劇場公開日 2018年10月6日

  • 予告編を見る

「政治家の言葉」LBJ ケネディの意志を継いだ男 ノリック007さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0政治家の言葉

2018年10月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

難しい

原題「LBJ」より、邦題の「LBJ ケネディの意志を継いだ男」
の方が映画の内容を良く表しています。

難しい映画です。
登場人物は多く、政治用語が多く、説明はなく、日本とは全く
異なる政治なので、理解することも感情移入することも共感する
こともできないでしょう。

「日本が全て」と思っている人には、理解できませんし、得るもの
もありません。

1960年代の日本とは異なる米国の政治に興味があり、知識も
ある人だけが楽しめる映画です。

この映画は、日本と異なる米国の政治に触れてみるのには良い
きっかけとなると思います。

米国では、党首もいなければ、派閥もなく、自由投票で、政党によって、
法案に賛成するか、反対するかを決められることはありません。
政治家は、言葉を使い、ありとあらゆる手段を駆使して政治家を説得し、
票数を読みながら、多数派工作を行うから政治が面白いということです。
米国の三権分立は、機能していて、立法のトップは、大統領ではなく、
民主党と共和党の上院議会及び下院議会の院内総務です。

日本は政党に所属する国会議員は、党首と派閥の長とで、秘室で決められた
政党の決議によって、法案に賛成するか、反対するかは決まっています。
日本では、法案を巡り、票数を読むことや多数派工作はありません。
日本では、与党の提出した法案は議論もされず、委員会で強行採決され、
本会議で可決され、成立し、施行され、行政は法案を実行し、裁判所は、
法により判断します。
日本の三権分立は、曖昧であるだけでなく、機能していません。

LBJが言葉を使い、政治家を説得するシーンとセリフと演説するシーンと
セリフに注目すると良いです。

1865年、リンカーン大統領は、米国憲法修正第13条を追加し、
黒人奴隷解放をしましたが、黒人差別は残りました。

1937年、LBJは、テキサス州下院議員に当選しました。
1948年、LBJは、テキサス州上院議員に当選しました。
1953年、LBJは、民主党の上院院内総務になりました。
1960年、LBJは、民主党大会でジョン・F・ケネディに負けて、
民主党の大統領候補にはなれませんでした。
LBJは、ジョン・F・ケネディ大統領候補の副大統領候補として、
大統領選挙に勝利しました。
1961年、ジョン・F・ケネディは大統領に、LBJは副大統領に
なりました。
1963年、ジョン・F・ケネディ大統領は暗殺され、LBJは大統領に
なりました。
1964年、LBJは、議会で可決された公民権法に署名し、黒人差別を
無くしました。

2009年、黒人初のオバマ大統領が就任しました。

ジョン・F・ケネディは、民主党の米国大統領です。

ロバート・F・ケネディは、民主党の司法長官です。

リチャード・ラッセルは、1933年に初当選した、実力者の民主党の
ジョージア州上院議員です。

ラルフ・ヤーボローは、1958年に初当選した、新人の民主党の
テキサス州上院議員です。

リチャード・ラッセルもラルフ・ヤーボローも南部の州を代表する
上院議員で、同じ民主党ですが、政治姿勢は全く異なります。

ノリック007