「やっと世界は色付いたのに。」銃 まきさんの映画レビュー(感想・評価)
やっと世界は色付いたのに。
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武曲の延長線上みたいな価値観かな?と思いました。あのとき死に魅了された少年が、現実に折り合いをつけられないまま、「銃」に出会ってしまった。そんなイメージ。
なにも起きないけど、たまに揺れるくらいの安全な綱渡りをしていたら、たまにはドキッとする目に遭いたいかもしれないし、思いきって下に堕ちてみたいかもしれないし、しがみついてみたくなるかもしれない。
きっと誰にもあること。
私は、たまたま「銃」を拾ったことはないけど、トオルは拾ってしまったからこうなった。
そのくらい、きっと、うっすい壁たった一枚向こうの話。
現実の象徴のような、平和な親友くんや、恋人候補のユウコの知らないところで、焦燥感で狂っていくトオルが美しかった!
リリーさん演じる刑事は、トオルをこっちの世界に繋ぎ止めようとしてるのに、私もトオルの気持ちが伝染してしまったのか、その言葉は、心臓を直接撫でるように、じっとりと気味悪い響きをもって聞こえる。
ラストシーン、トオルは自分の欲を果たして、モノクロの味気ない世界から解放されたはずなのに。
一気に彼の魔法は解けてしまった。
あのラストめちゃくちゃ好きでした。何回思い出しても落ち込める。
ムラジュンさんがあの役をやったことで、虹郎くんが虹郎くんになった気がします。何目線だよって話ですが。
中村文則さんは、たしか彼女の指を持ち歩く話を購入して、読みづらくて断念したくらいの知識しかないのですが、
結構中村ワールド再現されてますよね...?暗くて淡々としたかんじ。
難しくて読まず嫌いになりそうだったんですけど、小説も興味深く読めそうです~!
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