「見事にリアルな人間模様」劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン あてるさんの映画レビュー(感想・評価)
見事にリアルな人間模様
ハッキリ言って見たくありませんでした。
見てしまうと物語が終わってしまうからです。
見終わった後も「やっぱり見なきゃ良かった...」です。
キチンと完結してました。
それも凄いんですが、前作の外伝から今回の完結編にかけてのリアルな人間模様が素晴らしかったです。
所謂アニメにおけるお約束や、過剰な表現はほとんど見られず、終始現実的な表現に留まっています。
アニメと言う媒体での表現ですが、コレは登場人物のリアルな人間模様を覗き見ているかの様です。
何か、実在した人物の伝記を読んでいるかの様な不思議な感覚に陥ります。
外伝から完結編にかけて、様々な場面で「なんでこうしないの?」「こうあって欲しい!」と思う場面はいくつもあります。
しかし、現実はそうなりません。
そうしたいけれど、そう出来ない理由がある。
そんな自分だけれども、周りの人の助言や後押しがあり前に進む事が出来る。
出来ない理由は自らを理由なく縛りつけているだけです。
一度、その縛りつけている「何か」が緩んでくれさえすれば、その先には新たな何かが待っていてくれます。
この物語がそう教えてくれます。
もしかすると、若い人や、恵まれた方には響かないかも知れません。
しかし、年月を経て再度見た時にはこの作品の深い部分まで理解できる事でしょう。
一点だけ、劇場版になってからの音楽が少し弱く、印象に残る音楽がありませんが、映像を邪魔しない様に意図的にそうされたのかな?と思いました。
何にせよ、僕の命が後2時間であれば、その時に見たい、温かな気持ちで最期を迎えたいと思える、素晴らしい作品でした。
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