中でユリスの少年のやり取りや
少佐のやり取りで感動して心も切なくて泣きました(*T^T)ウルウル
劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデンは
鬼滅の刃と感動の質が全然違います!
劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデンの方が
10倍泣くし心も切なくなりますね。
映画を観てて少佐、ヴァイオレットに会ってあげて
帰れなんて寂しいことは言わないで~💦
確かにお互いに別々の生活をしてますが
観ててヴァイオレットが切なくなります、どんなに少佐を想ってた事か(*T^T)シクシク
最後にはギルベルトがヴァイオレットの手紙で会う決意をしたけど
そこでヴァイオレットに愛の告白を(///∇///)
「ヴァイオレット君を愛してる」
最後は感動して涙、涙です(*T^T)ウルウル
ヴァイオレット良かったよ~♪
少佐とお幸せに゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚
最後の花火の打ち上げは、京都アニメーションの火災で亡くなられた
人達の冥福を祈って打ち上げたと自分は感じました。
皆さん、大切な人に手紙を書いてはどうですか?
「自動手記人形」に依頼してみては(*ノω・*)テヘ
TVアニメシリーズと外伝まで見てからようやく鑑賞しました。原作は未...
TVアニメシリーズと外伝まで見てからようやく鑑賞しました。原作は未読です。
正直言って少佐が生きていたって設定で興醒めしました。しかも魅力もないですし。。
ヴァイオレットちゃんにはドールとして使命を全うして欲しかったです。お客様がお望みなら何処へでも駆けつけて。
感情移入ができないというか、私の集中力の問題?
中佐の態度に腹がたった方もいただろうし、私もムッとしたが、彼もまた1人の戦争の犠牲者なのだ。ということは理解した。
作品の流れとして、序盤に「お!導入この話から!? マジ!? 泣かすつもりね〜!」と期待し過ぎた。
私的には、色々 ハテナが多過ぎた。 受付をやっていた、あのお婆さんは、誰なんだ?導入のあの孫は、一体なんなんだ。ずっとウロチョロしてたあのチビスケ、友達!? 年齢チョー違ったし、なんなら病気の彼が好きなのは女の子かと思ってたわ!!!などなど。 煩くてすいません… わかってる!期待し過ぎた私が悪い!!!!!
病気の子供も、マジー? 狙われ過ぎて逆にヒクわ!(期待してるくせにwww)と思った。
私の純粋さの問題か、集中力がかけていたことは否めません。
あと、これが言いたかった!エッフェル塔みたいなのに、花火ってディズニーやん! そして、草の上をヴァイオレットの歩いてる姿 もののけ姫やん!
そう、この映画は ディズニーとジブリのハイブリッドなのか!? とツッコミを入れてる自分に冷めました。
ただの美男美女の恋愛アニメでした
TV版は、「心の凍りついた少女」が、周囲の人間関係を通して人間らしさを取り戻していくと同時に、いつかは少佐に会えると信じていたものが、もう二度と少佐に会えないと悟っていく二律背反的な描写がとても良いと思ったのです。
これが映画版となると、「少佐に会えました。めでたしめでたし」で終わってしまうので、
普通の美男美女の恋愛邦画のアニメ版でしかないです。
恋愛映画は嫌いなので、この点数になりました。
水分無くなりそう( ´;ω;`)
アニメ版を見ていた方は、お!?おおお!となる続編のようなシーンもあり、時間の流れなども分かりやすくとても面白かったです。
また、今では当たり前となっている電話がこうなるのかー等々、昔あった職業ということが設定になっているからこそ出来る細かい設定などにも拍手です。
ストーリーも本当にすごかったです。
ネタバレありになっているので書きますが、ヴァイオレットちゃんの約束を守ろうと必死になる姿勢、人間として成長どころかここまで優しい人なんてそうそういないのでは。。
結末については、全視聴者が望んだ結末だったと思います。゚(゚´ㅁ`゚)゚。
愛してる、という言葉をヴァイオレットちゃんの口からは最後まで言えなかったところももどかしいような切ないような、でも言いたいんだね、、!泣きすぎて言えないのかなぁ( ´;ω;`)
と、あえて言わせない描写もすごく良かったです。
色んなところからむせび泣く声が聞こえてきましたが、納得です!私も大泣きでしたw
円盤化したら30回は見たいです!
【長文】素晴らしかったがこの作品に最も重要な部分が欠けているようだった
感想を難点と良点に分け評価しております。片方だけ読みたい方はスクロールお願いします。
【難点】
皆さんはヴァイオレット・エヴァ―ガーデンという作品をどう捉えているだろうか?
