愛がなんだのレビュー・感想・評価
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みんなダメダメじゃん!
率直な感想をタイトルにしましたが、決して悪い意味ではなくそれぞれ違った意味でダメ人間たちに愛おしさを感じてしまいました。
江口のりこさん、成田凌さんはいくつかの作品を観てきて一押し・納得の領域ですが、岸井ゆきのさん、若葉竜也さん、またまた素敵な若手俳優さんを今更ながら見つけられて嬉しい限りです。
似たもの同士のテルコとナカハラ、マモちゃんと葉子!共感は残念ながらできないのですが色々あるんだろうなぁ、男と女は、なんて達観した気持ちのオジさんです。
個人的にはナカハラ君の個展からのHappy Storyを期待してしまいます。彼、とてもいい味出してましたよね。
それぞれの会話があまりにも自然で脚本がなくてアドリブじゃないかとすら思ってしまいました。
もどかしいけれど嫌いじゃない、いや好きな映画です。
面白かったはずなんだけど…
多分この映画が面白いのは
俳優さんのチカラが十二分にあると思う。
岸井ゆきの演じる重すぎる女山田さんがいて、
成田凌演じる自覚のないクズマモちゃんがいて。
ふたりがいるから観れることだし、
ただ、脚本演出がないと
ふたりはまず存在し得ないってことは
やっぱり監督が凄いのかな。
ただ自分的にはあの終着点に納得はいっていなくて。
ラストで、ナカハラは自ら片想いを断ち切って、
もうようこに会わないと決断するんだけど、
テルコはマモちゃんにもう会わないことにしようと言われると
とっさに私はもう好きじゃないとかうそぶいて、
会い続けることを選択するんだよね。
そして最後に救われた(ように思える)のは、
ナカハラくんのほうなのよなあ…。
これってどうゆうことよ。
現在進行形で恋煩いしてる者たちからしたら
もう意味不明というか、
なにをすれば正解なのか
わからなくなるというか。
結局、テルコは自分の衝動に素直に
マモちゃんの世話をしててもダメだし、
自分のきもちに嘘ついてマモちゃんとの
時間を継続しても、救われないんよね、
残った唯一の選択肢は、飼育員になることだけ。
こういう経験って結構片思い経験者ならあるんじゃないかな
と思うんだけど、(流石に転職まではなくとも、
相手の好きだったものを思い出して感傷に浸るみたいな)
それって、全く私自身は救われないというか。
いま、幸せに恋をしている人が、
「あー、あったあったああいうとき」
みたいな過去を懐かしむ感覚で楽しむなら
わかるんですけどね。
でもここまで考えられる映画ってやっぱ素晴らしいな。
恋愛映画、さいこー!!!!
まもちゃん最高
2回見ましたけど、本当に胸がキュンとして柔らかな気持ちになりました。全員ダメ人間で、でもそれが愛しく描かれていて、全員かわいくて、常に心は健康なのです。開き直ってるわけじゃなくて、ずっと自問自答しているんです。
追いケチャップ、成田凌のアドリブなんですって。最高じゃないですか……?
