「作りたてのカレーの様な若々しさも魅力♪」さよならくちびる マツマルさんの映画レビュー(感想・評価)
作りたてのカレーの様な若々しさも魅力♪
好きな女優が門脇麦さんと小松菜奈さんで、成田凌さんが出演した「愛がなんだ」が結構好きで、気になるアーティストがあいみょんなら、そりゃ観に行くでしよ!と言う訳で鑑賞しましたw
で、感想は言うと、面白いし、グッと来る物もあるのに、なんとな~くむず痒い様な違和感があったりなかったりw
まとまってる様でまとまってなくても、作りたてのカレーみたいにこれから熟成していく様な味わいな感じも味であったりするんですよね。
それでも好きな作風で胸にじわりじわりと来る作品です。
いきなり冒頭から、アパートの前にいるシオに向かって荷物を投げて、“なに?いきなり別れる。出ていけ~!か?”と思わして、実は全国ライブの旅の始まり。初っ端からギスギスした感じがプンプンw。
同乗者としても相乗りしたくない感じからロードムービーの始まりですが、嵐の予感がてんこ盛り。
とにかく互いが素直になれない。
ハル、レオ、シオの3人の根底にあるのはコンプレックスや引け目。でもそれぞれが相手を思いやる気持ちがあっても、同情されたくない気持ちが強くて、それもあって素直になれない。
若いと言う括りだけでなく、七転八倒しながら、迷いながらも1歩づつ進んでいくのが、王道な青春映画ですよね。
変に取って付けた様な友情を入れなかったのも良い。 だからこそ、初めてシオの車でライブの旅に出る時の場面や写真がキラキラと眩しく映ります。
3人にいろんな部分で共感する所もあって、門脇麦さん演じるハルも小松菜奈さん演じるレオも魅力的。
特に今までの作品では門脇麦さんの方が肉感的な演技が多かったのに、この作品では小松菜奈さんの方が肉食系の直球ですw
門脇麦さんはどちらかと言うと、単館系の尖った作品の方が似合うと思うし、小松菜奈さんはメジャー系の作品で大成する女優さんだと思うので、この組み合わせの共演はちょっと相見えない関係に思えるからこそ、キャスティングだけで唸る物があります。
ただ、ちょっとどうかな?と思うのは、前半は客が一桁?と思えるくらいしかいないのに、解散がにわかに現実味を帯びたラストの函館のライブハウスは超満員。入れなくて、入口でたむろする人多数。
ちょっと極端でないかい?w
また、ラストの旅を終えた3人が解散からそれぞれの道を歩むと思いきや、さくっと戻ってきたハルレオは唐突過ぎ!
ここはもう少しそれぞれの葛藤や振り返ってからのダッシュで戻るシーンとか後悔からの泣き崩れシーンとかあっても良かったのではないかなと。
ベタであったとしてもそこまで描く方がまとまりがあるかと思うのですが、どうでしょうか?
あと、個人的には主題歌の「さよなら くちびる」が秦基博さんプロデュースで他の曲があいみょんの作詞作曲の為、微妙な違和感と言うか、ズレが感じるんですよね。
ハルが作詞作曲する曲や3人が持つ感情はあいみょんの世界観にマッチするのに、何故主題歌だけ秦基博さんにしたのかが謎と言うか解せん所。
大人の事情があったにしてもですが、ここは全面あいみょんの作詞作曲でまとめた方が良かったかなと思います。
淡々と終演向かうラストライブの旅にそれぞれが抱える葛藤と後悔に思いを馳せるけど、それを観る側の解釈に任せ過ぎな部分もあります。
全国公開系のメジャー作品をまといつつも作品のスピリットは単館系のインディーズな雰囲気。
もう少し尖っても、細かい描写を入れても、どちらに転んでも良かったかなと思ったりもします。
結構ハードル上げての鑑賞でしたのでツッコミをしましたが、門脇麦さんの出演作品は良い意味で後味が残るのが良いんですよね。
じわりじわりと余韻が来る作品なので、鑑賞の価値は十二分にあると思います♪