「My hands are registered as lethal weapons!」ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド Naakiさんの映画レビュー(感想・評価)
My hands are registered as lethal weapons!
映画の主人公の両バディには共に実際にいた。ハリウッドを代表する60年代から活躍していた映画俳優とスタントダブルがモチーフになっていると..........。その1人は
映画の主人公であるリック・ダルトン。彼の周りの映画界・テレビ界を含めて西部劇全体が下火になった時、リック・ダントンは次の役作りをどうするか模索している。スタジオの送り迎えからダントンの小言の付き合いまで、いやな顔など見せずに付き合っている友人で、リックが格下のスパゲッティ・ウエスタンに行こうか迷っているところをブラット・ピット演じるクリス・ブーフが、リックの自尊心を傷つけることなくアドバイスを的確に示す。
2人の背景には、60年代を代表するようなアイテムが数多く登場する。車で言えば、リックの愛車・1966年製 " Cadillac Coupe DeVille" であったり、poor-man's Porscheと称された大衆車 "Volkswagen Karmann Ghia Convertible Typ 14" があり、もちろんいくつもの名車がハリウッドらしくさりげなく登場している 。後にこのリックのキャデラックが、ある事件にかかわってくる。
クリスのトレーラーハウスでは、映画「ジョンウィック」にも登場した忠義心の塊のアメリカン・ピット・ブル・テリア、壁には「ハニーにおまかせ(1965)」や初期のSci-Fi映画の金字塔「禁断の惑星(1956)」にご出演のアン・フランシスのポスターも貼ってある。そしてテレビでは、イベット・ミミュー出演の映画「Three in the Attic (1968)」なんてのも映し出されている。イベット・ミミューといえば1960年制作の「タイムマシーン」を思い出され、Sci-Fi映画の父と原作がSci-Fi小説の父が作った映画なので面白くないわけがなくフリーメーソンのメンバーとされる方が、その小説「宇宙戦争」の序文にイギリス人の凄惨かつ残忍性を自国の人なのに述べている。
リックは、有名スターなのに、お酒浸りで、車を運転することもままならず、やっともらえた代役なのにうまくいかず、テイクをやり直し、そのやり場のない怒りからか感情失禁までしてしまう。やっと監督からお褒めの言葉をもらいホットしていると、共演の8歳のルディー・フレイザーが耳元で「私の人生であなた最高だったわ!」なんて言われて涙ぐむリック。..................................................デカプリオ最高!
エンタメの業界紙"Variety"の見出し記事"‘Once Upon a Time in Hollywood’ Actress Julia Butters on Working With Leonardo DiCaprio, Brad Pitt"によると彼女の行く末が恐ろしく感じるほど名女優の一歩を踏み出している。
クリスが、あたかもナタリー・ウッドの死を思い出させるように彼が妻殺しといういわれのないデマのおかげでスタントの仕事にありつけない彼のためにリックはスタントコーディネーターに頼んで役を見つけようとするが、TV番組「グリーン・ホーネット(1966)」の出来事として........
ブルース・リー: My hands are registered as lethal weapons.
We get into a fight, I accidentally kill you... I go to jail.
それを聞いたクリスが苦笑いをしているとブルース・リーがおかんむり?
クリス: Anybody accidentally kills anybody in a fight,
they go to jail. It's called manslaughter.