角田光代を男性監督が撮りきっているところにも惚れました。
日本独特の愛を描いた最高傑作
今作では距離感というものが非常に切なく描かれていたと思います。
成田凌演じる田中守、岸井ゆきの演じる山田テルコ。
若葉竜也演じる仲原靑、深川麻衣演じる坂本葉子。
このふたつの組み合わせ、違う形の愛のように見えて、
葉子は守と同じことをしている。ナカハラはテルコのように尽くしている。
作中で葉子は守に怒りの電話をいれますが、それは葉子が自分のしていることに気付いていない表れでもあります。
そのシーンで、この映画の深いメッセージに気付かされました。
日本人独特の、「言わなくてもわかる」という距離感、空気感。ハイコンテクストな社会が生み出した独特の恋愛観でもあると思います。作中のセリフにも登場していますが、「20代後半の恋愛なんて、「好きです 付き合ってください」で始まるものでは無いー」という感覚。まさにそれが現実であり、夢見がちなテルコの恋愛にとって大きな壁でもあるのだと思います。
「愛されていること」とはなんなのか、「利用されていること」とはなんなのか、「尽くすこと」は愛なのか。
映画を見終わったあとに残る感情は人それぞれなのだと思います。この映画の凄いところはそこだと思います。
結局どの恋愛においてもすれ違いは存在し、日本ではそれが顕著に現れているのではないでしょうか。
ハキハキした青春映画とはまた一味二味違った、
日本を代表できる恋愛映画だと思います。
素敵な作品をありがとうございました。
(円盤、原作、サントラ、主題歌その他諸々買わせて頂きました。)
幸せになりたいっすね
好きが一方通行で報われない
好きって恋って愛って
切なくて悲しくて辛い
ただ好きな人が自分のこと好きで
隣で笑ってくれてたらそれだけでいいのに
周りはみんな当たり前みたいに
そんなふうにして恋人だ夫婦だしてるのに
ってため息つくような人にぴったり
作り込み過ぎてない
実際に自分に身近に起こりうる
関係性やシチュエーション、
だけど
男に夢中になり過ぎて仕事クビになったり、
理由聞かされず呼び出された挙句
家から追い出されたり、
盛るところ盛って現実の平均より
エグい部分があることで
まだ救われる、、ってなれるシーンがあったり、
結末が分かりきらない感じだったり、
すごく良かった
人のセックスを笑うな
クワイエットルームにようこそ
が刺さる人には刺さるんじゃないかな
すみれさんがマモちゃん無理なとこ、
テルちゃん気に入ってるとこ、
大した仕事してないだらだらなとこ、
友達多いようでBBQばっくれられるとこ、
嫌なやつてわも
デキすぎてる感じでないのがよかった
ナカハラいい奴
王様と家臣の話、よかった
ナカハラには幸せになってほしい
マモちゃんの
どうでもいい子への雑な扱いと
その場その場の感情で出てくる優しさ
好きな人には尽くす感じ、
描き方は極端だけど
人間らしさが詰まってた。
「それは好きだから、とかじゃないの?」
って言われたときのこと
記憶から抹消されてる感じが
まじでエグすぎてすごいしんどかったな。
もう少し仲良しでいちゃいちゃで
好きでいてくれてるんだよね?って
思える感じのシーンがあったら
尚良かった。
最終的な感想は、でもやっぱつらい。
また観たい。
早くVODでいつでも観られるようになってほしい。
買うほどではないけど、
また観たいなって思える作品。
愛ってなんだ
最後までスッキリと解決するような展開はなく、でも現実ってそんなもんだよなとリアルティを感じさせました。
テルコのうどんのシーンやラストシーンは、なんと言うか女性の強さのようなものを感じました。中原くんの選択との対比がそれを余計に強く感じさせました。
テルコのそれからには色々なことがあるだろうけど、どうか幸せになってほしいと思いました。マモルはもう少し反省してください。
岸井ゆきのさん目当てで観ました。演技の良さももちろんですが、恋する岸井さんがたまらなく可愛かったです笑。今後の活躍も期待しています!
