「生々しさの積み重ね」斬、 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
生々しさの積み重ね
舞台は幕末だが、倒幕イデオロギーも、ストーリーもない映画だ。
本作では、よくあるチャンバラ活劇のように、簡単に人を斬り捨てることはない。
刀の重量、流れる血の粘り気、斬られた人間の息遣い、腕や内臓の生々しさ……
そういったものの丹念な描写が積み重なって、シンプルに「日本刀を使って人を斬り殺すとは、どんな事なのか?」を追っている。
達人レベルに剣術を修めながらも人を斬った事も、女を抱いたこともない若侍を、池松壮亮くんが狂気を伴う熱演。
さらに上を超えて怖いのが、塚本晋也監督自身の演技。
それらを力強く押し出してくる、音と映像の迫力に圧倒されました。
90分なのに、観た後にヘトヘトになっていました。
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