私はこの作品を「手紙と言葉を通じて他者を理解し、主人公も成長する物語」と捉えている。
作品自体が「手紙」、「愛」、「成長」にフォーカスしていることから私の認識は皆さんの思うものと大きくズレていないと思いたい。
例えば本編では毎話ごとに依頼人が登場して、自動手記 (手紙を書くこと) を通しその人生に触れることで、主人公も徐々に感情を知っていくシーンが幾度となく描かれてきた。
その上でこの映画の感想を書くと、どうしても最も重要な部分が欠けているように感じてしまった。
それを強く感じたのがギルベルト少佐とのラストシーン (海の上での再会) だ。
私は少佐とのラストシーンに物語の集大成として相応しいものを期待していた。具体的には、成長したヴァイオレット・エヴァ―ガーデンが少佐の過去や苦しみを理解し、成長した姿を認めてもらうといったものだ。
少佐の過去を理解することは、感情の欠けていたヴァイオレット (少佐と共に戦地に赴いていた頃) には不可能で、ヴァイオレット・エヴァ―ガーデンとして成長し感情を得た今だからこそ可能であると思った。
また、これまで少佐を追いかけてきたヴァイオレット・エヴァ―ガーデンにとって成長した姿を認めてもらう事は武器ではなく1人の女性として認めてもらう事であり、それをずっと望んでいたと解釈したためである (少佐は初めから武器と思っていなかったが、ヴァイオレットは物語冒頭を見て分かるように少佐にとって自分は武器であったと思い込んでいる)。
要約すると、ヴァイオレット・エヴァ―ガーデンとして成長した今だからこそ、少佐の抱えていた辛い過去や苦しみを理解でき、主従関係ではなく対等な関係で人生を歩むことが出来ると私は考えた。
しかし、実際に劇場で放映されたシーンは少佐が愛を語る一方でヴァイオレット・エヴァ―ガーデンは感動のあまり、うまく言葉が発せないシーンになっていた。これはこれでヴァイオレット・エヴァ―ガーデンが感情を前面にむき出す初めてのシーンとして大変素晴らしかったのだが、そのままの流れで結婚してしまうと結局、主従関係の延長線として結婚してしまったのではないかと考えてしまい少し腑に落ちない展開であった。
冒頭から続いたデイジー (アンの孫) やユリスの話も感動的であったが、尺としてはもう少し少佐編に回して、ヴァイオレットと少佐の対話を増やしても良かったのではないかと思った。
話としては綺麗にまとまったが悪く言うと綺麗に収めただけであって、肝心の「どのような対話を通じて他者を理解するのか」というこの作品ならではの最も重要なシーンが欠けているようで心残りだった。同じように感じている方いないだろうか。
【良点】
とにかく作画が綺麗。京アニの本気を感じた。
特に海の青色とか他の作品にはみられない突出した素晴らしさだった。
また、話の構成も丁寧でデイジー編、ユリス編、少佐編がそれぞれ独立しているように見えてしっかり繋がっている点が作り込まれていると感じた。時系列が行ったり来たりで少しややこしさは感じたものの、ヴァイオレット・エヴァ―ガーデンの当時と後日談のようなもの同時に追う事が出来て満足だった。
噂に聞いていた冒頭10分で号泣の意味も理解する事が出来た。
デイジー編は本編のアンの話 (10話) の後日談で、アンの葬式を終えたデイジー (アンの孫) が当時送られた誕生日50年分の手紙を読んで、そこで自動手記を務めたヴァイオレット・エヴァ―ガーデンに興味を持つという入りであった。
10話は本編で最も感動した話だったが、まさか映画に持ってくるとは予想もしなかった。2回見たシーンだったが問題なく泣けた。割と全体的に本編未視聴の方にも優しい作りになっていたと思う。
また、便利になりすぎた現代社会との対比という点で強くメッセージ性があったと思う。
特に感じたシーンは2つあった。
1つ目はデイジーが手紙を書くシーン。
メールの普及している時代において、敢えて手紙で両親に想いを伝えるシーンがあった。
手紙で書くことのその大切さやより想いが伝わるという点が強調されていて現代の想いの伝え方について考えさせられた。
今や家族へのありがとうも、一世一代の告白でさえもメールやLINEといった電子機器で行える時代になった。そんな中で廃れる事のない手紙という手段はメールなどと違って、自分の字でかいて、封をして、郵送して、という具合に時間をかけて想いを伝えるわけだから電子機器を使った連絡よりも想いの伝わり方は全く違う。そんなことを考えさせられた。