なんて返すものだからファイトシーンのリハーサルと称して格闘が始まるや........!? これは観てのお楽しみ。 その仲裁に入ったのがニュージーランド出身の「キルビル(2003)」でスタントダブルをしていたゾーイ・ベル。しかし、ブルース・リー役のマイク・モーさん、顎を上げてしゃべる仕草や手振り身振りがクリソツ。
映画の中で、登場し、西部劇で利用された牧場主のジョージ・スパーン。彼の性的なお相手とされる、この方も実在の人物であまり日本では知られていないのにもかかわらず "Manson Family" の中でもとびぬけた有名人、 リネット・フロム。通称:スキーキー。彼女を演じたのが、クリンゴン語??を操るダコタ・ファニング。
アドリブ満載のレオナルド・ディカプリオと55歳にしてこの完成された肉体美を持ち何十メートル先からでも男の色気がムンムン感じるブラッド・ピット。2人の競演を少し最初違和感があったのが映画を観ていくうちにそんなことはどうでもよく、とっくに忘れていた自分がいる。
個人的には、2人の俳優の物語が、メインと思いきや実のところシャロン・テートの今まで知られていなかった人物像や彼女の1面を監督は描きたかったかもしれない。なぜなら、例えば、その優しさ。ヒッチハイクの女性を何も言わずに乗せる(ニューシネマ代表する映画の1つ"The Strawberry Statement(1970)"の主題歌:バフィ・セント=マリーが歌う"The Circle Game")ところや次郎長の命で四国讃岐の金毘羅宮に刀を納めに代参した石松を描いた映画「石松三十石舟」の名シーンを彷彿とし、映画館では自分の出ている場面を観客がどう思うかをあたりを見渡すあたりオチャメななシーンも出てくる。実のところ、8か月の子供を宿していた時に惨殺された彼女にもかかわらず、あまり同情する声が聞こえてこない。むしろ批判めいた言葉もある。それもそのはずでマスコミが面白おかしく、この事件を取り上げ、連日のようにドンちゃん騒ぎをしている報いともとれる報道をしていることによるところが大きいと個人的には思っている。160年続く新聞紙のウェブサイト"The Telegraph" に妹のデボラ・テートさんがコメントを載せている。その題名が "Sharon Tate's sister on Tarantino's new film and why she still lives in fear of Manson's disciples" というのもシャロン・テート事件の実行犯の1人レスリー・ヴァン・ホーテンが仮釈放の申請をしていることがあげられる。ホーテンは、獄中でありながら学士号や博士号を取得された方でなおかつ囚人仲間からは慕われる存在になっている。女囚としては現在50周年を迎えアメリカでは女子として最長という事は世界最長であることから個人的には、他人事なので彼女を許してもいいのではないか? なんて無責任な発言も現れる。それとシャロン・テートの夫のロマン・ポランスキーという人物が "Pedophilia" 的な側面も大きく影響していると思われる。(アメリカに帰れば即、逮捕)
ラストのシーン。 はじめ何を描きたかったのかわからい自分がいるし、シャロン・テート事件といえば、先人が描いているギミックを使ったゴア表現のオンパレード的な描き方をするものだと思うのだが、失礼な話、蒙昧な自分にとっては、この監督の映画はただのバイオレンス映画「キル・ビル(2003)」以外記憶にない..........
それとは別に、以前観た「Charlie Says(2018)」でも見られるようにマンソンが誤認殺人と一般に言われるものではなく、その彼の人間としての姑息性から、つまり自分よりも巨大な存在に対する畏怖の念があることをマンソンがシャロン・テート邸に下見をしたシーンがわかるものとなる。
米国の時事問題、政治、および文化を網羅するオンラインマガジン。反対意見を採用し、「スレートピッチ」という用語を生み出したことが知られており、そして時には批判されている。自由主義を象徴するオンラインマガジン、Slate
"Once Upon a Time in Hollywood Shows Tarantino Is the Rare Kind of Director Who Shouldn’t Retire"その副題として”For some filmmakers, the best way to fight aging has been to make movies about it.” の記事より
「激動の10年の終わりに映画ビジネスを振り返る、ほろ苦い、複雑な、会話の始まりであるハリウッドのワンスアポンアタイムは、タランティーノがそれを詰め込むのが早すぎる理由が、大きな議論を呼ぶこととなる。」 という事は、タランティーノ監督は、監督業から引退宣言をしているのか?(Collider と呼ばれる自称インパクトのあるエンタメ情報サイトの見出し記事"Quentin Tarantino Still Says He’s Only Making One More Movie After ‘Once Upon a Time")、 より
それとは別に、サイトを称賛するわけではないが、このサイトのコメントが映画の本質を端的に述べいるかもしれない。キリスト教系新宗教団体クリスチャン・サイエンスの110年を超える?オンライン新聞紙、Christian Science Monitor
「ディカプリオは古びて、しかもダメになった俳優としてミスキャストされているように見えるが(主に彼は決して古びていないように思われるが?)、ピットは生き生きとしたパフォーマンスで素晴らしいの一言。シャロン・テイトとして、マーゴット・ロビーは映画の黄金期の象徴である無邪気さとして非常に感動を呼ぶ映画といえる。」
amazon.comではすでにレンタル配信が始まっていて、別に映画館に足を運ぶ手間もなければ、エネルギーを使う必要もないものとなっている。ただ大きい画面さえあればの話だが........
日本のアマゾン? 月500円? 安かろう悪かろうを地でいっている。