「物語を追うな。刑事と犯人のチェイスを追え」ハングマン つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
物語を追うな。刑事と犯人のチェイスを追え
いやー、皆さん評価厳しすぎない?確かにストーリーはメチャクチャよ。ツッコミどころも多すぎるよ。かなり切ったんだろうなってことが丸わかりなほど急展開と合わない辻褄の連続だよ。
しかし、面白いかどうかとストーリーがちゃんとしている事はあまり関係ないと思うんだよね。
ハングマンゲームであることがわかっているのに文字の解読とか予想を全くしなかったところで、ストーリーなんてどうでもいい系の作品なんだなと気付くでしょ?開始5分くらいの出来事だよ。
ではなぜ、こんなにもメッチャクチャなストーリーでも面白いのかというと、単純にスリリングさとスピード感が良かったよね。ストーリーを犠牲にして尺を詰めたことでそれが生まれた。
かなり序盤から犯人とおぼしき人物が主人公たちの前をチョロチョロしてて、逮捕できるかもしれないハラハラと、犯行時間に間に合えば助けられるかもしれないというドキドキがミックスして高揚する。
犯人と主人公たちのカーチェイスのような追いかけっこが面白い。
連続殺人犯を追う刑事物としては悪くないほうだと思うね。
最後に、犯人の動機について、サイコパスドラマとかサイコパス映画好きからちょっと。
犯人がサイコパス化した引き金は父親の首吊りを目撃したこと。
恐怖であると同時に、その事にとらわれ再現することに執着するようになる。
本当なら立ち退き要求されている貧困者をターゲットにすべきだが、その辺の詰めの甘さはご愛敬で。
犯人の動機がわからない人は、アーチャーを狙っていたと思っているのがそもそも勘違いなんだよね。
犯人は恐らく父親の死の瞬間を見ていて、それは恐怖であり何度でも見たい喜びでもある。
その喜びを、自分を助け出したアーチャーにも見せてあげたいのだ。だから被害者が死ぬ瞬間に立ち会わせようと画策しているわけ。
アーチャーを恨んでいるなら本人を殺せばすむ話だからね。彼はターゲットではないんだな。アーチャー自身はそう思っていないようだったけどね。