劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデンのレビュー・感想・評価
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底の浅い世界観の上を言葉だけが上滑りしている
同じ京都アニメーションの作品でも「聲の形」とは随分世界観が異なる。「聲の形」は差別といじめ、ひいては格差社会の不寛容を描いていて、問題の根深さを浮き彫りにしていた。しかし本作品は家族が大事、友達が大事、愛する人が大事というステレオタイプの世界観で、戦争の不幸を背負って生きるヒロインの悲しみがあまり伝わってこなかった。
大切な人という言葉には昔から違和感がある。大切な人という言葉の対極には大切でない人、またはどうでもいい人が存在する。世の中の人間を大切な人とそうでない人に分けている訳だ。大切な人の死は悼むが、それ以外の人の死はどうでもいい。
たしかに日本だけでも毎日3,000人以上、世界では毎日15万人以上が死んでいるから、見ず知らずの人の死を悼む暇はない。しかし理不尽な死は別だ。理不尽な死の最たるものが戦争の惨禍で死ぬことである。国家的規模で多くの人を死に追いやるのは許されるべきことではない。戦争で大切な人が生きていることを願うのは自然なことかもしれないが、多くの人が多くの人にとっての大切な人であるという事実もある。
戦場の多くの屍体を乗り越え、大怪我を克服したヒロインにしては、トラウマが感じられない。ギルベルト少佐から教育を受けて博愛と平等の精神を身につけたのだろうが、戦場の極限状況は人間から理性を奪い去る。ときに異常な行動を取るシーンは必要だったのではなかろうか。でなければ戦争はストーリーのための設定に過ぎず、少佐と引き裂かれる理不尽な運命の舞台装置という軽い扱いになる。
劇場は16時からという早めの上映にも関わらず、女性客でいっぱいだった。終盤では両隣の女性客をはじめ、沢山の啜り泣きが聞こえた。評判のいい映画なのであまり悪いことは書きたくないが、本作品には哲学が感じられず、ヒロインの心情にのみ寄り添うようなところがあった。評判の高い文章がどれだけのクオリティなのかに非常に関心があったが、ヒロインが実際に綴った文章が紹介されることは最後までなく、とても評判がいいというだけで済まされてしまった。ほとんどの台詞がステレオタイプで、シーンを鑑賞しつつ、こういう台詞でなければいいなと思った期待はほぼ裏切られた。指まで動かせる義手が誕生するにはAI制御が可能になる時代を待たなければならないはずだが、交通機関や建設方法は古いままなのにそこだけSFめいていることにも整合性のなさを感じた。
終始、違和感が先行してしまったので、感動することなしに物語が終わってしまった。最終盤の場面でデイジーがひいおばあさんと言うべきところをおばあさんと言ってしまったのは、意図的だったのだろうか。底の浅い世界観の上を言葉だけが上滑りしているような印象の作品だった。
適正が必要
アニメは割と見る方で京アニにも昔から親しみがありますが、前知識一切なしで観ました。
ただ…25歳の男と14歳の少女の恋愛ストーリー(作中現在は29歳と18歳)だったのですが、正直これを知っていたら見なかった。
劇中、いきなり引き取って育てていた子供に告白するからびっくりしました。
しかも年齢差を問題視するような流れはほとんどなく、おおよそただの「男と女」として描いてる。
年齢差の恋愛作品を全て否定する訳じゃないですが、今の時代、せめて観てる側の驚愕や疑念を代弁するようなフォローが欲しかった。
その後どんなに情緒的で感動的な場面がきても「でも25で14に告白した男だしな~」と思えて台無しです。
展開への期待は消え、あとは美麗な作画を観察するのみの時間でした。
あと、登場人物の視点の切り替わりや回想が多いため、物語の方向性を理解するまで時間がかかったというのも入り込めなかった原因かもしれません。
でもこの作品の世界って色んな意味で浮世離れしていて、そもそもそういうトンデモ設定を是としてカタルシスを得る価値観なんでしょうね。
純真無垢で超人的な悲劇のヒロイン設定と、主役とはいえあまりにその子中心に動いてくれる人間関係。
まともな教育を受けていなかったはずの元孤児で、14歳で腕を失い、精密機器であろう義手のリハビリを経て、18歳にはライター的な仕事で世界的知名度を得ているって…一体職歴何年?業界はどうなってるんだ?しかも18歳で引退するのにその後も伝説として残り続けるほどの活躍が可能なのか…?
