「ちょっと感動を強要しすぎでは・・?」劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン yoneさんの映画レビュー(感想・評価)
ちょっと感動を強要しすぎでは・・?
TV版とスペシャル、外伝をNetflixで観て、そのまま映画鑑賞。
TV版はすごく良かった。
言葉は所詮記号なので不十分。気持ちをしっかり伝えることは難しい。
そこに、「手紙」というローテクな手段を通すことで、人の素直な気持ちを言葉に乗せられる(表現できる)。この作品を観て、手紙の良さを再発見できたのは本当に良かった。TV版は自然に感動できた。
ただ、この映画版はちょっと自分には合わなかった。
評価も高いみたいだし、その理由もわかる。
映画館で周りの人も泣いてたようだし。
けど、あまりに演出がベタすぎないか??
病弱な子供が亡くなる、なんてあまりに安易なストーリーだと思うし、しかも、このサブストーリーがメインストーリーに全く関係がない。
それと、少女漫画的な展開もどうにも・・少佐に感情移入できるのも、単に美男子だからでしょう。普通に考えると、かなり情けない男、としか思えない。少佐の兄さん(大佐)の方が、よっぽどこの作品の中で精神的に成長してる。
それに、ストーリーとしても、やはりあの状況で少佐が生きてるのがおかしい。
あれだけの爆発で生きてる、ってのは無理があるだろう。この結末のために無理やり話をねじ曲げたようにしか感じられなかった。ヴァイオレットの成長は、少佐の言葉を探っていく過程で育まれたものだ。結局、少佐が生きてたなら、TV版までの葛藤は何だったのよ?という気持ちになってしまった。
そもそも、「願えば望みは叶う」というテーゼは危険なんだよな。。
願えば何でも叶うなら苦労はない。特に人の生死は。何でも叶うならあの少年は死ななくてもすんだだろう。あと、恋愛も。誰かが誰かを好き、という気持ちがすべて叶うわけはない。
その辺りの機微を、ヴァイレットの成長とともに描いて欲しかった。そうであれば、少佐とは結ばれない結論になるけれど。少佐とヴァイオレットの関係性は、男女間の恋愛関係とはとても思えないもんな。
まぁ、最後は「愛」、という結論は賛成するけども。。
多少ウルッときた場面があったけど、TV版と比較して良いと思える場面が少なかった。
ただ、映像はさすがの京アニクオリティでした。
※もしクレジットの中で京都アニメーション放火事件で亡くなった方がいたら、謹んでご冥福をお祈りします。
サブストーリーと少佐との再会を並行してやっちまったのが原因だと思います。
少佐側にもう少しバックボーンを盛らないと、久し振りに会って劇的に美少女化しているヴァイオレットちゃんに対面したときに自分語りばかりしてヴァイオレットを拒絶する流れが絶対的に不自然なんです。
あの台詞を出す為には、少佐が結構最近のヴァイオレットの情報を得ていたという前提がこちらの認識としてないといけない筈なので。
サブを全部飛ばして少佐側の動機付けを補強していれば、こんな感動ポルノにはならんかった筈なんです。
ここで高得点つけてる奴なんてプペルで泣いたとか言える脊髄反射で感動する奴ばかりだと思います。あんなに理屈抜きで絵の綺麗さで感動させに来たクライマックスシーンなんか、おっぱい出たから勃起したと言ってるようなもんですよ。
この話は辻褄が合ってない。その割にみんなこれで感動したと言う。補正は効いてると思いますが、自分は不愉快です。