よかった
岸井ゆきも成田凌もすごく魅力的なので、ドラマが展開していくにしたがって二人とも自己評価が低いことに驚いた。おそらく原作では不細工な男女なのではないだろうか。成田凌が年増の女性に好かれたくて小物っぽくなっているところが切なかった。別荘への旅行も切ないのは、僕もそんな経験があるし、僕が人を誘ったら同様の結果を招くので、パーティなどには極力行かないし、行ってもどうせつまらないに決まっているので顔を出してすぐ帰る。しかし、実際にスクリーンに映る彼らは美男美女で世間が放っておかないレベルだ。本当の不細工で魂をえぐるような表現で見てみたい。
映画館の音量が低くて、空調に成田凌のぼそぼそしたセリフがかき消されてよく聞き取れないところがいくつかあった。
愛がなんだってんだという叫び
片思いが重い愛であろうと、相手にウザがられていようとその場で全力投球できるテルコがとても愛おしい。
好きな人の好きな人ではなくて、好きな人は他の誰かを見ていて、それでもなお一緒にいたいと思えるような人と出会えることがそもそも幸せなことなのかもしれない。
岸井ゆきの、もともとすごく好きだったけど、今作でさらに好きになった。
好きな人のためにごはんを作りに行ったら帰りの電車賃がなくて歩いて帰るっていうのが、アラサーの重すぎる女としてものすごくリアルな情景だった。
自分に理由をつけて諦めようとしたナカハラも無駄にならずに済んでよかった。
ナカハラが求めてたのは多分、あの検索したら…っていうその行動だけでよかった。
今まで通りずっとそばにいたら、得られなかった結果。
原作と監督の意図が同じでこんなにもみずみずしい感性で描かれた映画は滅多に出会えることがない。
退屈せずに最後まで見られた映画だった。
【女の一念、岩をも通すか? 成年男女の心の機微を絶妙に描き出した作品。】
ー今作品は、”恋”という言葉を使うのも憚れる、一人の男を想う気持ちを貫く女性テルコの姿を普通の日常を描く中で、見事に表現している。ー
・テルコと田中マモル(彼女から一途に想われる男性)と関わる男女達が交わす会話の秀逸さ。
◆数々の場面設定の見事さ。
・テルコの親友の葉子を想う中原と葉子の母親(筒井真理子さん、先週主演作を観たばかりだったので嬉しい)とテルコの3人で過ごす大晦日の風景と3人の会話(葉子はいない)、そして母親が就寝した後、除夜の鐘が鳴る中のテルコと中原の会話。
・すみれ(マモルが恋するパンキッシュな女性)とテルコと中原とマモルという不思議な組み合わせの4人が湖畔の別荘で過ごす姿や交わす会話。
・中原が、別荘でのやりとりがきっかけで決断した事柄を激しく糾弾するテルコの姿とその後の放心した表情。
・マモルが30歳過ぎてからなりたいと言っていた職業について、淡々と仕事をするテルコの姿・・・。(このシーン、特に良い)
■4月公開でずっと気にはなっていたのだが、何となく見過ごしていた(良くある恋愛ものかなと・・)
が、地元のシネコンでセカンド(サード?)上映してくれたので、鑑賞。
予想を遥かに上回る秀作であった。
<勝手な先入観で作品を選んではいけないなあと反省しつつ、ぎりぎり劇場で観れたぞという満足感に浸りながら帰路についた。>
<2019年8月2日 会社から至近距離のミニシアターにて鑑賞>
運命論者と現実論者の対比
彼女 好き?好き?大好き?
彼 うん 好き 好き 大好き
彼女 なによりもかによりも?
彼 うん なによりもかによりも
彼女 世界全体よりもっと?
彼 うん 世界全体よりもっと
彼女 わたしが好き?
彼 うん きみが好きだ
彼女 わたしのそばにいるの 好き?
彼 うん きみのそばにいるの 好きだ
彼女 わたしを見つめるの 好き?
彼 うん きみを見つめるの 好きだ
彼女 わたしのこと おばかさんだと思う?
彼 いや きみのこと
おばかさんだなんて思わないよ
彼女 わたしのこと 魅力あると思う?
彼 うん きみのこと 魅力あると思うよ
彼女 わたしといると退屈になる?
彼 いや きみといると退屈にならないよ
(中略)
彼女 誓ってくれる?
けっしてわたしを置きざりにしないって
彼 いつまでだってけっしてきみを置きざりに
しないって誓うよ、胸のうえに十字を切るよ
そして嘘をつくくらいなら死ねたらと思うよ
(無言)
彼女 ほんとうに 好き? 好き? 大好き?
【R・D・レイン著 好き?好き?大好き?】より
愛は無償に与えるもの…
恋は虚像の崇拝…
わかってる
そんなことわかってる
でも彼を常に気に掛けていたい
だってそれがわたしなのだから…
本作『愛がなんだ』の提示されていた恋愛観…
いや、【恋愛哲学】を
つらい恋を経験した方なら、誰しも
多かれ少なかれ感じ入ることでしょうし
逆にお話を飲み込みづらい。
なんだったらまったく共感出来ない!って方も
当然いるでしょう…
岸井ゆきの さん演じるテルちゃんが
けなげに見えるか、恋愛サイコパスに見えるかで
作品の印象が変わるのと思いますし、
またそんな絶妙なバランスで見事に演じていたと
思いました。
いきなりラップ調でわめき散らしたり、
その後「そういう所、苦手」と
客観的にマモちゃんの視点に投影し急に冷めたり、
幼い頃の自分と自問自答したりと、
ドッキリさせられた表現演出は楽しめました!