こんなことを考えてしまう自分はそもそも観るもの間違えてたレベルなんだと思います。
逆にそういった方向性が好きならばこれ以上ないくらいたまらないのでしょう。
主役の少女を目で見るだけで「楽しい」と思えるかが、この作品に馴染めるかどうかの分かれ目な気がします。
前半、ひたすら主人公がどんなに優れていて、どんなに哀れで、どれほど美しく愛し尊ぶべきかという説明が続き、それに合わせ京アニ作画もあますところなく本領を発揮します。
恐ろしいほど細かく描き込まれた髪、もったいつけて動くキャラ、生きてるように揺れる服の裾。
これらの技術は素晴らしく、美しい少女を愛でる作品の方向性と合っていて相乗効果が高いです。
病気の少年のくだりでは過去最高に涙が溢れたのですが、本筋にはあまり関係のない部分かと思うので作品への評価には繋がりませんでした。(この作品がこうだから泣けた!というよりかわいそうなペットや子供の動画を見たら涙が出てくる現象に近いもの)
初見さんでも感動できる
かくも長き恋文
アニメシリーズから繊細で儚い物語を紡ぎ、今回が最終話。
ストーリーはアニメ版を観ていた方がより、キャラクターの登場を楽しめます。
初見だと、何故?と疑問が沢山出てくるので、公式サイトにある5分でわかるヴァイオレットエヴァーガーデンを視聴してからの鑑賞をお勧めします。
今作ではついに!
少佐とヴァイオレットの話にスポットライトが当たります。
キャラクターの心の成長や所作の一つひとつが丁寧に演出、描写され、無言のシーンでも心中を察することのできる素晴らしい表現力に感動しました。
義手のカシャっと鳴る音がとても好き。
シリーズを通してホッジンズが人として好き。
ディートフリートも好き。
京都アニメーションの素晴らしいところは、キャラクターを悪役に貶めたりしないところだと思います。
いろいろな人の、いろいろな立場があって、関わりが深まることで、見える景色も変わることを丁寧に描いてくれるので、嫌いなキャラクターが最終的にはいなくなる妙があるなと感じました。
それは、京都アニメーションの作品に共通することで、キャラクターを愛し、物語の世界観を愛している表現者の方々の努力の賜物だと思います。
この作品を劇場で観られて幸せです。
人の心や思いは、繋がって残っていくものだから。
素晴らしいアニメーターの方々に感謝して、今後の作品も楽しみに待ちたいと思います。
ずっと泣いていました
1作目の映画を観た時は、アニメをみていない状態で観に行ったので、内容か分からず、凄く後悔しました。
今回は、アニメを全部観て、1作目の映画も再度観た状態で観に行きました。
やはり、もちろんですが知っている状態で観た方が、何倍も感動するし、何倍も幸せな気持ちにもなれます。
ただ、最後の方のシーンで、少し疑問な部分があり、疑問が解決出来ず、星半マイナスです。
晴れやかな気持ちになれる
すごかった
最高でした
普段は、鬼滅の刃が久しぶりなくらいでアニメはほぼ観ないですし、
キョウアニ、キョウアニ、って何のこと言ってんだ?ぐらいの感覚です。
でも最近、会社の女の子から激しいぐらいに勧められて
そんなに言うなら!ということで、
アニメを全部見ました(外伝も)。
もうそこでうるうるしてました。
今映画もやってますよ!ってことなので、
行ってきました。
最高でした。
映画はたくさん観てるほうだと思いますし
泣くことはないですが
ボロボロ泣いてしまいました。
キャラが良いのもあるでしょうけど、
このアニメは内容がとても素晴らしい作品だなと思います。
なんというか…、相手へ想いはちゃんと伝えないといけないなと思わされるような、
苦しくもあり歯がゆくもあり、でも心が洗われる、