2つ目はユリスの最期のシーン。
先程述べた通り、手紙は時間をかけて想いを伝える手段である。一方で、ユリスのように死が目前に迫る人の場合、他者と想いを通わせるには手紙では遅すぎることもある (やりとりしているうちに死んでしまう)。
そんな中で、ヴァイオレット・エヴァ―ガーデンの本編では登場しなかった「電話」が初めて登場した。
ユリスは死に際であったが、親友に面会を許さなかったことを悔いていた。
手紙を書こうにも、もうそんな力はなく、また届いたころにはユリスが死んでしまう。そこで電話が登場し、ユリスの最後の心残りである親友との対話が果たされることになった。
デイジー編では「手紙」という古典的な方法により時間をかけて想いを伝える描写をした一方で、ユリス編では「電話」という近代的な方法により短い時間で想いを伝える描写があり、面白い対比だなと思った。
他にも語りたい事は山ほどあるけどこの辺で失礼します。
コメントなどお待ちしております。
少佐の物語
人によっては今作が蛇足に感じたりギルベルトの行動や心情が女々しく感じる人もいるかと思います。
子供の頃から軍人になる道しかなく、そんな家柄に反抗する兄を庇い父親らの期待に添えるよう努力し軍人になったギルベルト
戦争の中で出会った少女を引き取った行動や彼女に対する願いは彼の元々ある優しさからで、
でも戦争という大きな流れの中で武器として少女を戦わせた事は彼にはとても辛い事だったと思う。
そんな優しく自分を犠牲にした生き方をしていて戦争で一命を取り留めた後、軍に戻って今まで通りの生活か死んだ事にして別の生き方をするか。自分ならどちらを選ぶだろうか?と考えてしまう。
アニメ本編での彼はヴァイオレットや社長や大佐のフィルターを通してしか知る事は出来なかった
ヴァイオレットや家族に会いたい気持ちもあった思うし自分のしてきた事の後悔や罪悪感にずっと悩まされていたと思う。戻らない方がお互いにいいのではないか?ともずっと考えていたと思う。
私も色々な感情がごちゃ混ぜになってしまった時に自発的な行動が取れなくなり塞ぎ込んでしまう事があるのであの女々しさも理解できてしまいます。
だからこそ最後にヴァイオレットと自分の本当の気持ちに向き合えて本当に良かったと思います。
でも過保護なホッジンズや偏屈なディートフリートの方がキャラクター的には好きです。
大号泣は間違いなし。
アニメ、特別編、外伝を視聴し、ドルビーシネマにて本作品を鑑賞。
もともとこのシリーズが大好きなので開始5分ですでに涙腺は崩壊。シリーズを通して見てる層は、アニメの過去登場人物が出るたびに込み上げる感情あると思います。最初から最後まで大号泣でした。なにより映像も音も綺麗。圧巻としか言いようがないです。
本当は星5をつけたかったのですが、アニメ1話から変わらないヴァイオレットの一途で真っ直ぐな気持ち、そして人としての成長に対して、少佐の立ち回りが少しあやふや...というか...なんか薄いというか...ちょっとだけ頼りないかな...という点で4.5。
少佐パートも大号泣でしたが、それ以上に仕事パートの方が感情を揺さぶられました。
大切な人ができたら一緒に観たい作品。
ミスった!
まいった…映画版だけ見ても、その行間が埋まらない。
どおやら、TVシリーズのその後のような事なのだろうか?絡み合う人間関係がなんとなくにしか分からない。なんとなくでは、この物語が分からない!
ひたすらにヴァイオレットが健気で可愛いのだが…そのギャップ萌を喜べない。
シリーズから観てた人は悔いはないのだろう。劇場の至るところからすすり泣きが聞こえてくる。
感動を共有できない事に後悔…。
ただ、それでも140分は長すぎる。
やたらに情景カットは多いし、なんだか前振りの絵もいたるところが長い。
冒頭で煽ってくる音楽もしつこい。
あくまで映画単体での感想だ。シリーズを観ていて行間や意図が分かるなら、これらは真っ当な演出なのかもしれない。
まぁ、兎にも角にもヴァイオレットだ。
あぁ、もっと、心ゆくまでヴァイオレットを愛でてあげたかった。声優さんも素晴らしく、情感が溢れるというか、ヴァイオレットとのシンクロ率が高かった。
この人のお芝居好きだなぁ。
ヴァイオレットが主人公なので、ヴァイオレットの作画に力が入るのは当然なのだが、驚いたのは水の表現だ。
雨といい、海といい…臨場感に溢れてる。
高性能なソフトでも出現したのだろうか?
