「コルト・ローマンMKⅢ357マグナム」銃 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
コルト・ローマンMKⅢ357マグナム
銃マニアの稲垣吾郎曰く、護身用の銃器で短銃身タイプ故、遠くからは標準が合せにくいらしい。確かにその銃の特性に関係したストーリー進行があるから、或る意味その辺りは細かい演出がされているのだろうか。小説が原作なので、設定がされているのかもしれない。
作品内容自体は、銃を拾った大学生が、その銃の持つ特別な意味合いに段々と浸食されつつ、その非日常性に恍惚感と堕落に蝕まれていくという難しくはない構成である。隣の母親を殺そうと計画を立て、その実行寸前まで取憑かれた男は、しかし、その計画遂行までの自分の生い立ちに重ねたその母親を、寸でで殺すことを止めてしまう。それはやはりどんな酷い事をやられても“母”という切ることの出来ない存在への想いなのか、それとも馬鹿馬鹿しさを悟った故か・・・とはいえ、最悪の危機を脱した筈だった男はしかしその不安定な心理状態が治るわけでもなく、拳銃を捨てに行く途中の電車内で粗野な男を打ち抜いてしまうという唐突のエンディングで幕を閉じる。
そのラスト前の川へ捨てるシーンは、あれは完全なミスリードで、編集の不味さが表われていた。というのも小説の粗筋を読んでみると捨てに行く途中という内容で、作品だと、てっきり捨てた筈なのに実は捨ててなかったという流れだと勘違いしてしまう。あのシーンは電車内の男の夢の出来事であったのだ。きちんと夢のシーンなのか、回想シーンなのかを丁寧に作られてないと観客は戸惑うのではないだろうか。その辺りも含めて、内容的には大学生の情緒不安定さが生い立ちと相俟って、ユラユラ揺れている危ない状況を表現した興味ある作品だけに少々残念である『トースト女』役の女性の均整の取れた美しいプロポーションが目の保養になったことはここだけの話w