作中に何度も登場した【象】とは
〈どんなほどこしも分け隔てなく受け止めるもの〉
の象徴… そんなイメージだと思いましたが
調べてみたら献身、忍耐、信頼、安定、
そして真理を象徴しているそうです。
そんなことも照らし合わせてみたら
より深く、本作を味わえるかもしれません!
成田 凌さんの煮え切らないダメ男感!
貧弱で猫背を気にしてる所が愛おしかったり!
中原っち役の若葉竜也さんは重要な役を
豊かに演じていて好感を持てました!
すみれさん役の江口のりこさんの存在感!
そこにシビれる憧れる女性像!
…今思えばわたしも若い頃は多分、
多少粘着質な恋愛体質だったかな…
「恋は盲目」なんていうけど
ヒトって醒めない夢をいつまでも
見ていたいんだよね…
夢や恋を追いかけている間は楽しいけど
袋小路にハマるときが、
いつか現実に向き合うときが
きっときてしまう…
その折り合いを付けて
わたしたちは生きている。
いつだってあるよ
夢よりも大事な物が…
悲しいけどそれが現実…
でもそんな自分も嫌いじゃない
それで十分生きていける
主人公の女の子が自分と重なりすぎて悲しくなりましたwww マモちゃ...
主人公の女の子が自分と重なりすぎて悲しくなりましたwww
マモちゃんのクソさ加減とか絶妙で
でも嫌いになれないテルちゃん
最後はいい意味で裏切られたな〜〜
多分2人は結婚してもあの関係を続けていくんでしょう
あとナカハラ君良かったな〜〜。あの二人はうまくいって欲しい
江口のりこさんも安定のかっこよさですね
主演の岸井ゆきのさん初めて見たんですけど、表情とかめっちゃ好きです
そしてどっかで見た事あるな〜〜と思ってたらとあるバンドのMVに出演されていらっしゃいました
恋愛はイチャイチャが珠玉
「歳も歳だし、それそろ恋愛に決着をつけよう」
とテーマを掲げて恋愛映画を続けてみることを画策。その地平にはソクラテスのように色欲から解放された知の地平が広がっていることを望んで。そんなはずだったがこのレビューをまとめることができず、今日は第2弾で「オトコトモダチ」を見に出かける予定が台風の接近で気が重くなっている。
タイトルからして私のテーマにドストライクのこの映画、小説が原作だったのでそれなりに期待していたが、出だしの雲行きがあやしい。ほんとうに「信じられないくらい馬鹿なこと言うね」と深川麻衣が言ったように、ただの馬鹿映画だったらどうしようという岸井ゆきのの軽薄さ。恋愛の愚かで惨めな場面が流れていく。
いつも麦ちゃんの映画に出てきてうらやましいやらくやしいやらで虫の好かない成田凌が岸井ゆきのをぞんざいに扱う。「いやなヤツ」全開。私の彼に対する憎しみが増幅していく。役者は大変だなー。私なんかに逆恨みされてしまうんだから。
そんな彼も江口のりこに邪険にされる。ザマミロと思う一方、成田凌の好感度がどんどん上がっていく。他人の不幸は蜜の味。江口のりこの交友関係に岸井ゆきのが加わるのはちょっと無理がありそうだけど。
好きでもない岸井ゆきのと寝る成田凌、かまわず応じる岸井。こんな馬鹿な関係なのに、あのピロートークは秀逸。成田と岸井の立場が逆転していて痛快だった。イチャイチャは無敵。ソクラテス真っ青の思想空間だった。あの場面で終わると最高だったんだけどな。
それ以降も悪いわけではなかった。
「邪険にされ同盟」、若葉竜也の撤退を岸井は許さない。なんだかんだの理屈ではない、自分の馬鹿丸出しの「好き」に忠実であれ。愛なんてどんでもいい、まさに「愛がなんだ」である。
ホルモン作用による「発情」、自利、他利、かまわず湧いてくる情動に忠実になれない人間の増えたこと。これを振りかざすことが疎まれる時代となって久しいが、作者のような味方がいたとは心強い。
原作読んでる最中。
象は映画会社の宣伝?いや、原作にありました。
ラストの「私はまだマモちゃんになれない」
原作に前振りあった。そんなに凝った意味ではないが、前振りをなくしてラストにいきなり持ってきて終わったのは、考えさせられていい演出かもしれない。
深川麻衣が若葉竜也の個展にあらわれる件、納得いかない。なくてよかった。原作ではどうなっているのかな?
