冷たい晩餐のレビュー・感想・評価
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子供が犯罪を犯した時、富裕な米国白人親たちはどうしたのか?というドラマ
あらすじだけではよく分からず、映画が始まっても「スノッブ風を吹かした駄話」を見せられるだけになりそうな予感がした。 しかし、ストーリーの核となるのは彼らの息子たちがなした悪事に関する、二組の親の「鳩首会談」。 鳩首とはいってもハト派ならぬタカ派的強硬な立場に立つ側が多勢であり、ハト派リベラル的立場は劣勢。 そんな数の上での優劣はともかく、見所は口論激論の最中に有色人種や社会底辺層に対する軽蔑・侮辱的態度が露わになる場面かもしれない。 一見すると育ちが良くて優しそう、大人しそうな子供たちが、とんでもない凶悪な犯罪を犯してしまったわけだが、日本でも同様のホームレス集団リンチ殺人事件が起きており、その根底には子供の中にもいつしか醸成されていった社会底辺層者たちに対する蔑視と憎悪ヘイトがあったからなのは間違いないところ。 そして、その心理を個人的に適用するなら、もし自分が少年の頃、映画の少年たちと同様の状況に置かれたなら、果たしてエスカレートする加害行為をとどめることができただろうか?という疑問にぶつかることになる。 そういった個人的な考察に到ったのはある意味ポジティブなことかもしれないが、映画そのものの出来具合という点に関してはかなり微妙だったかな。 レストランフルコースにちなんだ章構成はメインテーマの重さにそぐわないような、どこかふざけた悪戯心が感じられなくもなかった。エンディングもあれでは・・・ 俳優たちの演技は素晴らしかったとは思うけど、手放しでの称賛はできない。
まともな人間はいないのか・・・
食前酒、前菜、メイン、チーズコース、デザート、食後酒という一風変わった章立てストーリー。スタンとポールの兄弟、それぞれの妻の4人が高級レストランでプライベート・ディナーを楽しんでいるようではあるが、議員であるスタンは審議中の法案が可決するかどうかを気にしながら、ポールは心の病によって精神的不安に陥っている。スタンはリックという前妻の子と黒人の養子ボーという息子がいて、元教師のポールにはマイケルという一人息子がいる。
最終的にはこのまま息子たちの罪を認めるべきかどうかを議論する場となったが、政治家生命を辞してでも自首をすすめようとするスタン以外は皆息子たちを庇おうとする。自首しないでいても、ずっと心にしこりを残し、名もないホームレスの被害者の十字架を背負って生きなければならないのだ。一般論的にも、罪を認めて更生した方が精神的にも楽だと思うのだが・・・
結果、マイケルとリックの犯罪をボーがネット上に動画をアップしたことが彼らをまた悩ませ、ポールはボーに夜襲をかけて不明瞭なまま結末を迎える。後味の悪さと、自分が一番可愛いんだというアメリカ人の本質にまで食い込もうとしているのだが、作品の構成とか、つまらない部分が多くなっているのが難点。回想シーンはATM放火現場だけでよろしいかと・・・。また、晩餐というタイトルの割に食欲がわくような映像は一切ない(笑)。
話の上に話を被せて会話が成り立たない感じや親バカな感じに不快感を感...
話の上に話を被せて会話が成り立たない感じや親バカな感じに不快感を感じつつ、きっとどこにもあるんだろうなと思い、最後まで観ましたが、最後にちょっとパンチが欲しかったかな。 でも、原作を読んでみようと思いました。
ATM
州知事候補の政治家夫婦と元教師の弟夫婦が高級レストランで会談する話。 会談前から仕事のことを気にしてばかりの政治家と精神疾患を持つ弟。この2組の夫婦の子ども達が何かしでかして相談する為の会談らしいが弟ひ知らないという設定。 ちょこちょこと小出しに子ども達のしでかしたことをみせていくと共に、この家族達の過去と関係性をみせていく展開。 みんなヒステリックだし、会談の結果も…まともじゃない。 それなりには面白かったけど、内容の割に長いし終わり方も中途半端な感じがして残念。
高校の歴史教師ポールは妻クレアに説得されて政治家の兄スタン夫妻との...
高校の歴史教師ポールは妻クレアに説得されて政治家の兄スタン夫妻との有名レストランのディナーに渋々出かける。案の定話題も噛み合わず最悪の空気になるテーブル。何度も中座するポールを優しく諭すクレア。彼らにはどうしても話し合わなければならない共通の問題があるのだった。
テーブルを囲む4人と彼らの子供達との関係がランダムに時制が前後するフラッシュバックで暗示され、4人がようやく話題の核心に触れ始めてからガラリと物語のトーンが変わって観客が意外性に戸惑っているところに訪れる不完全な終幕。直接的には全く語られない登場人物達が抱える闇にはただならぬリアリティがあって、無難に器用に立ち振る舞って生きているつもりの自分もいつその闇に飲み込まれるか判らない、そんな心情をグラグラと揺さぶってくる不穏なテンポが意外と心地良かったです。夥しいサントラも全く耳に響かないくらい不快な映画でしたが嫌いではないです。
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