とても馴染んでた。
あと、SEが別次元!劇場のスピーカーのせいではないと思う。奥行きがあるというか、湿り気があるというか…響き方とか、凄いこだわりがあったように思う。そっち方面の専門家でもチームに組み込んだんだろうか?素晴らしかった。
あの惨事を経ての、この作品。
応援の意味も込めて劇場に出向いたのだが…予習を怠った我が身を悔やむ。
きっと良い作品だったに違いない。
勿体ないことしたッ
面白かった
あまり期待せずに観たのが良かったのか、思いがけず良作で面白かった。
アニメの続きということは聞いていたので、話が分かるか不安だったが、問題なく観れた。
現在視点から過去の話になって、最後にまた現在に戻る、という構成が、郷愁的感動をひきおこす。タイタニック方式。
ただ、ヴァイオレットがどういう存在なのかよく分からなかった。ただの人間なのか、ただの人間ならなぜ少女なのに兵士にしたのか、洗脳みたいな非道なことをした戦闘マシーンみたいな存在なのか、彼女のまるで機械みたいな反応はそれが影響してるのか、など。
絵は本当にきれいだし、細部まで丁寧。話もよくできてるなーと思った。ヴァイオレットと少佐の話のほかにいろいろな話が複層的に進行してるけどぜんぶつながってるところとか。
ただ、最後の方の展開は個人的には微妙。少佐がヴァイオレットに会えない、と思う理由は、もっと説得力のある形で出してほしかった。もしかしてアニメでは語られているのかもしれないが…。
また、ヴァイオレットが少佐に会えないまま終わった方が、 リアリティがあるし、映画のテーマにも合っていたと思う。会ったとしても、はっきり見せずにほのめかすくらいで終わった方が…。
船から飛び降りたり崖から飛び降りたりして会うのはちょっとやりすぎだと思う。それまで丁寧に重ねてきたリアリティ描写が崩れてしまった。
3回泣けます
アニメ本編外伝視聴済み
原作未読です。
相変わらず美麗な画面に圧倒させられました。満足です。
主に3回泣きました。
10話の振り返り、ユリス、最後の再会のシーンです。
1回の映画で3回も泣いたことなどまずないので、本当に感動しました。
が、この3つのエピソードがいまいち絡み合っていないような気がして残念でした。
もちろんお話としてきれいにまとまっているんですが、この3つのエピソードを1つの映画で見せる意義があまり見つからなくて、
それぞれ別の話でみてもまあいいかな、、と思ってしまいました。
10話関連のエピソードは、未来から「むかーしむかし」と語り出す王道でおしゃれな演出ですが、ありきたりな感じ。
ユリスエピソードは大切な人にちゃんと言葉で伝える大切さという示唆は得られるけど、このエピソードでヴァイオレットが何かを学んだり、考え方が変化するような影響は あまりないんじゃないかな、と。
でも1つの映画で3つもエピソードが見れて、どれも泣けるほど感動できて、アニメ本編との繋がりも楽しめて、最高でした!!
感動作とは
映像も綺麗で声優さんの演技も素晴らしく完成度という意味では最高だったと思います。
しかし感動作、というか泣ける映画泣ける作品というものに関して考えさせられました。
実際会場でかなり泣きましたが、じゃあ面白い作品と言えるのだろうかと色々考えました。
泣ける演出というのが確立され過ぎている。
また、泣けたポイントについても主軸の話以外でした。家族の話とか、そりゃ泣くけど。
主人公ヴァイオレットの気持ちというのは育ての親に対してなのか愛する男性に対してなのかわからなくて、一方少佐はなんだか最初から女としてしか見てない感じがちょっと冷めてしまったというか、引いてしまったというか。
オジさんキモいなって思っちゃいました。
しかし大元のテーマであるだろう「大切な人への大切な気持ちを手紙で伝える」というのは普遍的であり、見事に表現されていて素晴らしいと感じました。
最後に、ツッコむようなとこじゃないかもしれませんが大佐ってどうやって島に来たの?
ヴァイオレット達と同じ船に乗ってた?