そんなアニメですね。
自叙伝
予習は必要だと思った
鎮魂の作品
暗い。最初にぬかるんだ道と轍が続く。やがて暗い森の中に一軒の屋敷が現れ、我々の視点はその中に入っていく。轍は京アニの今まで示してきた道筋だろうか。そして館はあの京アニスタジオを示しているのだろうか。
館の中に入るとそこはこの作品の世界。一転して明るい世界が存在している。だがその場はたった今葬儀の終わったところ。
死者からの手紙で、ヴァイオレットの功績を探っていくストーリーが始まる。そして、作品には3通の手紙が登場する。1通は亡くなった母から娘が50歳になるまで毎年送られた手紙。1通はもうすぐ死んでしまうものから家族へ送られる手紙。この2通は共通している。最初のは自分の死後、娘の成長を楽しみに想像し激励し、何時もあなたを見守っているよと伝える手紙。2つ目は自分が亡くなった後、残される家族への感謝を伝える手紙。いずれも残されたものを気遣う気持ちが溢れている。残された者の未来を激励し、過去を振り返って感謝の言葉を残す。
3通目は海ヘの賛歌。しかしその文章はその式典の時には音にならず、別のところで戦場に赴き帰ってこない男たちへの追悼の言葉として語られる。つまり残された者からの言葉。
この3通の手紙は、あの忌まわしい事件で亡くなられたり負傷された方々へ贈られた言葉だと思っている。そしてこの作品は鎮魂のために作られた作品ではないか。
あなたの声が道しるべ。この作品を完成させなければ、京アニは前に進めないのではないだろうか。
一番最後、轍を追う視点はヴァイオレットを追い越し先に進んでいく。まだまだ暗いけど先に進んでいく決意だろうか。
さて、少佐が生きていたのはお決まりのパターンだったけど、こんなヘタレなやつだったとは。自分の手で武器として使ってきてヴァイオレットを不幸にしてしまったから会う資格が無いだと。それだからこそ今から彼女を幸せにするとなぜ考えられないのか。真さに大馬鹿ヤローだよ。最後の最後にヴァイオレットの愛を知り、2人が結ばれたのは判ってても大感動の涙でした。今まであまり感情を現さない彼女が、湧き上がる様々な思いに、感極まって言葉が出ず体も動かず只々泣きじゃくるという気持ち。さっさと少佐に歩み寄れという意見もあるけどそうじゃないのだ。動けないんだよ。「愛してる」の意味が分かったんだよ。
ヴァイオレットちゃんのはにかんだ笑顔は最高です。
死ぬほど泣いた
映画を観て、いや、生きてきて、これほど感動したことはなかった!?
鬼滅の刃以上のアニメに出逢う奇跡‼️
作画が芸術。今季1の映画。
数ある作品の中でも作画がトップクラスでもはや芸術の領域。『美しい』という言葉しか出てこない、それだけで劇場で観る価値がある。音楽、演出も素晴らしく自然に涙が出てくる。
ストーリーは王道感動ものだが全く飽きさせず、何回観ても感動する(あまり何度も同じ作品を映画館で観ない私がすでに5回以上)。
数あるその時の人気作というのは流行がすぎると色褪せていくことが多いがこの作品は何年先にみても感動できる、そういう作品。
欲を言えばテレビアニメの頃から思っていたが、原作通りのアニメをみてみたかった。原作を完結まで読んだ上で映画を観たからか、映画の『あとは想像してください』という終わり方に引っかかってしまった(それはそれで美しいのだが原作がきれいに終わっていたので気になった)。一部原作を別物レベルで変えていて、原作を読んだからこそ理解できること、アニメに突っ込みを入れたくなるところもあり、その部分は評価が分かれるだろう。
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