「見なければよかった」劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 2likeさんの映画レビュー(感想・評価)
見なければよかった
TVアニメ、外伝と非常に楽しめたので劇場版も大いに期待して観てきました。
結論としては観た記憶を消したいレベルの映画でした。
まず、原作は読んでいないのでどこまでがオリジナルの展開なのかわかりませんが
ギルベルトが生きているという展開は必要だったのでしょうか。
過去作ではギルベルトの死を前提として、葛藤し成長するヴァイオレットを
軸としてストーリーが進んでいましたが、今回生きていたという事実が発覚する
ことで、TV版、外伝も含めて全体的に安っぽい話になってしまいました。
かといって、色々な経験を経て成長した結果、何かそれを活かした面白い展開になるかと思えば
TV1話の時点で書いても同じような内容になる手紙が、大層な演出のあとでてきたり台無しです。
後、ギルベルトとヴァイオレットは親子のような関係性だと思っていたので
突然欲情するギルベルトには少し笑ってしまいました。そのタイミングでTV版の
おもしろEDも流れ出すので、「あぁ、この作品は自分向けではなかったのだな」と確信が持てました。
次に、今回TV版10話のアンの孫デイジーの登場で始まりますが、それ自体は面白く
開始5分で泣くというのも理解できました。デイジーが出てくるシーンだけは全て良かったです。
しかし、TV版10話が受けたからといってユリスとかいうTV版10話の焼き直しのような
話はいれる必要があったのでしょうか。しかも、ユリスの手紙を中心として話が進むならまだ
わかりますが、特に何か起こるわけでもなく手紙が完成し、予定通り死んで誰でも予想できる
内容の手紙をわざわざ読み上げるのを聴かされます。
似たような話なのにTV版10話にあった情緒がカケラもありません。途中リュカとかいう名前とちょっと姿がでてきていただけの友達とやらがでてきますが、ユリスにも感情移入できていないのに
なんか感動っぽいシーンを見せられても困ります。後、結局ユリスパートは何の意味が
あったんでしょうか。電話を馬鹿にしてたけど便利じゃん?ぐらいの意義しか見出せませんでした。
その他にもとにかく理解できないシーンが多すぎるので以下箇条書きです。
①ディートフリートの実は良い奴シーンみたいなのがしつこいです。劇場版から入った人向けなのかわかりませんが、そもそもディートフリートが嫌な奴ってことを示しているのが
ヴァイオレットをギルベルトに渡す過去回想シーンと、クラウディアの嫌そうな反応ぐらいです。
嫌な奴って示す回想を増やした方がマシだったんじゃないでしょうか。
②上でも言ってますが劇場版から入った人向けと思われるシーンがしつこいです。
露店の装飾品を見て、ギルベルトにもらったブローチを思い出すシーンなんて
新規の人への説明にはなるかもしれませんが、過去作を見ている層はもちろん、登場人物達も
お前同じことTV版でやってただろって思っているでしょう。他にもギルベルトへの心情を伝える
ためか、ヴァイオレットはことあるごとにヒステリーを起こすのも、TV版と比べてキャラ付けが
濃すぎる結果になっているので、一体お前は誰なんだという気持ちになります。
義手になった経緯を示すためかユリスに対して地獄のミサワばりのアピールをするところも
ひどいです。ユリスもカウンターで病弱アピールしてたので引き分けといったところですが。
③手紙が飛びすぎです。とにかく全ての演出がくどいですが、飛んでいく手紙芸も擦りすぎです。1回で良い。せっかくなら他の物を飛ばして欲しい。
④クラウディアもことあるごとに、ヒステリーを起こす厄介なおっさんと化してます。
話し合いをする気がない。あと、よくわからなかったんですが、この人もヴァイオレットに
欲情してるんですか?
⑤ギルベルトの微PTSDみたいなやつの説明がなくてなんか会いたがらない面倒臭い奴って
感想しかないです。なんかディートフリート(良い奴)に説得されてなんか変な曲が流れて
なんか走っていって実は親愛ではなく欲情していたことが発覚した。よくわからない。TV版の時も
外伝の時も欲情されていただけだったらしい。繰り返しますが、急に全てが浅い話になりました。
⑥話を良い感じに進めるためだけに生まれてきたようなモブキャラが多すぎます。
特に深いことは言わないけどギルベルトに独り言をしゃべらせたくはないだけにいる爺さんとか、
手紙を「絶対渡すね!」って言って無言で即、下りの箱にぶち込む賢い子供とか、
カマキリの話でギルベルトの身体障害いじりを始める子供とそれに良い感じの情報を
補足してくれる子供とか、突然親指をたてられて全く関係ないのに親指を立て返してくれる
おそらくユリスの生まれ変わりのおじさんとか。
⑦上でも書きましたがユリスの親指立てるネタをデイジーが知るはずないのに
伏線回収みたいな感じでやる必要がありません。最後の指切り画像も特にセリフとか
ないなら伏線回収になってないので必要ありません。ユリスは死ぬ前に手紙だけでなく
伏線を張る努力はしていたようですが、回収?の仕方が斜め上すぎて実質回収できていません。
⑧最初に書くべきでしたが全体を通して何をテーマとしているのかがわかりません。
デイジーパート→説明パートまではわかったのですが、新キャラのユリスがでてきたと思ったら
突然ギルベルトが生きていたって話がでてきたり、エリカが劇作家の弟子になったって話も