ここまで積み重ねてきたものを、全てぶち壊した名作
確かに素晴らしい映像美を魅せる映画でした。しかし・・・
私は原作からテレビアニメ、OVAそして外伝まで全て視聴済みですが、その上で今回の劇場版はレビュータイトルの通り、予想外に酷いものだと感じました。
原作の世界観に加え、作画、音楽、声優とこれだけ素晴らしい素材が揃っていたのに、脚本や演出の不味さが全てをぶち壊しにした、と思います。特に気になったのは、ギルベルト少佐のキャラクター設定です。
本作品中での彼は、卑屈でネガティブ思考の情けない男性として描かれており、再会を望んで遥々会いに来たヴァイオレットを、酷い振る舞いで拒絶します。作品中盤以降、煮え切らない態度で延々と後ろ向きな言動を繰り返す少佐の様子は、ファンのひとりとして見るに堪えない演出でした。
最後は業を煮やしたディートフリートやホッジンズに無理やり背中を押され、ヴァイオレットからの手紙を読んで渋々彼女を受け入れますが、あれでは早晩、DV夫まっしぐらなのではないかと思いました。この劇場版は女性客の方々からも絶賛されているそうですが、女性目線で見て、あんな男の人はどう映っているのでしょうか。
この点に関して、監督の方は事前の舞台挨拶で「今回の少佐のキャラクター設定は観客の反発をかう可能性があるから、なるべくそうならないように注意して制作した」旨の発言をしたそうです。
見所のアピールをするならいざ知らず、なぜ公開前に自らフォローしなければならないようなキャラクター設定を容認したのか、また原作者の方はよく今回のキャラ改変に同意したものだな、と疑問や驚きばかりが募りました。
なお、念のため書かせて頂きますが・・・
原作での少佐は負傷が癒えた後に陸軍へ復帰し、昇進を重ねながらも敢えてヴァイオレットとは距離を置き、影からそっと彼女を見守ります。
その後、アニメのラストで描かれた列車襲撃事件の際、ヴァイオレットの危機を知って颯爽と現場に駆け付け、ふたりは感動の再会を果たすのです。
そして「もう何処にも行かないで、ずっと傍にいて欲しい」というヴァイオレットの切実な願いを聞き入れ、ふたりは互いの想いを確かめ合い・・・となります。
以上、長々と場違いな原作の説明を恐縮ですが、もうお分かり頂けたかと思います。今回の劇場版の少佐は、原作とは似ても似つかない、正反対のキャラクターに変えられているのです。
映像化に際して、原作に手を加えること自体はむしろ当然かとは思いますが、メインキャラをここまで弄るとはもう、原作に対する冒涜なのではないか、とまで考えてしまいました。
私自身、映画館で感動シーンの連続に涙する観客に囲まれながら『この鬱屈したおかしな様子のヘタレ帽子男は誰??』という疑問と不満が頭に渦巻き、途中から完全に醒めてしまいました。
これまで積み重ねられてきた『少佐の死に傷付きながらも、懸命に前を向いて生きて行く純心で健気な少女』というストーリーから一転、『変わり果てたダメ男を忘れられずに居る拗らせ少女』の物語に変わってしまったように感じられ、とても残念です。
実際には、復員兵が少佐のような精神状態に陥ることは十分あり得るのだろうとは思いますが、ファンタジー&ラブストーリーの世界観の下で、ヒロインの相手キャラをこれほど改悪する必要性がどこにあったのか、制作側の意図が理解出来ませんでした。
こんなことになる位なら、たとえベタな展開と言われようとも原作通りに、アニメの最終回で再会させて終わらせておいた方が、まだましだったのでは?
加えて言うなら、アニメでは一貫してギルベルト少佐の死を連想させる見事な脚本で通したにもかかわらず、あっさり『実は離島で生存していて、過去に色々とあったので拗らせ青年になっちゃってました・・・』では、いままでの感動は一体何だったのでしょうか?
ヴァイオレットが代筆を通して、あれだけの葛藤を経ながら成長を遂げていた間、少佐の方は足踏みどころか、うじうじしながら精神的に退化していたことになり、結果としてこの劇場版は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』という作品自体の品位やレベルを一気に下げてしまった、と言わざるを得ない、と思いました。
絶賛の嵐を見ると、ファンとしてこのようなレビューをすることに躊躇いも有りますが、結論としてはやはり「さすが京都アニメーション!」という感想だけでは済まされない、失敗作だと思います。
もちろん、京都アニメーションを巡る事情は存じておりますし、それらを乗り越えて公開された本作品の意義も十分理解しますが、そうした事情と作品の出来映え自体とは、別物として捉えるべきかと思います。
大変言い辛いことですが、このアニメの映像化は外伝までで止めておくべきだった・・・というのが個人的な偽らざる本音です。m(__)m
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