「前作超えのウエスタン・カルテル版」ボーダーライン ソルジャーズ・デイ MPさんの映画レビュー(感想・評価)
前作超えのウエスタン・カルテル版
エミリー・ブラントのエリートFBI捜査官が国境地帯で展開する麻薬戦争の真っ直中に投げ込まれ、彼女の目を通して地獄絵を描いた前作から、待望の続編はベニチオ・デル・トロの暗殺者、アレハンドロに主眼が移ったことで、父親の執念のドラマへと完全にシフト。カルテルに妻子を殺されたアレハンドロが、任務遂行の過程で道中を共にすることになる敵方の娘に、とても微妙な愛憎相半ばする感情を抱き始める件は、渋いし切ないし、それ故に殺伐感が半端ない。そんな男の激しく揺れ動く内面を、ほぼ無表情で演じきるデル・トロは、オスカー受賞作「トラフィック」に匹敵する出来映えだ。観ようによってはウエスタン・カルテル版ともとれる本作は、数少ない前作超えの続編として記憶されるべきだと思う。
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