劇場公開日 2018年10月20日

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「高度で残酷な芸術論」世界で一番ゴッホを描いた男 日高雄介さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5高度で残酷な芸術論

2018年11月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

中世以前、画家という職業は間違いなく「職人」であったはずですが
じゃあ現代の「芸術家」と「職人」の違いとは何なのか?そもそも芸術家とは何なのか?芸術とは?
んなもん答えが出るはずもありませんが、それでも主人公のおっちゃんは宣言しました。「俺の人生が俺の芸術だ!」

今作で私が最も印象的だったのは、
アムスで資本主義的搾取システムに失望する主人公でもなければ、ラストで芸術に希望を見出す主人公でもありません。
主人公が尊敬と生活と魂を込めた複製画など及びもしない、ゴッホ真作の輝き、禍々しさ、筆圧、技術の差でした。
スクリーン越しの素人ですら分かってしまった。おっちゃんは私の何百倍も分かってしまったはず。残酷やね。

それでもヤケッパチで前を向き、ゴッホを愛してる!!と叫ぶ「画家」たちの姿に救われます。
このおっちゃんが良いキャラなんだわ本当!

日高雄介