「なるほど、そういきますか…」スカイライン 奪還 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
なるほど、そういきますか…
WOWOWオンデマンドにて。
アマプラでは3作目だけが有料なのでどうしようか迷っていたのだが、WOWOWでシリーズ一挙放送があったのだからオンデマンドで見逃し配信がある…と、気づいたのだった。
前作の続きではあるが、本作の始まりはセイムタイム+アナザープレイスを描いていて、主人公たちは別の人たちだ。
LA市警の刑事マークと不良息子(実はいいヤツ?)トレントが地下鉄の乗客と女性車掌(運転士だったかも)のオードリーと共にエイリアンの襲撃にあう。
前作で描かれた米軍とエイリアンの空中戦がマークたちの頭上でも展開し、ステルス型戦闘機が放ったミサイルに撃墜されたエイリアンの母艦が再生する様を彼らも目撃する。
マークたちは早々にエイリアンに捕らえられ、LAの市街地からUFOの中に舞台が移る。ここで前作のエンディングとつながる。脳をエイリアンに移植されてクリーチャーと化した前作の主人公ジャロッドと、妊婦である彼の恋人にマークは出会うのだ。
この妊婦の恋人役の女優は代わっているのではなかろうか。同じ人物であると直ぐには理解できなかった。ジャロッドはクリーチャーの姿でしか登場しないので役者は関係ない。
さて、この妊婦がジャロッドのなれの果てについてマークに説明する。クリーチャーは「ロボット」だと言うのだが、あの情況で彼女はよくそんなことを理解できたものだ。
前作の主人公と今作の主人公が協力してエイリアンと対峙する面白い展開で、ジャロッド=ロボットはマークに後を託して殉職。マークの息子トレントもロボットとなって、後のキーパーソンとなる。そして、前作でジャレッドの恋人が妊娠していたことがシリーズの布石となって、次作でいよいよ攻守逆転することを予感させている。
なるほど、そういきますか…と。
前作はワンシチュエーションだったが、今作は市街地からUFO内に、そしてラオスの山林地帯へと戦場が移動する。
そして、怪物エイリアンとの肉弾戦にはカンフーアクションが織り込まれていて、コレがやりたかったのかなぁ〜という感じ。
登場人物は前作よりもキャラクターが立っている。
主人公のマークは刑事だから肉弾戦にも銃撃戦にも納得感はある。
オードリーも地下鉄の乗客を保護する立場だし、なんだか戦士っぽかったりするところは?だが、色っぽいだけでなく格好よさもある。この女優、テレビドラマ「インスティンクト」の女性刑事さんだ。
ラオスのパルチザン兄妹のキャラクターも面白い。
息子のトレントがいつの間にかオードリーの恋人気取りなのは気になったし、パルチザンの隠れ家にいた科学者らしからぬ科学者には説得力の欠片もないが…。
赤目と青目のエイリアン(?)同士の戦いがあったり、親子や兄妹の絆のドラマや捕虜の民兵とパルチザンが共闘する胸熱場面があったり、エイリアンの怪獣の種類が増えて、全体的にバリエーションが広がっている。
要するに前作よりもグレードアップしているのは確かだ。だが、しかし…。
何の説明もなかった前作に比べて、色々と説明をしようとして墓穴を掘った感がある。
映画的アクションの質は上がっているが、説得力のない説明の薄っぺらさが目立ってしまって、迫力のバトルシーンも興醒めだ。
今作からはメイン脚本家が監督も兼務している。この人がシリーズ全体のプロットも作っているのだろう。
話を広げすぎたか、詰めがあまいか。
エンドロールのNG集もいいアイディアだとは思えない。
放題は「奪還」だが、何を奪還したのだろう。まだ地球を奪還してはいないと思うが。