特に意味はないし、アイリスが最初意気込みを語ってたのがユリスの最期のシーンで
何か意味をもってくるのかと思ったら特になく。今までなんやかんやあったけどギルベルトと
ヴァイオレット結婚させたかったんだよね、ぐらいしかわかりませんでした。
まだまだ疑問点が尽きないですが、この映画でたまったストレスは発散できたので以上と
させてもらいます。TV版10話で上書きしようと思いましたが、でも最終的にあの話に
繋がるんだよなと思うともう楽しめません。
数十年後忘れたころにTV版と外伝を見直したいと思います。劇場版は観ないということは
忘れないように生きていこうと思います。
全く同じ感想です。TVアニメ10話、親に残された娘を想って泣くヴァイオレットがこのアニメのピークで間違いないと思います。
この映画、ヴァイオレットの成長物語の完結編とは思えない出来です。
京都アニメーションに寄付金入れたと思って、次回作に期待するのが良いと思います。
(続き)
ギルベルトの愛は恋愛だけではありません。それはギルベルト役の浪川さんも語っています。 愛してる、ずっとそばにいて欲しいと言って抱きしめるのは恋愛だけではないですよね、特に欧米の文化では。親愛、恋愛、家族愛等全てを超越した愛だと感じました。あの時点では明確な恋愛感情だけを示唆する演出は無かったと思います
⑥モブキャラは重要です!モブキャラだからこそ人間関係や話の流れ関係なく良い仕事しますし。お爺さんは浅過ぎず深過ぎず自然体で良い事を言ってくれてたと感じました。デイジーにサムアップしたおじさんは最初出てきた3人の子供の一人ですよ多分。そしてサムアップの理由はデイジーがヴァイオレットの話をしたからで、きっとヴァイオレットが島でドールをやりながらよくサムアップをしていたのでしょう。人気ドールだったからそれが浸透し、ヴァイオレットと言えばサムアップ、となったのだと想像して、皆に愛されてたんだなと暖かい気持ちになりました
⑦先に親指立てたのはおじさんです。デイジーはただサムアップで返しただけかなと。最後の指切りは、何も言わなくても映像だけで2人は幸せになれたんだろうなと想像出来ます。きっと『ずっとそばにいるよ』みたいな約束をしたんだろうな、と勝手に想像して感動してました。サムアップも指切りもユリスから教えて貰った事で、最後に約束を果たせなかったユリスとの思い出というか記憶を大事にしたいというヴァイオレットの優しい気持ちを表現したかったのかなと思いました。
⑧テーマは、、何でしょうね。正解は分かりませんが、フィナーレと言うからには絶対にヴァイオレットには幸せになって欲しいと思っていたのでヴァイオレットの愛と成長の物語でしょうか。あとは、戦後の復興で手紙から電話へと伝達手段が変化していき手紙が廃れていくという話の中、ヴァイオレットはドールとしていつまでも島の皆から愛され、後世にも語り継がれていかるという美しいお話かなと。
全体としては、私には全てのエピソードが上手く融合して一つも無駄な物など無く、本当に素晴らしい映画だったと感じられました。
長々と勝手な事を書いてすみませんでした。上手く説明できませんでしたが、同じヴァイオレットファンとしては少しでもこの映画を好きになって貰えたら嬉しいです。どうか劇場版は観ないなんて寂しい事を言わないで下さい。。
文字数オーバーの為分割でコメントします。長文失礼します。
ギルベルトが生きているのは原作通りです。ヴァイオレットの気持ちを考えたらギルベルトに会わせてあげて、幸せになって欲しいと私は思ってました
あと私なりの解釈を書かせて頂きますので、参考になれば幸いです
①兄貴が実は良い奴なのはTV版終盤でも垣間見れたと思います。なので嫌な奴アピールは丁度良いぐらいだったのではないかと
②露店のシーンは私は違和感なかったです。何かとギルベルトの事を思い出してしまうヴァイオレットの気持ちを表す演出の一つだと感じました。ヒステリーを起こすというのも仕方ないと思います。何年も会いたくて会いたくて、でももう二度と会えないと諦めていたギルベルトに会えるかも、そんな状況なら冷静ではいられないでしょう。冷静だったら逆に不自然じゃないでしょうか?
③手紙が飛び過ぎ、、それは少し思いましたが、この作品は手紙が主役(?)なのでそこは大目に見て下さい笑
④社長は完全に父親目線です。だからヴァイオレットの幸せを心底願いどうしても感情的になってしまうのです。私はグッときましたよ。大馬鹿ヤローー!は特に!
⑤ギルベルトは正常です笑。会えないと言った理由は簡単に言うと会えばヴァイオレットがダメになる、です。本当はめっちゃ会いたいんです。でもギルベルトは成長したヴァイオレットを知らない。(視聴者や社長は知っているが)知っているのは自分の後を付いて来て命令だけを忠実に聞き命令を貰う事だけを喜びとしている共依存のような関係性のヴァイオレット。いくら感情や愛してるが少しは分かると言っても一緒になったらまたそんな共依存な関係性になりヴァイオレットをダメにするのではないか、という強い葛藤があったのだと思います。責任感が強く大切に思っていたからこそです。その気持ちを動かしたのは最後の手紙と兄貴の後押しです。手紙を読んでヴァイオレットの「会いたい」が単に主従関係ではなく愛だと知った。愛してるが少しは分かる、だけでなくヴァイオレットもギルベルトの事を心から愛してると知った。それでもまだ素直になれないのを兄貴には見抜かれていて、最後に背中を押してくれた、て感じだと思いました。手紙の最後の一行は声が流れませんでしたが大事な事が書かれているようです。