なんだか台風来ない。映画に行こうかな?
尽=爛
普段決して来ないような若い輩の鑑賞の多さに驚き、改めて俳優成田凌の人気の凄まじさを垣間見た映画館の雰囲気であった。折しも、新潟での地震がこちらにも響いていて、隣は4DXでもないのにかなりの揺れを感じたが動揺したのは自分だけ・・・相当作品に集中していた他の観客との距離感の色々な意味での違いに、感慨深いモノを感じたり感じなかったり・・・
原作未読だが、角田光代作品は別小説を読んだことがある。確かに『紙の月』もそうだが、フィクションとノンフィクションの曖昧さ、溶け合い方の表現が非常に上手な作家である。小説の再現度は不明だが、映像となってもそのブレンド力の高さはよく表現されているように感じた。果たしてこういう女性は実在しているのだろうか、そして男の方のクズさ、無神経、NOデリカシーはあるあるネタでも擦られすぎていることであろう。小説では大して器量が良くない男役を成田凌に変更した意図は分らないが、イケメンの自然すぎる立ち振る舞いに監督の演出が合わず、撮影中は闘い続けていたらしいという逸話は、町山発信の情報である。多分、岸井ゆきのの目を通じて不甲斐ない彼がイケメンに見えていた幻覚という演出も頷ける。
このストーリー構成のフェーズが大変良く出来ていて、始めの内は主役であるヒロインの健気さやそれでも好きな気持を棄てきれないいじらしさに共感を覚えるのだが、進むにつれて、確かにマモルの言い分も理解出来るようなそういう感覚にシフトしてしまう印象操作にやられてしまう。しかし、益々展開されると、一体だれが本当で何が嘘なのかぼやけてきてしまう。それは年上の女が登場してきたところでの不穏さがそれを物語っている。それは自覚無き戦慄感覚えるゲームなのか、いつの間にか参加させられて巻き込まれる周りの関係者達、もうホラーそのものである。モノに対しての執着はあるが、それが人間、しかもそれ程うだつの上がらない薄っぺらな男に対してというのは、その異常さもさることながら、色々な計算や先回りも駆使しての対応に相当の恐怖を覚えずにはいられない。どんどん明らかになるマウント合戦、初めの痛々しさも何処へやら、立場が逆転してゆき弱みにつけ込み、自分自身の犠牲も厭わないサバイバルゲームの様相を呈してくるラストにおいて、いち早く抜けたカメラマン助手の個展に飾られたあの写真は正にそのゲーム参加者の勇姿なのかも知れない。湯葉が気に入らないと言っていたのに平気で湯葉を食べる件等、所々出てくるギャグのセンスも散りばめられていてヒリヒリ感を中和している演出も絶妙である。正に“恋愛”とは社会の縮図そのものであることを如実に語っている作品として、その世界観構築に敬服する。ラストカットのあの象はマモルでもあり、執着で肥大したテルコそのものでもあり、その究極の希望である“同化”を喩えたものと観るが、どうなのだろうか。彼女たちのあの子供ような姿態があれだけの動物に繋がる、大変深い内容に興味深く惹き付けられた。
覗き見してる感覚
個人的にはこういうヤツらは好きじゃないけど、岸井ゆきのは魅力的で可愛かった。
劇というよりかは、本当にいるヤツらを覗き見している感覚。劇的な何かはないけれど、飽きない何かはある。
役者は良かった。演出も良かったんだと思う。
あと、ナカハラが撮る写真が良かった。木村和平という人。
ひとつ、納得出来なかった部分があって、マモちゃんが自分の事を格好良くないという場面があるのだが、イヤお前絶対格好良いと言われてきただろ!と思った。
