「恋愛はイチャイチャが珠玉」愛がなんだ かぴ腹さんの映画レビュー(感想・評価)
恋愛はイチャイチャが珠玉
「歳も歳だし、それそろ恋愛に決着をつけよう」
とテーマを掲げて恋愛映画を続けてみることを画策。その地平にはソクラテスのように色欲から解放された知の地平が広がっていることを望んで。そんなはずだったがこのレビューをまとめることができず、今日は第2弾で「オトコトモダチ」を見に出かける予定が台風の接近で気が重くなっている。
タイトルからして私のテーマにドストライクのこの映画、小説が原作だったのでそれなりに期待していたが、出だしの雲行きがあやしい。ほんとうに「信じられないくらい馬鹿なこと言うね」と深川麻衣が言ったように、ただの馬鹿映画だったらどうしようという岸井ゆきのの軽薄さ。恋愛の愚かで惨めな場面が流れていく。
いつも麦ちゃんの映画に出てきてうらやましいやらくやしいやらで虫の好かない成田凌が岸井ゆきのをぞんざいに扱う。「いやなヤツ」全開。私の彼に対する憎しみが増幅していく。役者は大変だなー。私なんかに逆恨みされてしまうんだから。
そんな彼も江口のりこに邪険にされる。ザマミロと思う一方、成田凌の好感度がどんどん上がっていく。他人の不幸は蜜の味。江口のりこの交友関係に岸井ゆきのが加わるのはちょっと無理がありそうだけど。
好きでもない岸井ゆきのと寝る成田凌、かまわず応じる岸井。こんな馬鹿な関係なのに、あのピロートークは秀逸。成田と岸井の立場が逆転していて痛快だった。イチャイチャは無敵。ソクラテス真っ青の思想空間だった。あの場面で終わると最高だったんだけどな。
それ以降も悪いわけではなかった。
「邪険にされ同盟」、若葉竜也の撤退を岸井は許さない。なんだかんだの理屈ではない、自分の馬鹿丸出しの「好き」に忠実であれ。愛なんてどんでもいい、まさに「愛がなんだ」である。
ホルモン作用による「発情」、自利、他利、かまわず湧いてくる情動に忠実になれない人間の増えたこと。これを振りかざすことが疎まれる時代となって久しいが、作者のような味方がいたとは心強い。
原作読んでる最中。
象は映画会社の宣伝?いや、原作にありました。
ラストの「私はまだマモちゃんになれない」
原作に前振りあった。そんなに凝った意味ではないが、前振りをなくしてラストにいきなり持ってきて終わったのは、考えさせられていい演出かもしれない。
深川麻衣が若葉竜也の個展にあらわれる件、納得いかない。なくてよかった。原作ではどうなっているのかな?
なんだか台風来ない。映画に行こうかな?