多分小説ではそういうキャラクター像なのだろうが、映画でそれを成田凌がそのままやっちゃうとズレる。何かセリフを変えるなりの工夫が欲しかった。
愛じゃないもの。
予告を見た時から怖くて避けてましたが、鑑賞後は観て良かったと思いました。僕の大切な一本です。
映画の始めにテルコは語る「なぜだろうまだ私は田中守の恋人ではない」と。ラストでは「なぜだろう私はまだ田中守ではない」に変わっている。マモちゃんは彼女の中でどんな存在になったのだろう。
マモちゃんはテルコのアイデンティティなのだ。映画が好きとか、アイドルが好きとか、仕事が好きとかと同じで、田中守が好きが彼女なのだ!例え愛されていなくても。彼女の生きる目的であり、彼女は自分を田中守から見つけたのだ。テルコが象の飼育員になったことにも繋がる。
テルコは頭おかしいし、普通じゃない、ヤバいと思う。
でもそれの何が悪いのだ。この映画は「普通じゃない」までも肯定してくれる。
登場人物たちが愛おしくて仕方なかった。最高。
なんだか深い
観に行ってよかった映画だった。
映像もきれいだし、衣装やインテリアもかわいいし、役者さんたちそれぞれが魅力的だった。
そして内容が、深い。ただの恋愛映画とは到底言えない感じがした。やはり角田光代さんが原作なだけあり、人間の複雑な心理というか、一言で片づけられない感じがすごく伝わる。
大まかに言えば、支配と依存なのかもしれないけど、恋愛となると、そう簡単に分類もできないし、否定も肯定もしにくい。それぞれがそれぞれの利害関係のうえで成り立つものもあるし、結局は相手のようで、本人の問題だったり。好きになると、人の感情ってどこか絡まっちゃうよなあと思った。
ただ内容的には、重苦しいわけではなく、良いテンポで丁寧に描かれていて、笑えるところもあっておもしろい。それぞれの役に役者さんがはまっているし、なんだかやりとりもかわいかったり魅力的だった。もう一回観たいなと思う。
田中守との同一化願望
テルコにとって、マモちゃんへの愛は執着のようなものだった。現代人すべての人にとって、愛=執着と相対化することはできないけれど、物語中では、そのような愛が多数派で描かれることから、そのような人は少なからずいる、それは意外にも多く、ということだろう。
テルコの「田中守になりたい」という言葉が印象的だった。デートのときマモちゃんが思いつきで言った「33歳になったら、象の飼育員になる」という過去の言葉を受け、テルコは最後に象の飼育員になろうとする。田中守になるために。しかし、それは虚の田中守を模倣することにしかすぎない。テルコはやっぱり田中守になることはできないのだ。
執着を手放したふりをし続けること、これこそが最も残酷なのではないかと思った。
恋でも愛でもなくていい!
ちょいおばさんですが、若いときに散々不毛恋愛をしてきた私にはピッタリすぎる作品。出演者は魅力のある方々、今後に注目な俳優さんばかり。好きという気持ちは程度が軽ければ好意ですが、重くなっていくと好意を超えて不毛な感情へ。両思いになることなんて奇跡。
守ちゃんが連絡をしなくなり新たな人物が登場、おまえといるより楽、発言にはじんわりと涙が。嫌ならはっきり言ってもらいたい思いも、やはりはっきり言われるとガーンなんです。女同士の言い合いにもじんわり。恋愛に対する考え方は様々、ときには対立することもあります。ライバルにムカついたときに口に出してラップ風に唄うシーンが好きです。もう唄いたいことたくさんあった。自分の過去を思い出しながら、イマドキ若者を応援したい気持ちで鑑賞しました。
全65件中、21~40件目を表示